漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「坐 ザ」<土の上にすわる> と「座ザ」「挫ザ」

2014年03月15日 | 漢字の音符
 ザ・すわる  土部          

解字 篆文第一字は、土の上に、向き合う二人がすわる形。すわる意を表す。篆文第二字は向き合う人が卯ボウ(同形のものが左右に向き合う)に変化した形。[字統]によると、坐は、古くは土地神の前で対立する二人が裁きを受ける意があり、もと裁判用語であったという。現代字は、「人+土+人」の形で、すわる意を表す。
意味 (1)すわる(坐る)。いる。「静坐セイザ」(=静座) (2)ざせき。 (3)まきぞえ。「連坐レンザ」(=連座) 
※以前は、すわる意の動詞は「坐」、座席の意は「座」と使い分けたが、現代表記ではすべて常用漢字の「座」に書き換えて表記する。

イメージ 
 「すわる」
(坐・座・蓙)
 すわる時、ひざを「折りまげる」(挫)
音の変化  ザ:坐・座・挫  ござ:蓙

すわる
 ザ・すわる  广部
解字 「广(やね)+坐(すわる)」の会意形声。屋根の下で人がすわること。坐は動詞、座は名詞であったが、当用漢字で座に統一された。
意味 (1)すわる(座る)。すわる場所。地位。くらい。「座席ザセキ」「王座オウザ」「座礁ザショウ」(船が暗礁に乗り上げること) (2)集まり。つどい。「満座マンザ」 (3)舞台や劇場。「高座コウザ」 (4)同業組合。公設の機関。「金座キンザ」「銀座ギンザ
<国字> ござ  艸部
解字 「艸(草)+座(すわる)」の会意。すわる時に敷く草製の敷物。
意味 ござ(蓙)。ござむしろ。イグサの茎などで編んだむしろ。茣蓙ござとも書く

折りまげる
 ザ・くじく  扌部
解字 「扌(手)+坐(折りまげる)」の会意。手でものを折り曲げること。ひねって痛める意と、相手の勢いをそぐ意とある。
意味 (1)くじく(挫く)。くじける。「挫傷ザショウ」(転倒などにより体をひねって痛めた傷をいう。表面はかすり傷だが、皮下組織を損傷する)「捻挫ネンザ」(関節をくじく)  (2)くじけ折れる。くだける。勢いがなくなる。「挫折ザセツ」(中途でくじけ折れる)「頓挫トンザ」(途中で行き詰まって、くじける)
<紫色は常用漢字>

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※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。



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音符 「乑シュウ」 <多くの人> と 「衆シュウ」「聚シュウ」

2014年03月15日 | 漢字の音符
 シュウ  ノ部   

解字 人を三人ならべた形で、多数の人を表す。衆シュウや聚シュウの下部となる音符。単独で使われることはない。篆文は衆の下部を抜き出して作成した。
意味 おおい。あつまる。
参考 現代中国の簡体字は、乑シュウを、上に人、下に人人の众zhòngにして衆の代わりに用いている。

イメージ 
 「おおい」
(衆・聚・驟)
音の変化  シュウ:衆・聚・驟

おおい
 シュウ・シュ  血部           

解字 甲骨文は、「日(太陽)+人人人(大勢の人)」の会意。戸外に多くの人がいる形で多くの人々の意。日は、金文で目、篆文は目の変形、現代字は血に変化したが意味は同じ。下部は、人人人⇒乑に変化した。
意味 (1)おおい。多くの人。「群衆グンシュウ」「衆目シュウモク」「衆知シュウチ」 (2)民。庶民。「民衆ミンシュウ」「衆議シュウギ」「衆議院」 (3)[国]複数の人に対する敬意や親愛を示す。「皆の衆」「若い衆」 
覚え方 ち()に染まった三人()の民
 シュウ・ジュ・あつまる・あつめる  耳部
解字 「取(手にいれる)+乑(おおい)」の会意形声。多くのものを手にいれること。あつめる・あつまる意となる。常用漢字でないため、集におきかえるものが多い。
意味 (1)あつまる(聚まる)。あつめる(聚める)。「聚散シュウサン」(聚まることと散らすこと。=集散) (2)あつまったもの。たくわえ。「積聚セキシュウ」(積りあつまる=積集) (3)人々のあつまり。むらざと。「聚落シュウラク」(=集落) (4)「聚楽第ジュラクダイ」とは、秀吉が京都に建てた豪華な邸宅。1587年完成。のち秀次に譲り、その死後破却された。
 シュウ・にわか  馬部
解字 「馬(うま)+聚(あつまる)」の会意形声。馬があつまったさま。群れた馬の行動をいう言葉で、速く走ったり、突然走りだしたりする様子をいう。
意味 (1)はしる。馬が速く走る。「驟馳シュウチ」(速くはしる) (2)にわか(驟か)。とつぜん。「驟雨シュウウ」(にわか雨)「驟然シュウゼン」(にわかなさま。雨が突然降り出すさま) (3)しばしば。「驟諫シュウカン」(しばしばいさめる)
<紫色は常用漢字>

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