朱 シュ・あけ 木部
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/21/eb7a5f60744f3b8a4d5872a991744dae.jpg)
解字 甲骨文字と金文は木の幹の根もとの部分に●印をいれた形の指示文字。この印は篆文で一となることから、切断する意と思われる。隷書レイショ(漢代)で木の上部の両端が上に曲がる形や、左端だけが曲がる形が出現し、この形が変化して現在の朱になった。
甲骨文の意味は地名。金文で赤い色の意味になり、これが現在まで続いている。木の幹を切断して何故赤い意味になるのか? [説文解字]は、「赤心(芯)の木。松柏(常緑樹)の属なり」としている。つまり、切ったとき芯が赤い松柏の木をいい、転じて、あかい色を表すようになったとされる。松柏のうち、柏(コノテガシワ)などに代表されるヒノキ科の常緑針葉樹は、木の寿命が長く材質も緻密で、油分を多く含む赤い芯材は湿気や腐食に強い性質をもつ。
芯が赤い柏科の木材。これで樹齢196年。
一方、朱は姓としても古い歴史をもつとされ、ネットで「朱姓」を検索すると、赤心木を崇拝する一族がこの木をトーテム(氏族の象徴)とし、商の時代から存在したとも言われるが起源は多様で不明の点が多い。漢字「朱」のはじまりは芯の赤い木を一族の象徴として姓としたものといえるが、赤い色の意味は赤心木から始まったのか、それとも仮借カシャ(当て字)か、判断しにくい。いずれにしても赤色は当初、鉱物の天然赤色顔料「辰砂シンシャ」の色であり、さらに後に硫黄と水銀から人工顔料の銀朱が作られたため、色調も深い朱色からあざやかな朱色へと変化している。
意味 (1)あけ(朱)。あか(朱)。深赤色。また、黄赤色。「朱肉シュニク」(朱色の印肉)「朱印シュイン」(朱肉で押した印)「朱墨シュボク」 (2)赤色顔料。「本朱ホンシュ・真朱シンシュ」(天然赤色顔料の辰砂) (3)姓の一つ。「朱熹シュキ」(南宋の儒学者)「朱子学シュシガク」(朱熹が大成した学説。日本で江戸時代に官学として保護された)「朱元璋シュゲンショウ」(明の初代皇帝。洪武帝) (4)夏の異称。「朱夏シュカ」(なつ)
イメージ
伐った木の芯が「あかい」(朱・茱)
木の根もとを切断する形から「きりかぶ」(株・侏)
「切断する」(殊・誅)
芯の赤い樹から、赤は樹の「内側にある」(珠)
「同音代替」(蛛)
音の変化 シュ:朱・茱・株・侏・殊・珠 チュ・チュウ:蛛・誅
あかい
茱 シュ 艸部
解字 「艸(くさき)+朱(あかい)」の会意形声。あかい実がなる低木。
意味 「茱萸シュユ」に使われる字。茱萸シュユとは、(1)中国でミカン科ゴシュユ属の落葉低木。実は赤い球形で薬用になる。「茱萸節シュユセツ」(陰暦9月9日の節句。中国では昔、この日に茱萸の実を袋に入れて山に登り、茱萸の実を頭にさして菊花酒を飲み邪気を払った) (2)日本では「茱萸シュユ・ぐみ」といい、果樹の名。小さな赤い球形の果実がつき、食用となる。
きりかぶ
株 シュ・かぶ 木部
解字 「木(き)+朱(切り株)」の会意形声。朱は、木の根もとを切った形で切り株の意。のち、もっぱら赤色の意で使われたので、木をつけて本来の意味を表した。また、切り株から生える小枝(写真)から、株分け・株式・株券の意味がでた。
切り株から生える株状の枝
意味 (1)かぶ(株)。「切株きりかぶ」(樹木または草を切ったあとの根株)。また、根が付き、植え替えがきく草木のひとまとまり。「株分け」(植物の根株を分け植えること) (2)江戸時代、同業者の独占した権利。「株仲間かぶなかま」「年寄株としよりかぶ」 (3)「株式かぶしき」「株券かぶけん」の略。
侏 シュ イ部
解字 「イ(人)+朱(切り株)」の会意形声。切り株のように背丈が低い人。
意味 背の低い人。「侏儒シュジュ」(こびと)「侏優シュユウ」(小人の道化役者)
切断する
殊 シュ・こと 歹部
解字 「歹(死ぬ)+朱(切る)」の会意形声。人を切り殺すこと。転じて、普通とことなる意味になった。
意味 (1)ころす。たつ(殊つ) (2)ことなる。「特殊トクシュ」 (3)ことに(殊に)。とりわけ。「殊勲シュクン」(すぐれた手柄)「殊勝シュショウ」(けなげなさま) (4)梵語の音訳字。「文殊モンジュ」(Manjusri [文殊師利=文殊菩薩] の略で、智慧をつかさどる仏の脇侍)「文殊の智慧ちえ」(すぐれてよい智慧) ※文殊の殊は、珠でない。
誅 チュウ・チュ・うつ・せめる・ころす 言部
解字 「言(いう)+朱(切る)」の会意形声。相手の罪を言いたてて切り殺すこと。
意味 (1)せめる(誅める)。とがめる。「誅求チュウキュウ」(税金などをきびしく取り立てる) (2)うつ。ころす(誅す)。「誅殺チュウサツ」(罪をせめて殺す)「誅伐チュウバツ」(罪をとがめて殺す)
内側にある
珠 シュ・たま 玉部
解字 「王(玉)+朱(内側にある)」の形声。貝の内側にできるまるい玉。
意味 (1)たま(珠)。貝の中にできる丸いたま。「真珠シンジュ」(貝の体内にできる球状のかたまり。まわりが光沢のある真珠層でおおわれ美しい)「珠玉シュギョク」(海に産する珠と山に産する玉)(2)まるいつぶ。「数珠ジュズ」(3)美しいものの例え。「珠楼シュロウ」
同音代替
蛛 チュウ・チュ・シュ 虫部
解字 「虫(むし)+朱(チュウ)」の形声。チュウという名の虫。「蜘蛛チチュウ・くも」に使われる字。チチュウとは、踟躕チチュウ(行っては止まる)に通じ、これに虫へんをつけた蜘蛛チチュウは、くものすの上で、行っては止まる動作をくりかえして巣をつくるクモをいう。
意味 「蜘蛛チチュウ・チチュ・くも」に使われる字。蜘蛛とは、糸を出して網を張り、虫を捕えて食う虫。「蛛網チュモウ・チュウモウ」(クモの巣)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
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解字 甲骨文字と金文は木の幹の根もとの部分に●印をいれた形の指示文字。この印は篆文で一となることから、切断する意と思われる。隷書レイショ(漢代)で木の上部の両端が上に曲がる形や、左端だけが曲がる形が出現し、この形が変化して現在の朱になった。
甲骨文の意味は地名。金文で赤い色の意味になり、これが現在まで続いている。木の幹を切断して何故赤い意味になるのか? [説文解字]は、「赤心(芯)の木。松柏(常緑樹)の属なり」としている。つまり、切ったとき芯が赤い松柏の木をいい、転じて、あかい色を表すようになったとされる。松柏のうち、柏(コノテガシワ)などに代表されるヒノキ科の常緑針葉樹は、木の寿命が長く材質も緻密で、油分を多く含む赤い芯材は湿気や腐食に強い性質をもつ。
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一方、朱は姓としても古い歴史をもつとされ、ネットで「朱姓」を検索すると、赤心木を崇拝する一族がこの木をトーテム(氏族の象徴)とし、商の時代から存在したとも言われるが起源は多様で不明の点が多い。漢字「朱」のはじまりは芯の赤い木を一族の象徴として姓としたものといえるが、赤い色の意味は赤心木から始まったのか、それとも仮借カシャ(当て字)か、判断しにくい。いずれにしても赤色は当初、鉱物の天然赤色顔料「辰砂シンシャ」の色であり、さらに後に硫黄と水銀から人工顔料の銀朱が作られたため、色調も深い朱色からあざやかな朱色へと変化している。
意味 (1)あけ(朱)。あか(朱)。深赤色。また、黄赤色。「朱肉シュニク」(朱色の印肉)「朱印シュイン」(朱肉で押した印)「朱墨シュボク」 (2)赤色顔料。「本朱ホンシュ・真朱シンシュ」(天然赤色顔料の辰砂) (3)姓の一つ。「朱熹シュキ」(南宋の儒学者)「朱子学シュシガク」(朱熹が大成した学説。日本で江戸時代に官学として保護された)「朱元璋シュゲンショウ」(明の初代皇帝。洪武帝) (4)夏の異称。「朱夏シュカ」(なつ)
イメージ
伐った木の芯が「あかい」(朱・茱)
木の根もとを切断する形から「きりかぶ」(株・侏)
「切断する」(殊・誅)
芯の赤い樹から、赤は樹の「内側にある」(珠)
「同音代替」(蛛)
音の変化 シュ:朱・茱・株・侏・殊・珠 チュ・チュウ:蛛・誅
あかい
茱 シュ 艸部
解字 「艸(くさき)+朱(あかい)」の会意形声。あかい実がなる低木。
意味 「茱萸シュユ」に使われる字。茱萸シュユとは、(1)中国でミカン科ゴシュユ属の落葉低木。実は赤い球形で薬用になる。「茱萸節シュユセツ」(陰暦9月9日の節句。中国では昔、この日に茱萸の実を袋に入れて山に登り、茱萸の実を頭にさして菊花酒を飲み邪気を払った) (2)日本では「茱萸シュユ・ぐみ」といい、果樹の名。小さな赤い球形の果実がつき、食用となる。
きりかぶ
株 シュ・かぶ 木部
解字 「木(き)+朱(切り株)」の会意形声。朱は、木の根もとを切った形で切り株の意。のち、もっぱら赤色の意で使われたので、木をつけて本来の意味を表した。また、切り株から生える小枝(写真)から、株分け・株式・株券の意味がでた。
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意味 (1)かぶ(株)。「切株きりかぶ」(樹木または草を切ったあとの根株)。また、根が付き、植え替えがきく草木のひとまとまり。「株分け」(植物の根株を分け植えること) (2)江戸時代、同業者の独占した権利。「株仲間かぶなかま」「年寄株としよりかぶ」 (3)「株式かぶしき」「株券かぶけん」の略。
侏 シュ イ部
解字 「イ(人)+朱(切り株)」の会意形声。切り株のように背丈が低い人。
意味 背の低い人。「侏儒シュジュ」(こびと)「侏優シュユウ」(小人の道化役者)
切断する
殊 シュ・こと 歹部
解字 「歹(死ぬ)+朱(切る)」の会意形声。人を切り殺すこと。転じて、普通とことなる意味になった。
意味 (1)ころす。たつ(殊つ) (2)ことなる。「特殊トクシュ」 (3)ことに(殊に)。とりわけ。「殊勲シュクン」(すぐれた手柄)「殊勝シュショウ」(けなげなさま) (4)梵語の音訳字。「文殊モンジュ」(Manjusri [文殊師利=文殊菩薩] の略で、智慧をつかさどる仏の脇侍)「文殊の智慧ちえ」(すぐれてよい智慧) ※文殊の殊は、珠でない。
誅 チュウ・チュ・うつ・せめる・ころす 言部
解字 「言(いう)+朱(切る)」の会意形声。相手の罪を言いたてて切り殺すこと。
意味 (1)せめる(誅める)。とがめる。「誅求チュウキュウ」(税金などをきびしく取り立てる) (2)うつ。ころす(誅す)。「誅殺チュウサツ」(罪をせめて殺す)「誅伐チュウバツ」(罪をとがめて殺す)
内側にある
珠 シュ・たま 玉部
解字 「王(玉)+朱(内側にある)」の形声。貝の内側にできるまるい玉。
意味 (1)たま(珠)。貝の中にできる丸いたま。「真珠シンジュ」(貝の体内にできる球状のかたまり。まわりが光沢のある真珠層でおおわれ美しい)「珠玉シュギョク」(海に産する珠と山に産する玉)(2)まるいつぶ。「数珠ジュズ」(3)美しいものの例え。「珠楼シュロウ」
同音代替
蛛 チュウ・チュ・シュ 虫部
解字 「虫(むし)+朱(チュウ)」の形声。チュウという名の虫。「蜘蛛チチュウ・くも」に使われる字。チチュウとは、踟躕チチュウ(行っては止まる)に通じ、これに虫へんをつけた蜘蛛チチュウは、くものすの上で、行っては止まる動作をくりかえして巣をつくるクモをいう。
意味 「蜘蛛チチュウ・チチュ・くも」に使われる字。蜘蛛とは、糸を出して網を張り、虫を捕えて食う虫。「蛛網チュモウ・チュウモウ」(クモの巣)
<紫色は常用漢字>
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※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。