いよいよ混声合唱の本番まで、あと1週間となった。
今回は、別の用もあり仙台の両親が上京して、聴きに来る予定になっていた。
二人ともここ数年、とみに足腰が衰えてきて、コンサート会場まではタクシーじゃないと無理そう。
それでも息子の晴れ舞台?を一目観たいという親バカぶりで、父の透析の日程などをやり繰りして来てくれるはずだった。
ところが昨日から母が急に腰痛になり、とても1週間では回復しそうもうないという連絡が来た。
元々腰痛持ちで、最近は背骨も曲がって来ていた。
もう80歳近いというのに、相変わらず現役並みに仙台市内や県内、そしてたまには東京などを行き来している。
そろそろ仕事の量を減らすように言ってきたが、やっぱり無理が祟ったのかもしれない。
だから無理するなって言ったのに、せっかく来ると思っていろいろ手配したのに、俺の舞台を見せることも親孝行だと思っていたのに・・・。
母親の体のことなんだから仕方がないし、心配してやらなくてはならないのに、自分の身勝手な思いのほうが先立った。
母は電話の向こうで、しきりに済まなそうに、かつ心から残念そうに話していた。
「しょうがないよ、無理しないで。ちゃんと医者に行くんだよ。仕事、やっぱり減らさないとダメだよ」
次の機会には必ず父と一緒に聴きに行くと言う母の言葉に、感謝しつつもその機会はもうないかもしれないと思った。
男声合唱の定演は土曜日だが、父は透析でダメ。混声合唱のコンサートは1年後だ。
両親が来れない事に少しでも不満を持った自分の身勝手さに、そしていい歳をして相変わらず親に甘えている自分に嫌気がさした。
母からの電話を切ってから、目頭が熱くなった。
でも、やっぱり両親が来れなくなったことは、とてもとても残念である。