改訂しました。
兼 ケン・かねる 八部 jiān
解字 金文から旧字まで「二本の禾(いね)+手の形」の会意。二本の禾(いね)を手であわせ持つ形で、合わせ持つ意、現代字は上部がソに簡略化された兼ケンになった。
意味 (1)かねる(兼ねる)。二つ以上のものをあわせ持つ。「兼業ケンギョウ」(本業のほかに他の業務をあわせてすること)「兼業農家ノウカ」「兼備ケンビ」(二つ以上のことを兼ね備えること)「才色サイショク兼備」(2)かねて。あらかじめ。「兼日ケンジツ」(期日より以前の日)
イメージ
「あわせ持つ」(兼・鎌・蒹・嫌・廉・蠊・簾・賺)
「まとめて減らす」(謙・歉)
音の変化 ケン:兼・蒹・嫌・謙・歉 タン:賺 レン:鎌・廉・蠊・簾
あわせ持つ
鎌 レン・かま 金部 lián
鎌で刈った稲の束
解字 「金(金属)+兼(稲をあわせ持つ)」の会意形声。あわせ持った稲を刈る金属製のかま。
意味 かま(鎌)。草を刈る道具。「草刈り鎌かま」「鎌首かまくび」(鎌のように曲がった首。蛇が攻撃姿勢をとった様子をいう)「鎌利レンリ」(鎌のようにするどいこと)
蒹 ケン 艸部 jiān
解字 「艸(くさ)+兼の旧字(ケン)」の形声。ケンという名の草。「蒹葭ケンカ」に用いられる。
意味 (1)「蒹葭ケンカ」とは、若いアシやヨシの総称。「詩経・秦風」の「蒹葭ケンカ」第一段に「蒹葭蒼蒼ソウソウ(あおあおとしている)。第二段に「蒹葭凄凄セイセイ」(繁茂する)。第三段に「蒹葭采采サイサイ」(多く盛んなさま)と蒹葭の茂るさまを描写する。(2)人名。「蒹葭堂ケンカドウ」(木村蒹葭堂。江戸中期の大阪の文化人。文人画家・本草学者・蔵書家・コレクター。蒹葭堂とは彼の書斎の名)
嫌 ケン・ゲン・きらう・いや 女部 xián
解字 「女(おんな)+兼(あわせ持つ)」の会意形声。男が正妻のほかにも妻をあわせもつこと。妻となる女同士は、きらう・にくむ意。
意味 (1)きらう(嫌う)。いやがる(嫌がる)。いや(嫌)。いやらしい(嫌らしい)。にくむ。「嫌悪ケンオ」(にくみきらう)「嫌気いやけ」「嫌厭ケンエン」(嫌も厭も、きらう意)「嫌煙権ケンエンケン」(2)うたがう。「嫌疑ケンギ」(3)おもわく。気分。「機嫌キゲン」
廉 レン・やすい 广部 lián
解字 「广(片屋根のいえ)+兼(かねる)」の会意形声。家の中で一つのものをいろんな用途に兼ねて用い、贅沢をしないこと。また、家の東西・南北の方向が合わさる「かど」の意味もある。
意味 (1)いさぎよい。きよい。「清廉セイレン」(2)やすい(廉い)。値段が安い。「廉価レンカ」(3)つつましやか。(4)かど・すみ。「廉遇レングウ」
蠊 レン 虫部 lián
解字 「虫(むし)+廉の旧字(かど・すみ)」の会意形声。家のかどや、すみにいる虫。
意味 「蜚蠊ヒレン」に用いる字。蜚蠊とは、ごきぶりの仲間を表す字。
簾 レン・す・すだれ 竹部 lián
解字 「竹+广(いえ)+兼の旧字(合わせる)」の会意形声。「竹+兼(合わせる)」で竹を編んだ「す」、これを「广(いえ)」の周りや室内に、たらすのが「簾(す・すだれ)」である。
外掛け簾(「京すだれ」より)
意味 す(簾)。すだれ(簾)。竹などで編んだとばり。「簾中レンチュウ」(すだれの内側。高貴な家の婦人)、「御簾みす」(神前・宮殿などに用いるすだれ)、「暖簾のれん」(軒先や部屋の仕切りに垂らす布。もともとは暖房した部屋の暖かさを保つ簾(布)の意)
賺 タン・レン・すかす 貝部 zhuàn・zuàn
解字 「貝(貨幣)+兼の旧字(二つをまとめる)」 の会意形声。貨幣を用いて仕入れ、そして売ること。二つをかねた結果もうける意となる。この行為をあくどく行うと、すかす・だます意となる。
意味 (1)うる。もうける。「賺利タンリ」(もうけ)「賺銭タンセン」(お金をもうける) (2)すかす(賺す)。だます。だまして高くうる。あざむく。「賺詐タンサ」(だます)「賺得タントク」(だましとる)
まとめて減らす
謙 ケン・へりくだる 言部 qiān
解字 「言(ことば)+兼(まとめて少なくする)」の会意形声。言葉を控え目にすること。
意味 へりくだる(謙る)。ひかえめにする。「謙虚ケンキョ」「謙譲ケンジョウ」(へりくだってゆずる)「謙遜ケンソン」(謙も遜もへりくだる意)
歉 ケン・あきたりない 欠部 qiàn
解字 「欠ケン(口をあける)+兼の旧字(まとめて少なくする)」の会意形声。食事の回数(口をあける)をまとめて少なくすること。食い足りない。飽き足りない。転じて、不作の意となる。欠ケンは、前に向かって口をひらいている人の側身形。
意味 (1)あきたりない(歉りない)。もの足りない。食い足りない。「歉然ケンゼン」(あきたりないさま)(2)不満に思う。「抱歉ホウケン」(残念に思う。中国では申し訳なく思う意)(3)穀物が実らない。不作。「歉歳ケンサイ」(穀物の不作の年)「歉収ケンシュウ」(不作。凶作)
秉 ヘイ <稲を手でもつ>
秉 ヘイ・ヒョウ・とる 禾部 bǐng
解字 一本の禾(いね)を手で持つ形で、とる・もつ意。
意味 (1)とる(秉る)。手にもつ。にぎる。「秉燭ヘイショク」(①燭ともしびを手に持つ。②燭を持つころ。夕方。宵。)(2)(手にもって)まもる。たもつ。「秉心ヘイシン」(正しい心をたもつ)「秉徳ヘイトク」(道徳をまもる)(3)手に握った権力。(=柄)「秉権ヘイケン」(権力をにぎる)(4)穀物の量をはかる単位。(5)姓のひとつ。「秉志ヘイシ」(1886~1965年、中国の動物学者)
イメージ 「とる・もつ」(秉・棅)
音の変化 ヘイ:秉・棅
とる・もつ
棅 ヘイ・え 木部 bǐng
解字 「木(き)+秉(とる・もつ)」の会意形声。器物についている持つための棒状の部分。
意味 え(棅)。取っ手。握る。掌握する。=柄え。柄の異体字となっており、柄と同字。
<紫色は常用漢字>
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兼 ケン・かねる 八部 jiān
解字 金文から旧字まで「二本の禾(いね)+手の形」の会意。二本の禾(いね)を手であわせ持つ形で、合わせ持つ意、現代字は上部がソに簡略化された兼ケンになった。
意味 (1)かねる(兼ねる)。二つ以上のものをあわせ持つ。「兼業ケンギョウ」(本業のほかに他の業務をあわせてすること)「兼業農家ノウカ」「兼備ケンビ」(二つ以上のことを兼ね備えること)「才色サイショク兼備」(2)かねて。あらかじめ。「兼日ケンジツ」(期日より以前の日)
イメージ
「あわせ持つ」(兼・鎌・蒹・嫌・廉・蠊・簾・賺)
「まとめて減らす」(謙・歉)
音の変化 ケン:兼・蒹・嫌・謙・歉 タン:賺 レン:鎌・廉・蠊・簾
あわせ持つ
鎌 レン・かま 金部 lián
鎌で刈った稲の束
解字 「金(金属)+兼(稲をあわせ持つ)」の会意形声。あわせ持った稲を刈る金属製のかま。
意味 かま(鎌)。草を刈る道具。「草刈り鎌かま」「鎌首かまくび」(鎌のように曲がった首。蛇が攻撃姿勢をとった様子をいう)「鎌利レンリ」(鎌のようにするどいこと)
蒹 ケン 艸部 jiān
解字 「艸(くさ)+兼の旧字(ケン)」の形声。ケンという名の草。「蒹葭ケンカ」に用いられる。
意味 (1)「蒹葭ケンカ」とは、若いアシやヨシの総称。「詩経・秦風」の「蒹葭ケンカ」第一段に「蒹葭蒼蒼ソウソウ(あおあおとしている)。第二段に「蒹葭凄凄セイセイ」(繁茂する)。第三段に「蒹葭采采サイサイ」(多く盛んなさま)と蒹葭の茂るさまを描写する。(2)人名。「蒹葭堂ケンカドウ」(木村蒹葭堂。江戸中期の大阪の文化人。文人画家・本草学者・蔵書家・コレクター。蒹葭堂とは彼の書斎の名)
嫌 ケン・ゲン・きらう・いや 女部 xián
解字 「女(おんな)+兼(あわせ持つ)」の会意形声。男が正妻のほかにも妻をあわせもつこと。妻となる女同士は、きらう・にくむ意。
意味 (1)きらう(嫌う)。いやがる(嫌がる)。いや(嫌)。いやらしい(嫌らしい)。にくむ。「嫌悪ケンオ」(にくみきらう)「嫌気いやけ」「嫌厭ケンエン」(嫌も厭も、きらう意)「嫌煙権ケンエンケン」(2)うたがう。「嫌疑ケンギ」(3)おもわく。気分。「機嫌キゲン」
廉 レン・やすい 广部 lián
解字 「广(片屋根のいえ)+兼(かねる)」の会意形声。家の中で一つのものをいろんな用途に兼ねて用い、贅沢をしないこと。また、家の東西・南北の方向が合わさる「かど」の意味もある。
意味 (1)いさぎよい。きよい。「清廉セイレン」(2)やすい(廉い)。値段が安い。「廉価レンカ」(3)つつましやか。(4)かど・すみ。「廉遇レングウ」
蠊 レン 虫部 lián
解字 「虫(むし)+廉の旧字(かど・すみ)」の会意形声。家のかどや、すみにいる虫。
意味 「蜚蠊ヒレン」に用いる字。蜚蠊とは、ごきぶりの仲間を表す字。
簾 レン・す・すだれ 竹部 lián
解字 「竹+广(いえ)+兼の旧字(合わせる)」の会意形声。「竹+兼(合わせる)」で竹を編んだ「す」、これを「广(いえ)」の周りや室内に、たらすのが「簾(す・すだれ)」である。
外掛け簾(「京すだれ」より)
意味 す(簾)。すだれ(簾)。竹などで編んだとばり。「簾中レンチュウ」(すだれの内側。高貴な家の婦人)、「御簾みす」(神前・宮殿などに用いるすだれ)、「暖簾のれん」(軒先や部屋の仕切りに垂らす布。もともとは暖房した部屋の暖かさを保つ簾(布)の意)
賺 タン・レン・すかす 貝部 zhuàn・zuàn
解字 「貝(貨幣)+兼の旧字(二つをまとめる)」 の会意形声。貨幣を用いて仕入れ、そして売ること。二つをかねた結果もうける意となる。この行為をあくどく行うと、すかす・だます意となる。
意味 (1)うる。もうける。「賺利タンリ」(もうけ)「賺銭タンセン」(お金をもうける) (2)すかす(賺す)。だます。だまして高くうる。あざむく。「賺詐タンサ」(だます)「賺得タントク」(だましとる)
まとめて減らす
謙 ケン・へりくだる 言部 qiān
解字 「言(ことば)+兼(まとめて少なくする)」の会意形声。言葉を控え目にすること。
意味 へりくだる(謙る)。ひかえめにする。「謙虚ケンキョ」「謙譲ケンジョウ」(へりくだってゆずる)「謙遜ケンソン」(謙も遜もへりくだる意)
歉 ケン・あきたりない 欠部 qiàn
解字 「欠ケン(口をあける)+兼の旧字(まとめて少なくする)」の会意形声。食事の回数(口をあける)をまとめて少なくすること。食い足りない。飽き足りない。転じて、不作の意となる。欠ケンは、前に向かって口をひらいている人の側身形。
意味 (1)あきたりない(歉りない)。もの足りない。食い足りない。「歉然ケンゼン」(あきたりないさま)(2)不満に思う。「抱歉ホウケン」(残念に思う。中国では申し訳なく思う意)(3)穀物が実らない。不作。「歉歳ケンサイ」(穀物の不作の年)「歉収ケンシュウ」(不作。凶作)
秉 ヘイ <稲を手でもつ>
秉 ヘイ・ヒョウ・とる 禾部 bǐng
解字 一本の禾(いね)を手で持つ形で、とる・もつ意。
意味 (1)とる(秉る)。手にもつ。にぎる。「秉燭ヘイショク」(①燭ともしびを手に持つ。②燭を持つころ。夕方。宵。)(2)(手にもって)まもる。たもつ。「秉心ヘイシン」(正しい心をたもつ)「秉徳ヘイトク」(道徳をまもる)(3)手に握った権力。(=柄)「秉権ヘイケン」(権力をにぎる)(4)穀物の量をはかる単位。(5)姓のひとつ。「秉志ヘイシ」(1886~1965年、中国の動物学者)
イメージ 「とる・もつ」(秉・棅)
音の変化 ヘイ:秉・棅
とる・もつ
棅 ヘイ・え 木部 bǐng
解字 「木(き)+秉(とる・もつ)」の会意形声。器物についている持つための棒状の部分。
意味 え(棅)。取っ手。握る。掌握する。=柄え。柄の異体字となっており、柄と同字。
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