歳を重ねて来ると目覚めが早くなると言う。 そう言えばここ2~3年、外はまだ暗い内から目覚めてしまう様になって来た様に思う。 足元の東の窓が、時間と共に、段々と明るくなってくるのをボンヤリとやり過ごす。 時には真っ赤な朝焼け空に出会うこともある。 外が薄っすらと明るくなってくると、真っ先に庭を横切って、東側の小さな家庭菜園に下りて行く、そして収穫するのはトマトにサラダ菜、やがて朝餉の準備が始まる。 バナナとリンゴとオレンジに、時々葡萄も食卓に上る。 珈琲を入れて食卓に座る頃には、お日様が昇りはじめ金色の朝日の射し込んで来る。 食卓のコーヒーカップから白い湯気が立ち上り一日の始まりだ。 この至福の時を昨日も今日も明日も明後日も。
朝のリレー <谷川俊太郎>
カムチャッカの若者が きりんの夢を見ている時
メキシコの娘は 朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が ほほえみながら寝返りをうつとき
ローマの少年は頭柱を染める朝陽にウインクする
この地球では いつもどこかで 朝がはじまっている
ぼくらは朝をリレーするのだ 緯度から緯度へと
そうしていわば 交替で地球を守る
眠る前のひととき 耳をすますと
どこか遠くで 目覚まし時計のベルが鳴っている
それはあなたの送った朝を誰かがしっかりと受け止めた証拠なのだ
メキシコの娘は 朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が ほほえみながら寝返りをうつとき
ローマの少年は頭柱を染める朝陽にウインクする
この地球では いつもどこかで 朝がはじまっている
ぼくらは朝をリレーするのだ 緯度から緯度へと
そうしていわば 交替で地球を守る
眠る前のひととき 耳をすますと
どこか遠くで 目覚まし時計のベルが鳴っている
それはあなたの送った朝を誰かがしっかりと受け止めた証拠なのだ
「朝」<中原中也>
かがやかしい朝よ、
紫の、物々の影よ、
つめたい、朝の空気よ、
灰色の、甍(いらか)よ、
水色の、空よ、
風よ!
紫の、物々の影よ、
つめたい、朝の空気よ、
灰色の、甍(いらか)よ、
水色の、空よ、
風よ!
なにか思い出せない……
大切な、こころのものよ、
底の方でか、遥(はる)か上方でか、
今も鳴る、失(な)くした笛よ、
その笛、短くはなる、
短く
大切な、こころのものよ、
底の方でか、遥(はる)か上方でか、
今も鳴る、失(な)くした笛よ、
その笛、短くはなる、
短く
風よ!
水色の、空よ、
灰色の、甍よ、
つめたい、朝の空気よ、
かがやかしい朝
紫の、物々の影よ……
水色の、空よ、
灰色の、甍よ、
つめたい、朝の空気よ、
かがやかしい朝
紫の、物々の影よ……
スティヴィー.ワンダー~Pastime Paradise