桔梗(キキョウ)の花が毎年、前庭の片隅に一株だけ沢山の花を着けますが、今年
は玄関先のアプローチ脇にも、ほんの一枝(一輪)咲いていました。
薄紫の高貴な色の上品な花ですが、もともとが野に咲く花なので、人知れず「慎まし
やかに咲いている」と言うところでしょうか。
「万葉集」に出て来る朝貌の花(あさがお)は、桔梗だとする説がありますが、「源氏
物語」には、
~心細き住まいのつれづれなれど、住みつきたる人びとは、ものきよげにをかしうし
て、垣ほにゑたる撫子もおもしろく、女郎花<桔梗>など咲きはじめたるに・・・~
と詠われ、「朝顔」と「桔梗」は、はっきりと区別されています。
この桔梗(キキョウ)の花、古くから短歌・絵巻(物語)、句などに良く登場しています。
そう言えば以前に見た、源氏物語の作者紫式部の旧邸跡、京都「虜山寺」の桔梗の
庭(以前、UP済み)も、今頃がちょうど見頃ではないでしょうか?
しかし・・・この桔梗の花には、哀しい伝説も残されています・・・
佐倉市・将門町に伝わる「桔梗塚」は、先頃まで某局の大河ドラマ「平将門」の、愛
妾の墓であるとされ、伝説では「桔梗」の裏切りによって将門が討たれたため、この
地では桔梗の花は咲かない、との言い伝えが今も残されている様です。(桔梗塚伝
説は各地に残されてはいますが・・・)
因みにこの伝承塚には、
「花もなくしげれる 草の桔梗こそ いつの時世に花の咲らむ」と記されており・・・何
れにしても、いつの世にも花々は人々の生活に深く溶け込み、歴史を残している様
です。
~今日も良い一日であります様に~