漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「冒ボウ」<目だけ出して頭におおいをかぶせる> と「帽ボウ」「瑁マイ」

2016年07月27日 | 漢字の音符
 ボウ・おかす  曰部

解字 金文から旧字まで「目(め)+冃ボウ(ずきん)」の会意形声。冃は頭衣(かぶりもの)で、冒は、かぶりものから目だけ出している形。目だけ出したカブト(甲冑)をかぶって進む意から、周囲がみえず無頓着に行動する意となる[字統]。新字体は旧字の冃 → 日に変化した。
意味 (1)おかす(冒す)。無理にする。「冒険ボウケン」「感冒カンボウ」(冒を感ずる。呼吸器系の炎症性疾患。かぜ。風邪)「流行性感冒リュウコウセイカンボウ」(インフルエンザ) (2)けがす。「冒涜ボウトク」(おかしてけがす)「冒名ボウメイ」(他人の姓名を偽ってなのる) (3)おおう。かぶりもの。 (4)(一番上の頭にかぶることから)はじまり。「冒頭ボウトウ」(文章や言葉の初めの部分)

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 目だけ出して頭に「おおいかぶせる」(冒・帽・瑁)
音の変化  ボウ:冒・帽  マイ:瑁

おおいかぶせる
 ボウ  巾部
解字 「巾(ぬの)+冒(おおいかぶせる)」の会意形声。頭をおおいかくす布。
意味 かぶりもの。ぼうし。「帽子ボウシ」「角帽カクボウ」「脱帽ダツボウ
 マイ・ボウ  玉部
解字 「王(玉)+冒の旧字(おおいかぶせる)」の会意形声。天子が諸侯を封じる時に、諸侯に授けた圭という玉にぴったり符合するように作られ、天子の手許に残しておく玉の意。圭にかぶせる帽子のような玉の意を表す。
意味 (1)天子の持つ、しるしの玉。 (2)「玳瑁タイマイ」に使われる字。玳瑁とはウミガメ科のカメ。背中の甲は黄色と黒褐色の斑紋が入り鼈甲ベッコウといい、装飾品の材料として珍重される。玳瑁の意味は、瑁マイの代わりをする玉(玳)の意で、甲羅が瑁マイと似ている亀をいう。
<紫色は常用漢字>

<関連音符>
 マン  日部         

解字 篆文は、「冃ボウ(かぶりもの)+罒(横に描かれた目)+又(手)」の会意。ずきんを手でひいてかぶり、目(金文は目とマユを描く)だけ出している形。「かぶる(おおう)」が原義。現代字は、冃ボウ⇒日に変化した。字の構造は冒に又をつけた形である。
意味 本来の意味でなく、主に梵語の音訳語として使われる。「曼荼羅マンダラ」(多くの仏を模様のように描いた絵)「曼珠沙華マンジュシャゲ」(天上に咲くという花)
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 「おおう」
 (曼・蔓・鰻・幔・鏝・鬘・饅・漫)
 かぶりものをして目だけ出すことから 「まわりが見えない」(慢)
音の変化  マン:曼・蔓・鰻・幔・鏝・鬘・饅・漫・慢
音符「曼マン」

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1 コメント

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私の粗雑な創字源記憶法 (真仏教)
2016-08-09 09:29:03
私は新字体をそのまま新しい字源法を作り覚えております。例えば冒は(曰くと目を合わせた字で)言葉も出来なくて見る事さえ出来ない状況で何かを冒す)、塩(鹽)は土(塩田)から来て皿の上に四角い(口がここでは四角いと思って)形で伏せて(倒れた人偏は伏せている事を意味)いる物だと覚えおります。
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