映画「レオン」~マチルダ役のナタリー・ポートマン
(あらすじ~ネタバレ)
孤独なプロの殺し屋が少女と出会い、初めての愛を知り、生きる希望を見つけていく映画『レオン』は、今から24年前の1994年に公開され、私も当時劇場で観賞したものである。
麻薬組織に家族全員を殺された少女マチルダ(ナタリー・ポートマン)が、隣室に住む殺し屋のレオン(ジャン・レノ)に助けを求め、成り行きから共同生活を送りながら復讐(ふくしゅう)を決心し、実行するというストーリーである。 主演 ジャン・レノと助演 ナタリー・ポートマンは、この映画における好演で、二人の名は一躍映画界で不動の位置に押し上げたと作品でもある。 今回見たのは完全版である。
頼まれた仕事は完璧にこなす。 そこに一切の感情は差し挟まない。 私生活では寡黙でひたすら孤独な男レノン、殺しの仕事?が終わり、フラッと映画館で一人『雨に唄えば』を食い入るように見たり、唯一の友だとする窓際の観葉植物を愛情を持って育てたり、時々少年のような姿を見せる。 体は大人心は子供のレオン。 しかし、そんなレオンがマチルダに出会ったことで次第に成長していく。
麻薬組織に1人で乗り込んだマチルダを助け出し、2人で抱き合うアップのシーン。 レオンに抱きつくマチルダの足は宙に浮いているが、レオンの足はしっかりと地を踏みしめている。 鉢植えの観葉植物を「根が地面についてないことが自分と同じ」としてきた彼が、やっと自分の居場所を見つけた様に感じさせるシーンが印象的。
一つ部屋で生活を共にする中で、マチルダは次第にレオンに恋心を芽生えさせて行く。 女にしてほしいと愛を告げるマチルダに、レオンが涙ながらに初めて自分の過去を語るシーン。 ここでは少女から女になろうとするマチルダと、大人になれなかったレオンの細やかなやりとりが描かれている。 大人と少女が交す愛の言葉は公開当時には余りにも刺激的であるとして、カットされた部分だ。 それが本作がロリコン映画と揶揄された一因でもあるのだが、今回の完全版を観れば、レオン自身が過去と向き合い、マチルダに受け入れられたことで、存在意義を見つけることができる大切なカットであることが分かる。
ラストの惨殺シーンは、マチルダの殺された弟の仇、麻薬取締局のボス、ゲイリー・オールドマンと決着をつけるまでの過程で、それまで冷徹な殺し屋として仕事を遂行してきたレオンが、マチルダを守るためだけに感情をむき出しにする。 子どものままだったレオンが見せた愛情表現は、まさに殺し屋の純愛と言うべきところか。
麻薬取締局のボスの率いる突入部隊とのラストの、壮絶な銃撃戦ではマチルダを脱出させ「後で自分も脱出するから。。。トニーの店で落ち合おう。」と約束する。 しかし脱出に失敗しスタンスフィールドに射たれてしまう。 だが虫の息の中、身に着けていた手榴弾のピンを抜き、スタンスフィールドの手にそのピンを握らせ、道連れにレオンは爆死する。
マチルダはひとり取り残され、再び学校の寄宿舎に戻って行く。 ラストは、レオンの形見となった観葉植物を学校の庭に植えしっかりと根付けと心で祈るのだった。
レオンが映画を観るシーンで歌われた「雨に唄えば」