朝日新聞 2014年10月17日03時00分
北海道開拓記念館は15日、アイヌ民族が祭祀(さいし)に使う漆塗りの「トゥキ(杯)」の下部に木製と思われる薄い板状の封入物が内蔵されていたと発表した。内部をX線CTスキャナーで調べてわかったという。同館によると、類例を見ない新発見で、学術的に極めて重要だという。
封入物が確認された杯は、平取町立二風谷アイヌ文化博物館の所蔵品。CT調査は、同博物館や同町の義経神社が所蔵するアイヌの祭祀具や生活道具など約70点で実施。このうち、カムイノミ(神々への祈り)の際に神に酒をささげる道具として使われた杯に封入物があるのがわかったという。
アイヌ民具は、体系的な科学調査がほとんど行われてこなかった。今回のCT調査は、開拓記念館が同博物館などの協力を得て、九州国立博物館と共同で初めて実施した。民具の材質や製作技法に関する情報や、内部の劣化状態を知ることで修復にかかわる情報を得ることなどが目的だ。
杉山智昭学芸員は封入物について、「明らかに意図的に入れられたもの。交易によって本州方面からもたらされた時点で封入されていたのか、入手後に北海道で新たに入れられたものか、さらなる調査を進めたい」と話した。
封入物が確認された杯とそのCT解析画像は、同博物館で15日始まった特別展「アイヌ民俗資料を守り伝える力」で公開されている。ほかに、外観からはわからなかったイユタニ(きね)の害虫による内部被害の確認事例なども展示されている。特別展は12月15日まで。(深沢博)
http://www.asahi.com/articles/ASGBJ52W9GBJIIPE00M.html
北海道開拓記念館は15日、アイヌ民族が祭祀(さいし)に使う漆塗りの「トゥキ(杯)」の下部に木製と思われる薄い板状の封入物が内蔵されていたと発表した。内部をX線CTスキャナーで調べてわかったという。同館によると、類例を見ない新発見で、学術的に極めて重要だという。
封入物が確認された杯は、平取町立二風谷アイヌ文化博物館の所蔵品。CT調査は、同博物館や同町の義経神社が所蔵するアイヌの祭祀具や生活道具など約70点で実施。このうち、カムイノミ(神々への祈り)の際に神に酒をささげる道具として使われた杯に封入物があるのがわかったという。
アイヌ民具は、体系的な科学調査がほとんど行われてこなかった。今回のCT調査は、開拓記念館が同博物館などの協力を得て、九州国立博物館と共同で初めて実施した。民具の材質や製作技法に関する情報や、内部の劣化状態を知ることで修復にかかわる情報を得ることなどが目的だ。
杉山智昭学芸員は封入物について、「明らかに意図的に入れられたもの。交易によって本州方面からもたらされた時点で封入されていたのか、入手後に北海道で新たに入れられたものか、さらなる調査を進めたい」と話した。
封入物が確認された杯とそのCT解析画像は、同博物館で15日始まった特別展「アイヌ民俗資料を守り伝える力」で公開されている。ほかに、外観からはわからなかったイユタニ(きね)の害虫による内部被害の確認事例なども展示されている。特別展は12月15日まで。(深沢博)
http://www.asahi.com/articles/ASGBJ52W9GBJIIPE00M.html