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教育・しずおか:親から子へ・ニュースの基本 世界農業遺産登録目指す「茶草場」 /静岡

2012-10-28 | 先住民族関連
毎日新聞 10月27日(土)10時57分配信
 ◇秋冬に周辺の草敷く伝統農法 高品質の茶葉育ち生物多様性も維持
 Q 「静岡の茶草場(ちゃくさば)」を世界農業遺産に登録しようという動きがあると聞いたけど、なんのこと?
 A 県中部にある掛川、菊川、牧之原、島田市と川根本町の4市1町が共同で設立した推進協議会のことですね。この地域の茶生産地には昔から「茶草場」と呼ばれる独特の農法が伝わっています。これを世界中に宣伝しようというのが目的です。
 Q 世界農業遺産って聞いたことないな。世界遺産と違うの?
 A 国連教育科学文化機関(ユネスコ)が主宰するのが世界遺産ですが、世界農業遺産の登録は国連食糧農業機関(FAO)へ申請します。認定する組織が違います。
 Q どんな制度なのかな?
 A 02年に始まりました。農林水産省のホームページ(HP)では、「地域環境を生かした伝統的農法や、生物多様性が守られた土地利用のシステムを世界に残す目的で創設された」と説明しています。
 Q どんな農法が登録されているのか簡単に知りたいな。
 A 農水省のHPが参考になります。南米チリの「チロエ農業」は先住民が伝えた200種もの地域固有のバレイショ栽培で、主に女性により伝承されているということです。
 Q ほかには?
 A アジアではフィリピンの「イフガオの棚田」があります。海抜1000メートルでも耐えられる水稲品種の栽培技法で、巧みな灌漑(かんがい)システムは驚くほどすばらしく、世界遺産にも登録されています。
 Q へー。世界にはいろんな農業があるんだね。もっとほかにないの?
 A インドの「サフラン農業」はどうでしょう。カシミール地方で2500年以上受け継がれてきたサフラン栽培です。鎮痛作用のある生薬などの原料として利用価値が高く、今も研究が進んでいます。また中国の少数民族、トン族は1000年以上もの間、水田で魚や鴨(かも)を飼い、病虫害や土壌汚染を防ぐなど優れた知恵を伝えています。
 Q 農業って、たくさんの知恵が詰まっているんだね。日本は登録されているのかな?
 A 11年に石川県七尾市などの「能登の里山里海」と新潟県佐渡市の「トキと共生する佐渡の里山」が国内第1号として同時に認定されました。これまでに海外10、国内2の計12件が登録済みです。
 Q 「静岡の茶草場」は、どこがすばらしいのかな?
A 「静岡県は全国の茶園面積の40%、荒茶産出額の39%を占める日本一の茶どころ」と県はHPで自慢しています。推進協議会の資料によると、構成メンバーの4市1町には計9640ヘクタールの茶園があります。
 Q でも茶草場って聞き慣れない言葉だな。どういう意味?
 A 「夏も近づく八十八夜」が茶摘み季節の代名詞ですが、前年の秋冬に茶園周辺のススキやササなどを刈り取って茶畑に敷くと、高品質の茶葉が育つことが昔から知られています。これが茶草場と呼ばれるこの地方特有の伝統農法で、約800年の歴史があるといいます。
 Q それで登録の価値があるんだね。
 A ほかにも、草刈り場には多くの生き物が生息できるので、「生物多様性の維持」に役立つとされるのが主な理由です。
 Q 申請はいつするのかな?
 A 12月に申請し13年5月の認定を目指しています。
 Q 認められるといいね。【舟津進】
10月27日朝刊
http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20121027ddlk22070173000c.html

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