先住民族関連ニュース

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アイヌ共用林野に向け調査

2021-04-27 | アイヌ民族関連
NHK 04月27日 08時00分
アイヌの人たちが生活や儀式で使う道具の素材になる樹木などを国有林で採取できる契約に向けて、26日日高の平取町で現地調査が行われました。
おととし施行された「アイヌ施策推進法」ではアイヌの人たちが文化の振興や継承のために国有林で樹木の皮や枝、それに山菜などを採ることができる「共用林野制度」が定められています。
平取町は、国有林を管理する森林管理署と共用林野の契約を結び、地元のアイヌの人たちが必要な樹木などを調達できる環境を整えるため、きのう町内の国有林で資源量の調査を行いました。
このなかで町から調査の委託を受けた「平取町アイヌ文化振興公社」の職員は、植物の専門家とともに野草や山菜などを写真に収めて記録していました。
町は今後、地元のアイヌの人たちへの聞き取りも行い、採取できる樹木や植物の種類と量、対象エリアなどを決めて、今年度中に契約を結びたいとしています。
調査に参加した振興公社の職員の門別徳司さんは「この森林ではこれまで草木を見て歩くことがなかったので、どんな植物が生えているのか知ることができてよかった。民具や猟の道具の製作に活用していきたい」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20210427/7000033395.html

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北大アイヌセンター 研究成果を冊子に 年1回発行へ

2021-04-27 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/26 19:13
 北大アイヌ・先住民研究センターが、アイヌ民族や世界の先住民族に関する研究成果をまとめた冊子「アイヌ・先住民研究2021」を発行した。
 B5判、201ページで、北大や神戸大などの研究者ら9人の論文を掲載。アイヌ民族が抱えるトラウマや、台湾や米国での先住民族政策などを論じている。
 冊子の編集委員長を務めた加藤博文センター長は「若い研究者が発信できる場にしたい」と話し、今後も年1回発行する予定。学外に成果を発信する冊子の発行は、同センターが2007年に開設されて以来初めて。
 冊子は、北大の学術研究成果を閲覧できるホームページ(https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/index.jsp)からダウンロードできる。(田鍋里奈)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/537665

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<書評><沈黙>の自伝的民族誌 石原真衣著

2021-04-27 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/25 05:00
「アイヌ/和人」二分法への抵抗
評 マーク・ウィンチェスター(国立アイヌ民族博物館アソシエイトフェロー)
 本書は自伝的な民族誌ではあるが、著者の「アイデンティティ」探しではない。「私は誰か」ではなく、この社会にとって「私は何か」が本書の問いである。
 祖母がアイヌ民族で、父が和人の著者は、自分がアイヌでも和人でもない「ミックスレイシャル」(複数の出自を持つ)と認識している。だが、これを語ろうとすると、各方面から著者はありとあらゆることを言われた。「あなたがアイヌでも気にしない」「もっと、自信を持って生きてください」「アイヌであることを否定している」「アイデンティティが揺らいでいる」「アイヌだってことが嫌なの?」「あたまがおかしい」。これに対して著者は、何度も沈黙を強いられた。アイヌの出自を隠したいからではない。著者にとって、自身の和人のルーツと同様にアイヌのルーツは大切だという。しかし、アイヌ/和人という強固な分類体系の社会に、彼女はアクセスできない。これが、「第三項の排除」を被る「サイレント・アイヌ」の姿だと著者はいう。
 文化人類学者である著者は、サバルタン(従属的存在)論、沈黙論、当事者研究などの最良の部分を丁寧に編み合わせながら、上記の問いに迫る。そして、その答えを、曽祖母―祖母―母―私という4世代それぞれの縦の分断の原因である「北海道命名一五〇年」の歴史性に導き出す。アイヌの出自を持つすべての人が同じ集団として表象される論理は、明治時代の人種的カテゴリーにさかのぼる。この論理は著者と和人・アイヌ社会双方との横の分断を起こし、属しないことも許さない。
 著者や家族を勝手にアイヌ枠に包摂・排除する一方で、「アイヌには定義がない」「民族としてのアイヌはもういない」とする現在の時代状況の中で本書が書かれた。この書を読んで、既存の二分法に従わない存在である著者の言葉に混乱する読者もいるかもしれない。しかし、アイヌ民族を否定する人が操ろうとしている力は、著者を沈黙させてきた力と同じだ。同じルーツを共有する人々と新たな交差点を生み出す可能性を著者が探りたいという。切に期待したい。(北海道大学出版会 3850円)
<略歴>
いしはら・まい 1982年生まれ。北大アイヌ・先住民研究センター助教
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/537415

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アイヌ伝統刺しゅうの「古布絵」展示 宇梶静江さん、横浜で

2021-04-27 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2021/04/26 10:16

© 毎日新聞 提供 展示されている宇梶静江さんの作品=横浜市で、高田奈実撮影
 アイヌの伝統的な刺しゅうを古い布に施した「古布絵(こふえ)」作家の宇梶静江さん(88)の作品を展示する「アイヌアートフェスティバル2021」が、横浜市金沢区のギャラリー「アサバアートスクエア」で開かれている。宇梶さんは国の同化政策で奪われた権利回復を訴えてきた関東のアイヌ民族復権運動の草分け。初日の17日には宇梶さんの講演会があり、アイヌを巡る現状を語った。【高田奈実】
 アイヌは北海道を中心に樺太(サハリン)や千島列島などに暮らしてきた先住民族。明治政府は1899年に北海道旧土人保護法(1997年に廃止)を制定してアイヌの同化政策を進めた。明治以降、就職以外にも差別から逃れようとして多くのアイヌが本州に移った。しかし、道外に住むアイヌの人口調査はほとんど実施されていない。東京都が88年に実施した調査では都内に約2700人いると推定される。
 宇梶さんは33年、北海道浦河町に生まれ、その後上京。アイヌに対する差別や偏見がなくならない中、72年、新聞に「ウタリ(アイヌの同胞)たちよ、手をつなごう」と投書をし、翌年「東京ウタリ会」を設立して復権運動に身を投じてきた。俳優、宇梶剛士さんの母でもある。
 講演で、宇梶さんは道内の学校で「アイヌ」と罵倒された学生時代を「わけもわからないまま差別を受けてきた」と振り返った。復権運動の先駆者として国にアイヌの置かれている現状を陳情し続けてきたが、状況は変わらなかった。布絵と出合ったのは63歳の時。「アイヌがここにいると、布絵で表現しようと思った」と国に対する憤りが制作を始めたきっかけになったと語った。
 同ギャラリーには、アイヌ神話に登場するシマフクロウをモチーフにした古布絵や民族衣装など約20点が展示されている。同ギャラリーのアイヌに関するイベントは今年で2回目。主催した浅葉和子さんは「自然と共存する生き方をしてきたアイヌの考え方は今の時代に必要。イベントは来年以降も続けていきたい」と話す。
 30日まで。入館料1000円。問い合わせはアサバアートスクエア(045・783・9705)まで。
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%8C%E3%81%AE%E7%8F%BE%E7%8A%B6%E3%80%8C%E5%8F%A4%E5%B8%83%E7%B5%B5%E3%80%8D%E3%81%A7-%E4%BD%9C%E5%AE%B6%E3%83%BB%E5%AE%87%E6%A2%B6%E9%9D%99%E6%B1%9F%E3%81%95%E3%82%93%E3%80%81%E6%A8%AA%E6%B5%9C%E3%81%A7%E4%BD%9C%E5%93%81%E5%B1%95/ar-BB1g2Vgi

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アイヌ語継承 紙氏 話者の育成へ支援急げ

2021-04-27 | アイヌ民族関連
赤旗 2021年4月26日(月)
 日本共産党の紙智子議員は19日の参院決算委員会で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が「消滅の危機にある言語」と位置づけるアイヌ語を継承するため、話者の早急な育成を求めました。
 紙氏は、アイヌ語継承の取り組みが急がれる中、アイヌ語の効果的な教育法の確立をめざす「アイヌ語教育基盤整備事業」への2021年度予算は528万円にとどまると指摘。「アイヌの人は、話者の家に住み込んで継承しようと努力している。こうした取り組みにも支援が必要だ」と提案しました。
 加藤勝信官房長官は、実情は承知していないとした上で「アイヌ施策推進法の趣旨にのっとり対応する」と述べるにとどめました。
 日本テレビの番組でアイヌ民族への差別的な表現をした問題で、紙氏は政府の再発防止策を質問。加藤官房長官は、内閣官房などで再発防止策の検討を指示したと述べました。
 紙氏はアイヌ新法ができたにもかかわらず問題が起きたとし、根本原因には、政府が明治政府の同化政策などを謝罪しないことにあると強調。閣僚の問題発言も繰り返されていると指摘しました。
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2021-04-26/2021042605_03_0.html

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アイヌ差別連想、街路灯に落書き HPで「人権侵害許さない」 国立市 /東京

2021-04-27 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2021/4/27 地方版 有料記事 691文字
 アイヌ民族への差別的な表現を連想する可能性がある落書きが国立市内の街路灯に見つかり、市はホームページ(HP)で「人権侵害を許さない」と情報発信している。市は今後、新たに同様の事案が発生した場合は、立川署への被害届の提出も検討する。【加藤昌平】
 同市政策経営部市長室によると、1日午前、JR国立駅近くの旭通りに不適切な落書きがされていると市民から通報があった。市職員が確認したところ、通り沿いの街路灯に白いペンで書かれたとみられる「アッ犬だ‼」という落書きが見つかった。
 この表現は、日本テレビの情報番組で3月にお笑い芸人が謎かけとして用いて批判を受け、同社が謝罪した表現に類似している。同市は「(日テレの件を取り上げた)マスコミ報道にあった不適切な発言と同内容」だとして問題視している。落書きの遮蔽(しゃへい)や街路灯の管理者への消去要請などを行い、8日からHPで「市は差別を許しません!」とする情報発信を行っている。
この記事は有料記事です。 残り281文字(全文691文字)
https://mainichi.jp/articles/20210427/ddl/k13/040/017000c

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アイヌモシリのしゅんのレビュー・感想・評価

2021-04-27 | アイヌ民族関連
フィルマークス 2021/04/26 10:29
アイヌモシリ(2020年製作の映画)
 わかりやすいアイデンティティ記号(ここでは「アイヌ」)と人がどう戦うかをフィクションの形式で描く。ミッションが明確であるがゆえに、複雑なものを複雑なまま映していて、それがとても魅力的だった。
 三者面談で「ここ以外のどこかに行きたい」と少年は言うが、強烈な反抗心からいうわけではなく、曖昧な違和感がそれをいわせる。バンドではジョニー・B・グッドも演奏するが、OKI AINU DUB BANDに体を揺らせもする。熊の瞳の位置に置かれたカメラに向けて少年は、強い瞳も、とろりとした眠い瞳も、どちらも投げている。イオマンテの儀式をめぐる人々の葛藤と、父の死を受け入れるためのレッスンを二つの軸にしながら、最終的に交差させていく物語には浄化がある。浄化作用はもちろん劇を成立させる技術の効果なのだけど、複雑さを消さないままカタルシスにいたるところに信頼を覚えた。撮影や編集にこなれないものがある気もしたけど、感性と知性を震わせるものが宿っていて良い映画だ。
 三浦透子とリリーフランキー以外は実際に阿寒湖周辺で暮らすアイヌの人々が出演している。

アイヌモシリ上映中
https://filmarks.com/movies/89586/reviews/110299070

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岡村隆史に石田純一、“失言” しても復帰できる人・消える人の「ボーダーライン」

2021-04-27 | アイヌ民族関連
週刊女性 4/26(月) 17:01
 社会的弱者への偏見や差別用語などで、表舞台から消えるタレントたち。なぜ彼らは失言をしてしまうのか? 人を貶める発言は絶対に許されるものではないが、その後に復帰できる者と、消えてしまう人の違いとはーー。
 3月12日放送の『スッキリ』(日本テレビ系)で、アイヌ民族に対する不適切なネタを披露したお笑い芸人・脳みそ夫(41)のひと言が大きな波紋を広げている。
 同番組内で、アイヌ女性のドキュメンタリー作品を紹介した後、「ここで謎かけをひとつ~」とアイヌ民族に対する差別的ともとれる言葉を発してしまったのだ。この件については、BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送倫理検証委審議入りが決まった。
 不適切な発言について、北海道アイヌ協会は猛抗議。本人が謝罪するだけでは収まらず、『スッキリ』MC陣も深謝。さらには、政府が再発防止に向けた対策を検討する方針を伝えるまでに発展し、日本テレビホールディングスの大久保好男会長も謝罪する事態となった。
失言で窮地に追い込まれた芸能人
 “口は禍のもと”とは、まさにこのこと。脳みそ夫の今後を心配する声も上がっているが、振り返ると失言で窮地に追い込まれた芸能人は少なくない。
 古くは、スポンサーを激怒させた乱一生の「2分間のCMのうちにトイレに行かれる方はトイレへ行ったほうがいいですよ」発言。そして、活動自粛にまで追い込まれた倖田來未(38)の「35歳を過ぎると羊水が腐る」発言も大きな物議を醸した。
 最近では、岡村隆史(50)の「美人さんがお嬢(風俗嬢)やります」発言が記憶に新しいところだろう。なぜ失言をしてしまう芸能人は、後を絶たないのだろうか?
 炎上騒動に明るいネットニュース編集者兼ライターの中川淳一郎氏は、
「昔に比べると、ネットやSNSなど芸能人の発信機会が自由、かつ増加している。失言しやすい環境になっているため、今後はもっと増えていくのではないか」と説明する。
ネット上での失言が消えづらい理由
 過去の失言の多くは、先述した乱一生のように番組内でポロリしてしまうケースや、「不倫は文化」発言で騒動を巻き起こした石田純一(67)のように突撃取材などで失言をしてしまうケースがほとんどだった。
 しかし、ブログやツイッターが定着するようになると、ネット発の失言が目立つようになる。その最たる例が、《自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ! 無理だと泣くならそのまま殺せ!》というタイトルのブログを投稿した長谷川豊(45)だろう。大炎上後、レギュラー番組を降板する事態になり、いまなお発言による傷痕は深い。
「失言についてのニュースがネットで読まれると炎上し、より多くの人の目に止まり、結果、PV数が稼げます。雨後のたけのこ状態よろしく、次から次へとその失言に関する記事が各社から発信されるため、渦中の芸能人から失言のイメージが消えづらい」(中川氏、以下同)
 その嚆矢となった失言が、倖田來未の「35歳を過ぎると羊水が腐る」発言だと、中川氏は指摘する。
「この失言は、彼女がパーソナリティーを務めるラジオ内でのひと言。ラジオという比較的パーソナルな媒体においても炎上し、ネットニュース化、つまりメディアにとって価値があることが示された出来事だったと思います。以後、芸能人のラジオ内の発言もマスコミがチェックすることが当たり前になったほどです」
 岡村隆史の失言も、ラジオ内での出来事だった。彼からすれば、いつものノリで発したひと言だったのだろうが、そうは問屋が卸さない。見事にネットニュース化され、大騒動に発展した。
 実際、あるスポーツ紙の記者は、「数字が取れそうな人の発言は常にチェックしています。テレビはもちろん、ラジオやSNSでの言葉にも注視している」と明かす。一方で、「ネットの発展がファクトチェックの機会になっている」と中川氏は付け加える。
ネットがなければ致命傷にならなかった
「“僕くらいビッグになると~”という発言だけをマスコミに切り取られた田原俊彦(60)のBIG発言は、マスコミが前後の言葉を要約し、キャッチーな部分だけで作られた“失言”。
 ところが、彼のイメージは凋落した。もし、あの時代にネットがあれば、“トシちゃんはそんな意味で言っていない”とファクトチェックが働き、致命傷にはいたらなかったと思います」
 同じく、石田純一の「不倫は文化」発言も要約されたニセ失言だ。言説のソースや事実を確認できるという意味では、ネットならではの利点もあるというわけだ。
 一般人による揚げ足取り的な行為から失言にいたるケースもある。例えば、「注文していないのに水代として800円取られた」とレビュー投稿されたことに対し、貧乏人のレビューはあてにするなといったニュアンスの反論が失言と解釈された川越達也(48)は、「被害者ではないか」と中川氏は分析する。
「生意気な反論をしたということで袋叩きのような目に遭った。そもそもレビューがなければこのような事態にはなっていない。メディアは、司法、行政、立法に次ぐ“第四の権力”と呼ばれるが、今や一般人が“第五の権力”になっている」
 ツイッターなどで有名人に絡んでいく一般人もこの部類に入り、芸能人に向かって突撃する“当たり屋”のような一般人に巻き込まれることで、失言まがいの態度を取ってしまう芸能人もいると説明する。
致命傷になる失言とならない失言の違い
 過去、深夜番組内で「集団万引きを繰り返し、店を閉店に追い込んだ」と告白したあびる優(34)は問題外だが、仮に「赤信号だったけど車が走っていなかったので、横断歩道を渡った」と、このご時世に発しようものなら、“第五の権力”から火をつられてもおかしくないという。
 前出のスポーツ紙記者が、「言葉や表現が制約されるようなものですから、芸能人、特にお笑い芸人はストレスがたまっているようです。“人を傷つけない笑い”などと称される第7世代は、時代に敏感なのでしょう」と語るように、芸能界も過渡期を迎えているといえそうだ。
 そのうえで、失言をしたことで致命傷にいたる芸能人とそうではない芸能人がいる点も見逃せない。前述した長谷川豊、倖田來未、岡村隆史らは深手を負ったが、「どうして生まれてから大人になったときに照明さんになろうと思ったんだろう?」など独特の職業観を語った広瀬すずは、非難こそされたが、イメージの急落にはつながっていない。
 この点について中川氏は、「変えられない現実に対して揶揄したり、バカにしたりする発言は、取り返しのつかない失言になっている傾向がある」と語る。
「倖田來未の発言は35歳以上の女性を傷つけ、長谷川豊も人工透析をしている病人を傷つけた。年齢や性差、障害、持病など変えることができない問題に直面している人や対象に対する失言は、暴言になる」
 東日本大震災が起こった際、自身のツイッターで《くだらね、世の中チャリティ産業かょ!?》などとつぶやいたマリエは、同年ファッションの勉強という名目で、表舞台からしばらく姿を消した。被災地を傷つける配慮なき発言と受け取られても仕方ない。
 一方、川越にレビュー投稿者は傷つけられたかもしれないが、貧乏な人がお金持ちになる余地はある。広瀬すずの件も、転職という余地がある。変えることが可能な問題の場合、延焼範囲が広がりづらく、他者に与える失言のイメージも根深くなりにくい。
「今回の脳みそ夫のアイヌ民族に対する失言も同様ですが、変えられない問題は人権団体などの抗議に発展する。失言をした芸能人への風当たりは強くなり、アレルギー反応を示す人も増えるため、芸能活動に大きな支障をきたしてしまう」
 ただし、“老害”という言葉は、「権力者のイメージがあるので、判官びいきを好む日本人的にはグレーでしょう。ですが、変えられない問題ですから、いずれは失言案件になるのではないか」と苦笑する。
 昨今は、ユーチューブに進出する芸能人も増えている。今後は、ユーチューブ発の失言も増えることが予想されるだけに、芸能人のみなさま、いま一度「舌は禍の根」であることをお忘れなく。
なかがわ・じゅんいちろう……博報堂を退社後『TV Bros.』編集者を経て、2006年からネットニュース編集者に。炎上問題やウェブに関する著書多数。近著に『恥ずかしい人たち』(新潮新書)
(取材・文/我妻アヅ子)
https://news.yahoo.co.jp/articles/37ffbb177452604a9f22b6904f4eaeed14691aeb


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