博多駅前陥没事故から11月で3年、現場は大詰めを迎えている。今年1月からトンネル内の水抜きがはじまり、その後、土砂撤去が行われていたが7月上旬に無事終了。7月12日から再掘削がはじまり、1ヵ月が過ぎた。今、現地はどうなっているのか。昨日(18日)、博多駅に所用があったので、ちょっと立ち寄ってみることにした。
現地に行くと、車道に設置されていた占用帯が撤去され、通常の状態に戻っていた。陥没したところはアスファルトの色が違うのでわかるが、地上からだと中の様子はわからない。坑内入り口は明治公園横にあるが、当然のことながら中に入ることはできない。福岡市が公表している最新の工事進捗状況(7月31日発表分)をみると、大断面トンネル部の写真が1枚だけ、説明資料はほとんどない。これでは状況はわからない。一歩間違えれば大惨事になっていたような事故を起こしているのだから、再掘削の状況はもっと丁寧に報告すべきだろう。
陥没事故は大断面トンネル部分をナトム工法で掘削している時に起きた。ちょうど横断歩道あたりになるが(下写真)、よく見ると中央部分が凹んでいるのがわかる。何とも不安な気分になるが、大成JVが毎日行っている路面のモニタリング数値に大きな変化はない。ただ、先週あたりから少し沈下量が増えているのが気になる。
今のところ掘削工は問題なく進んでいるようだが、予定では掘削完了まであと2ヵ月程かかる。油断はできない。そういえば、今月9日、天神ビッグバンで福ビル解体中に地下水が天神地下街に流れ込む事故が起きた。原因は調査中でまだ公表されていないが、地下水の脅威は見えないところに潜んでいる証だろう。人工岩盤をつくり補助工法を増強したとはいえ、相手は自然。何が起きるかわからない。
撮影日:2019.8.18
陥没現場(写真左が博多駅)
横断歩道の中央部分が凹(色の変わっているところ)
大断面トンネルのところを掘削中に陥没、横断歩道あたり(福岡市資料より)
最新の報告はこれだけ、、(福岡市資料より)
《関連記事》
・博多陥没現場、トンネル掘削がついに再開(日経コンストラクション 2019.7.8)※有料記事
・福岡・天神地下街で浸水 ビル解体現場付近から流入か(西日本新聞 2019.8.9)
《関連資料》
・福岡市地下鉄七隈線建設工事 博多駅工区(ナトム・人工岩盤掘削区間)に関する情報(毎日更新)
・福岡市交通局ナトム区間大断面トンネル部の再掘削着手について(2019.7.11)
・福岡地下街開発株式会社。天神地下街東3b階段からの漏水につきまして(2019.8.9)