「罪の声」塩田武士著 講談社文庫⭐️⭐️⭐️⭐️
30年以上目前に起こった戦後最大級の迷宮入犯罪「グリコ森永事件」を題材に、大胆な切り口で真相を仮説立てした作品。
30代半ばのある男性が亡くなった父親の遺品から、「ギン萬事件」で身代金授受の指示に使われた子供の声のテープを発見する。それはなんと自分の子供の頃の声に間違いかなかった…。
大人の身勝手なイデオロギーや信念により、未曾有の犯罪の片棒を担がされた子供たちの、その後の人生が痛ましい。実際に「グリコ森永事件」で、犯人のメッセージを録音した子供たちはいた訳だから、その子たちは、今何をしているのだろう。
単なるミステリーではなく、人間ドラマとしても面白いし感動的だった。著者の他の作品もぜひ読んでみたい。