水仙 ウィリアム・ワーズワース(田部重治訳)
~谷また丘のうえ高く漂うくものごと、
われひとりさ迷い行けば、
折りしも見出でたる一群の
黄金(こがね)色に輝く水仙の花、
湖のほとり、木立の下に、
微風に翻りつつ、はた、踊りつつ。
天の河に輝やきまたたく
星のごとくに打ちつづき、
彼らは入江の岸に沿うて、
はてしなき一列となりてのびぬ。
一目にはいる百千(ももち)の花は、
たのしげなる踊りに頭をふる。
ほとりなる波は踊れど、
嬉しさは花こそまされ。
かくも快よき仲間の間には、
詩人(うたびと)の心も自ら浮き立つ。
われ飽かず見入りぬ──されど、
そはわれに富をもたらせしことには気付かざりし。」
心うつろに、或いは物思いに沈みて、
われ長椅子に横たわるとき、
独り居(ひとりい)の喜びなる胸の内に、
水仙の花、しばしば、ひらめく。
わが心は喜びに満ちあふれ、
水仙とともに踊る。 ~
およそ一世紀も前に、イギリスの自然詩人・ワーズワースによって謳われた
この「水仙の花」が、当地では今、その名の如く時には雪を被り、(雪中花)
清楚なたたずまいで、香しく咲いています。
県西部・益田市の日本海を望む鎌手海岸の高手には、群生する水仙が、
海から吹き上げる風に、波打つ様に咲き乱れています。
風の穏やかな日に出掛けて見られたら、辺り一面に水仙の神秘的な
芳香が漂い、しばし瞑想の世界に浸ることが出来る、空間です。
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