呑む気オヤジ/蔵王山麓蓬莱庵便り

訳アリで山暮らしから都会に戻ったオヤジの日記。合唱も映画もドライブも温泉も、たまには俳句も・・・😄

呑む気オヤジの読書感想文・子の16~「1ポンドの悲しみ」

2008-07-25 | 本の話
1ポンドの悲しみ (集英社文庫 い 47-4)
石田 衣良
集英社

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♪「1ポンドの悲しみ」石田衣良著 集英社文庫

30代前半の女性、またはカップルを主人公としたラブ・ショートストーリー集。
これまでの石田の短編集と比べると、結構心が動いた。

まず最初に一作目の「ふたりの名前」で、グッと来た。
手痛い別れを何度か経験している二人。
今度も別れるときに揉めないように、持ち物や家具に自分のイニシャルを貼る。
そんな二人の元に生まれたばかりの子猫がやってくる。
二人で一生懸命育て始めるが、そのうち子猫に心臓疾患が見つかる。
助けるためには即刻手術が必要。二人は大枚はたいて手術をお願いする。
手術は成功、これからも二人で子猫を育てる決意をする。
そして二人で子猫に名前をつける。
それぞれのイニシャルなどではなく、同棲をしてから初めて共有の子猫の、あの子の名前だ・・・。

なかなか良い話だね。
その他にも、30代前半の男女間の葛藤をたくさん描いている。
それぞれの話が結構胸にチクチクして、佳作が揃っている。

ただいただけないのは、表題作の「1ポンドの悲しみ」
どう考えてもセックスを赤裸々に描いたエロ小説にしか読めない。
遠距離恋愛になって一月に一度中間の名古屋で会い、耽美なセックスに溺れるだけの話じゃないだろうか?
他の読み方があるのかなぁ。
なんでこの話の題名が表題になるんだろう。よく分からん。
でも、全体的には良かったですよ。




コメント
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