「辶・辶 しんにょう」の成立
違イの字にみる「辶・辶しんにょう」の成立過程
違 イ・ちがう・ちがえる 辶部
意味 (1)ちがう(違う)。異なる。「違和感イワカン」「相違ソウイ」 (2)たがう。そむく。「違反イハン」「違約イヤク」
上段が辶・辶しんにょう、下段が違イ
違イの金文は、「彳(ゆく)+止(あし)+韋イ(まわりをめぐる)」の会意形声。韋イは城壁の周りを巡って守備する形であるが、この字では巡回する兵士が行ったり来たりすること。「彳(ゆく)+止(あし)」は足で行く意で進行を表す。この字の意味は、行ったり来たりする兵士が行き違いになること。転じて、ちがう・ことなる意となる。
篆文で「彳(ゆく)+止(あし)」は「辵チャク」に変化し、隷書(漢代の役人が主に用いた字体)で辵チャク⇒「彡+之の下部」になり、楷書で「辶 二点しんにょう」 と 「辶 一点しんにょう」になり混在した。旧字は康煕コウキ字典(清代に成立した権威ある字書)に準じて「辶 二点しんにょう」に統一されたが、日本では第二次大戦後成立した新字体に限って「辶 一点しんにょう」が用いられるようになった。現代でも旧字は「辶 二点しんにょう」が用いられている。
参考 音符「韋イ」へ
部首「辶・辶しんにょう」
部首「辶しんにょう」は漢字の左辺から下部の位置に付いて、行く・移動する意味を表す。常用漢字で51字(第8位)、約14,500字を収録する[新漢語林]は、203字を収録している。主な常用漢字は以下のとおり。辶は旧字で使われる。
「辶+音符」となるもの
迅ジン・はやい(辶+音符「卂シン」)
迎ゴウ・むかえる(辶+音符「卬コウ」)
近キン・ちかい(辶+音符「斤キン」)
返ヘン・かえす(辶+音符「反ハン」)
迫ハク・せまる(辶+音符「白ハク」)
迭テツ・かわる(辶+音符「失シツ」)
述ジュツ・のべる(辶+音符「朮ジュツ」)
迷メイ・まよう(辶+音符「米ベイ」)
逃トウ・にげる(辶+音符「兆チョウ」)
逆ギャク・さからう(辶+音符「屰ギャク」)
通ツウ・とおる(辶+音符「甬ヨウ」)
速ソク・はやい(辶+音符「束ソク」)
週シュウ・まわり(辶+音符「周シュウ」)
過カ・すぎる(辶+音符「咼カ」)など
辶を含む会意となるもの
辺ヘン・あたり(辶+刀)
込こむ(辶+入)
追ツイ・おう(辶+𠂤タイ)
退タイ・しりぞく(辶+艮)
透トウ・すける(辶+秀)など
違イの字にみる「辶・辶しんにょう」の成立過程
違 イ・ちがう・ちがえる 辶部
意味 (1)ちがう(違う)。異なる。「違和感イワカン」「相違ソウイ」 (2)たがう。そむく。「違反イハン」「違約イヤク」
上段が辶・辶しんにょう、下段が違イ
違イの金文は、「彳(ゆく)+止(あし)+韋イ(まわりをめぐる)」の会意形声。韋イは城壁の周りを巡って守備する形であるが、この字では巡回する兵士が行ったり来たりすること。「彳(ゆく)+止(あし)」は足で行く意で進行を表す。この字の意味は、行ったり来たりする兵士が行き違いになること。転じて、ちがう・ことなる意となる。
篆文で「彳(ゆく)+止(あし)」は「辵チャク」に変化し、隷書(漢代の役人が主に用いた字体)で辵チャク⇒「彡+之の下部」になり、楷書で「辶 二点しんにょう」 と 「辶 一点しんにょう」になり混在した。旧字は康煕コウキ字典(清代に成立した権威ある字書)に準じて「辶 二点しんにょう」に統一されたが、日本では第二次大戦後成立した新字体に限って「辶 一点しんにょう」が用いられるようになった。現代でも旧字は「辶 二点しんにょう」が用いられている。
参考 音符「韋イ」へ
部首「辶・辶しんにょう」
部首「辶しんにょう」は漢字の左辺から下部の位置に付いて、行く・移動する意味を表す。常用漢字で51字(第8位)、約14,500字を収録する[新漢語林]は、203字を収録している。主な常用漢字は以下のとおり。辶は旧字で使われる。
「辶+音符」となるもの
迅ジン・はやい(辶+音符「卂シン」)
迎ゴウ・むかえる(辶+音符「卬コウ」)
近キン・ちかい(辶+音符「斤キン」)
返ヘン・かえす(辶+音符「反ハン」)
迫ハク・せまる(辶+音符「白ハク」)
迭テツ・かわる(辶+音符「失シツ」)
述ジュツ・のべる(辶+音符「朮ジュツ」)
迷メイ・まよう(辶+音符「米ベイ」)
逃トウ・にげる(辶+音符「兆チョウ」)
逆ギャク・さからう(辶+音符「屰ギャク」)
通ツウ・とおる(辶+音符「甬ヨウ」)
速ソク・はやい(辶+音符「束ソク」)
週シュウ・まわり(辶+音符「周シュウ」)
過カ・すぎる(辶+音符「咼カ」)など
辶を含む会意となるもの
辺ヘン・あたり(辶+刀)
込こむ(辶+入)
追ツイ・おう(辶+𠂤タイ)
退タイ・しりぞく(辶+艮)
透トウ・すける(辶+秀)など