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地球温暖化のウソ? ホント?(4)温暖化対策の目標は、なぜ「1.5℃未満」なの?

2024-02-26 | 先住民族関連

ウェザーニュース02/25 05:13 

2016年に発効した、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)のパリ協定では、長期の目標として「世界的な平均気温の上昇を、産業革命以前に比べて2℃よりも十分に低く保つとともに、1.5℃より低く抑える努力をする」ことなどが掲げられました。

産業革命前に比べて、なぜ1.5℃未満の上昇に抑えないといけないのか。1.5℃以上、世界の平均気温が上昇したら、どうなるのか。

これらのことについて、気候変動問題の専門家である江守正多さん(東京大学 未来ビジョン研究センター教授/国立環境研究所 上級主席研究員)に聞きました。

Q1/産業革命前より1.5℃以上、上昇すると、大変なことになるって、本当?

◆A/本当です。干ばつなどが増えて、発展途上国をはじめ、多くの人々の生命が脅かされます。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、産業革命前に比べて、世界の平均気温は2020年までの10年平均で約1.1℃上昇しています。

ただし、近年の地球温暖化のペースを考慮すると、現状はすでに1.3℃に近いと考えられます。

その主な原因は人間の活動によって排出されている二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスです。

私たちはここ数年、熱波、大雨、干ばつ、山火事などの災厄(さいやく)をたくさん経験しています。「夏がものすごく暑くなった」とか「暑い日がずいぶん多くなった」などと実感している人も多いでしょう。1.1~1.3℃、気温が上昇していても、このような状況になっているのです。

これが仮に1.5℃以上になり、2℃上昇したら、どうなるでしょうか。特に大きな被害を受けるのは発展途上国の人々です。

乾燥地域や北極域、小さな島国などに住む貧しい人々や先住民族などは、干ばつの増加、生態系の変化、海面の上昇、台風の激化などによって、生活基盤を失い、生命の危機に直面することが増えると考えられます。

このような変化はすでに起き始めており、「1.5℃より手前であれば安全で、1.5℃を超えたとたんに急に大変なことになる」というわけではありません。

しかし、世界の平均気温の上昇を1.5℃で止められれば、2℃上昇した場合に比べて、こうした影響に直面する人口を2050年時点で数億人減らすことができると試算されています。1.5℃は、国際社会が設定した、一つの重要な目安になっているのです。

Q2/1.5℃未満に抑える目標は達成できるの?

◆A/理論的には可能ですが、現実的にはそう簡単ではありません。

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2018年に発表した報告書には、1.5℃未満を実現するために、複数のシナリオが描かれています。

シナリオが描けるということは、1.5℃未満を実現することが「理論的には」可能であるということです。「絵に描いた餅」という言葉がありますが、いわば「餅の絵」は描けるといえます。

このシナリオによれば、2030年ごろまでの私たちのあり方がたいへん重要です。2030年までに、世界の二酸化炭素の排出量を2010年に比べて45%前後減らす必要があるからです。

このシナリオで最も大切なのは、エネルギーシステムを転換することです。まず省エネルギー技術などを使ってエネルギーの需要を抑えて、同時に電化率を上げていかなくてはなりません。

さらに2050年には、電力における再生可能エネルギーの割合を70~85%に増やして、石炭火力をほぼゼロまで減らす、といったシナリオが描かれています。

エネルギーシステムを変えるには、もちろんお金が必要です。このシナリオでは、必要な投資額を年間2.4兆ドル程度と試算しています。

これは世界のGDP(国内総生産)の総額の約2.5%を占めます。こう聞くと、「なんと膨大な金額なんだ」と思うかもしれませんが、実は1.5℃を目指すことなく、現状ペースで投資した場合に比べて、2割ほど増えるだけです。再生可能エネルギーへの投資が増加する一方で、化石燃料への投資が減少するため、この程度で済むのです。

ほかにも、大気から二酸化炭素を吸収する技術を使う必要があることなどが、このシナリオには書かれています。排出された二酸化炭素を吸収する技術は今も研究が続いています。

改めて言うと、産業革命前に比べて、世界の平均気温を1.5℃未満に抑えることは、理論的には可能です。

しかし、Q1で見たように、現状はすでに1.3℃に近いと考えられる上に、残念ながら、世界は今、このシナリオのとおりに動いてはいません。

Q3/気温の上昇を1.5℃未満に抑えれば、問題ないの?

◆A/「1.5℃」はギリギリのライン。個人も企業も変わらなくてはなりません。

繰り返しますが、「1.5℃までの上昇なら大丈夫」という話ではありません。

1℃の温暖化でも、すでに異常気象が激甚化して、世界の特に弱い立場の人々が悲鳴を上げています。1.5℃ならさらにひどくなり、2℃以上になれば、もっとひどくなります。難民の増加などにより、世界全体の秩序が不安定になっていくでしょう。

それに、世界の平均気温がある水準を超えると、グリーンランド氷床の崩壊、西南極(にしなんきょく)氷床の崩壊、熱帯サンゴ礁の死滅、永久凍土の広範で急激な融解といった、大規模で後戻りできない変化が始まる可能性があります。

気温が何度上昇するとこれらが起こるのかは、はっきりとわかっていませんが、最近の研究では、1.5℃を超えると起きてしまう可能性が高いと言われています。もっと早く起きてしまう可能性もゼロではありません。

だから、パリ協定の目標値は「1.5℃未満ならセーフ」と言っているわけではないのです。「なんとしても1.5℃未満で止めなければならない」というのがこの目標の意味なのです。

気温上昇を1.5℃未満に抑えるためには、温室効果ガスの排出を減らさなければなりません。節電したり、マイバッグを携帯したり、プラスティック製品の使用を控えたりするなど、個人の意識と行動を変えることが大切です。

しかし、もっと大切なのは、エネルギーシステムなど社会の仕組みが大きく変わる必要があることを一人ひとりが理解し、そのためのルールを作ることでしょう。

企業ももっと変わる必要があります。たとえば、鉄鋼メーカーが総合素材企業に、化石燃料企業が総合エネルギー企業に変わるような脱炭素化の構造転換を急速に進めることが不可欠です。そのためには、脱炭素化することで「儲かる」仕組みを作ることも大切です。

そして、大量生産、大量消費、大量廃棄の現状を、世界的に変えていく必要があるといえるでしょう。

――――――――

江守さんの解説から、温暖化についての危機感が少しずつ湧いてきたでしょうか。

ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、さまざまな情報をわかりやすく解説し、みなさんと一緒に地球の未来を考えていきたいと考えています。まずは気候変動について知るところから、一緒に取り組んでいきましょう。

監修/江守正多

東京大学 未来ビジョン研究センター 教授。国立環境研究所 地球システム領域 上級主席研究員

https://article.auone.jp/detail/1/2/2/150_2_r_20240225_1708806082356101


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アイヌ語しってる? プ

2024-02-26 | アイヌ民族関連

毎日新聞2024/2/26 東京朝刊

有料記事601文字

プ(倉庫(そうこ))

 ピパ(穂(ほ)摘(つ)み具(ぐ))で採(と)ったアワやヒエなどの穀物(こくもつ)は、乾燥(かんそう)させてから倉庫(そうこ)に入(い)れて保存(ほぞん)します。倉庫(そうこ)はアイヌ語(ご)でプと言(い)います。プはチセ(家屋(かおく))の入(い)り口(ぐち)近(ちか)くに建(た)て、チセによってはプが一(ひと)つとは限(かぎ)らなかったようです。

 プは長(なが)い冬(ふゆ)に備(そな)えて、穀物(こくもつ)だけでなく乾燥(かんそう)させた山菜(さんさい)や肉(にく)、魚(さかな)などの保存食(ほぞんしょく)を蓄(たくわ)える場所(ばしょ)でした。・・・・・・

 <文(ぶん):深澤(ふかざわ)美香(みか)(国立(こくりつ)アイヌ民族(みんぞく)博物館(はくぶつかん)研究員(けんきゅういん))イラスト:ケニ(山丸(やままる)賢雄(けんゆう)、文化(ぶんか)振興部(しんこうぶ)体験(たいけん)教育課(きょういくか)アイヌ語担当(ごたんとう)) ウポポイ(民族共生象徴空間)協力>

https://mainichi.jp/articles/20240226/ddm/013/100/044000c


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主演作続く注目女優・吉田美月喜、常盤貴子との共演で気づいた未熟さ 成長の中で見えた新たな目標語る<モデルプレスインタビュー>

2024-02-26 | アイヌ民族関連

モデルプレス 2024/2/25

デビュー以後、ドラマ・映画・CM・舞台に出演し、年々その存在感が増している女優・吉田美月喜(よしだ・みづき/20)。2024年も、主演の映画・ドラマから始まり、さらなる活躍を期待させている。

そんな中、数々の現場を乗り越えて見えてきた目標とは?インタビューで素顔に迫った。

主演作続く注目女優・吉田美月喜、常盤貴子との共演で気づいた未熟さ 成長の中で見えた新たな目標語る<モデルプレスインタビュー>

© モデルプレス

◆吉田美月喜の転機 目指す女優像

2017年に芸能界へ入り、CM・ドラマ・映画と立て続けに出演し、主演も重ねてきた吉田。二十歳ながら類まれな表現力で様々な難役を演じきり、着実に評価を得てきた中、転機になったのは、常盤貴子とW主演を務めた映画『あつい胸さわぎ』(2023)。

「常盤さんをはじめ素敵な女優さんに囲まれて演じて、『私って、今までも、今も、演技で助けられてしかいないんだな』って感じました。常盤さんは、現場全体の状況を観ながら私のことも気遣ってくださったのに、私は自分のことでいっぱいいっぱい」。自身にとって初めて長編映画主演だった現場で感じたのは未熟さ。

その経験が、目指す女優像を変えた。「『吉田美月喜がいるから安心だよねって言ってもらえるような大人になっていく』という目標が明確に見えたのがこの時でした」。

◆吉田美月喜の変化

20歳から少しずつ姿勢も変わってきたという。「『私、これが強みなんです』というものを見つけられたら、また違う1歩が踏み出せるのかなって思っていて」と、キックボクシングと歌に注力し始めた。

「アクションが出来る女優さんってカッコいいなって思いますし『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』(2020)で清野菜名さんのアクションを観て『カッコいい!』って思ったのもあり、経験していると作品に入った時に違うかなと思って習い始めました」。「舞台『モグラが三千あつまって』で、初めてしっかりお仕事で歌う機会があり、楽しいなと思えたのと、これを伸ばせていけたら新しいチャンスが掴めることがあるかもしれないと思って、習い始めました」。

「今後は自分が見つけたこと出来ることを出していけるようにしていきたい」。吉田の成長はまだまだ続きそうだ。

◆「カムイのうた」伝える責任感

主演映画「カムイのうた」(1月26日より全国で順次公開)でも難役を演じきった。アイヌ文化伝承者・知里幸惠さんをモデルにしたテル役。役作りは苦労も多かった。

「アイヌ文化という今まで自分が知らなかったものを取り入れなきゃいけなくて、歌や楽器、当時の着物の着方など、所作の1つひとつが、どれも事前準備がしっかり要るものでした。私自身、実在した方をモデルにした役を演じるのが初めてだったので、責任感とプレッシャーは最後までありました」。

責任を背負いながら実直に役と向き合えた“原動力”は「伝えたい」という強い想い。「この作品を撮影するにあたって、実際に日本でこういう差別があったことを初めて知り、すごくショックだったし、知らない自分が恥ずかしくて…。私の同世代の方も知らない方が多いんじゃないかなと思いましたし、日本人として生きている中で知らなきゃいけないことだろうなって感じたので、監督と一緒に、映画の力を借りて知ってもらえるようにしたいという思いが原動力だと思います」。

そのプレッシャーが解かれたのは北海道、先行公開された舞台挨拶でのこと。「アイヌ民族の方にとって知里さんはとても大切な方なので、受け入れてもらえるのだろうかと公開までは心配だったんですけど、観に来てくれた方々が涙を流してくださったり、真剣な顔で頷きながらお話を聞いてくれたりしました」。認めてもらえた喜びが肩の荷を下ろしてくれた。

◆吉田美月喜「マイストロベリーフィルム」見どころ

主演作は映画に限らず今冬はドラマもスタート。MBSドラマシャワー『マイストロベリーフィルム』(毎週木曜25時29分~ほか)で、女子高生・中村千花を演じている。

「自分の思っている恋心や複雑な想いを言えないで悩んでいる」と語る千花には重なる部分も多い。「私も、自分の気持ちをバンッと周りに出すことがそんなに無くて、気を遣いがちというか、特に大切な人に対しては気を遣ってしまうところがあります」。

ともにクアトロ主演を務める深田竜生、矢花黎、田鍋梨々花との関係性は学生生活そのもの。「黒板にみんなの似顔絵を描いたり、遊んだり。男の子2人が、自分たちの性格と演じるキャラクターがそれぞれ反対みたいで『俺たちすごい違和感ある』ってずっと聞いていたのが面白かったです(笑)。田鍋梨々花ちゃんはスタイルも良くて綺麗で大人っぽいと思っていたんですけど、意外に天然なところもあって可愛くてすごく癒やしになってました」。3人のことを思い浮かべ話しながら、笑みが溢れる。

見どころをたずねると、「学校生活を舞台にした青春ストーリーなんですけど、4人とも矢印の向きがしっかりと描かれていて、ぎゅっと凝縮してるような狭い世界のような感じ」とクアトロ主演ならではの世界観、さらには強いこだわりを挙げてくれた。「表情やセリフの間をすごく大切にしていて、それは企画の時点で『ドラマというより映画っぽく撮りたい』と聞いていたことなので、みんなが意識して演じています。間の取り方、小さな眉毛の動きのような細かい表情、そういう部分まで観ていただくと楽しんでいただけると思います」。

◆吉田美月喜の悲しみを乗り越える方法

最後に、吉田自身の「悲しみを乗り越えた方法」を聞いてみると「全ての出来事は運命だと思うようにしています」と、支えてくれた母の言葉を教えてくれた。

「なかなかオーディションに受からなかったり、自分の思ったようにできなかったり、今でもたくさんありますけど、そういう時には母から言われた『出会いは全部運。あなたが悪いんじゃない。ということ。“運命の人”は恋愛だけじゃなくて、仕事でも人間関係でも出会う時があるから、そんなに気にしなくていい』という言葉に救われます」。

もう1つ大事なことは、新しい運命に出会うためには挑戦する1歩も踏み出すこと。「そのうえで、何かあった時は『これはしょうがない、そういう運だったんだ』と切り替えられたら、ちょっとは楽になるかなと思います」。

◆吉田美月喜の夢を叶える秘訣

そして、夢を叶える秘訣もまた似ている。デビュー当時からもブレない。「私は運があるんだって思ったほうが良いと思います。ポジティブにいた方が、自分のチャンスや夢を掴むことができるんじゃないかなと思います」。

(modelpress編集部)

■吉田美月喜(よしだ・みづき)プロフィール

2003年3月10日生まれ。東京都出身。2017年にスカウトされ芸能界に入り。主な出演作に「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」(2020/読売テレビ・日本テレビ)、「ドラゴン桜」(2021/TBS)、Netflixドラマ「今際の国のアリス」(2020)、映画「メイヘムガールズ」(2022)、「あつい胸さわぎ」(2023)、舞台「モグラが三千あつまって」など。

2024年は、ドラマ「はれのひ シンデレラ ウェディングドレスを日本へ!ある女性の挑戦」(2月24日15:30~読売テレビ・日本テレビ)、主演舞台「デカローグ 1~10」デカローグ7『ある告白に関する物語』(6月22日~新国立劇場 小劇場)も控えている。

【Not Sponsored 記事】

https://www.msn.com/ja-jp/news/entertainment/主演作続く注目女優-吉田美月喜-常盤貴子との共演で気づいた未熟さ-成長の中で見えた新たな目標語る-モデルプレスインタビュー/ar-BB1iQz6X


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吉田美月喜、映画『カムイのうた』でアイヌ役に挑戦「地元の方に認めてもらえるのか不安だった」

2024-02-26 | アイヌ民族関連

エンタメ2/25(日) 12:00

吉田美月喜 撮影/たむらとも

映画やドラマなど話題作に出演し注目を集めている女優・吉田美月喜。現在公開中の映画『カムイのうた』ではアイヌ民族が詠い継ぐ“ユーカㇻ”を日本語に訳し、19歳でこの世を去る主人公を演じている。今回、映画を通じて学んだアイヌ文化と役への想いを語ってくれた。

【写真】『カムイのうた』でテルを演じた吉田美月喜 撮り下ろし写真【6点】

──映画『カムイのうた』で主人公・テルを演じてみて、いかがでしたか?

吉田 まずお話をいただいた時、私はアイヌ文化について詳しくなかったので、まずそこから勉強を始めました。そしてテルのモデルである知里幸惠さんのことも勉強して、役作りを進めていきました。撮影当時私は19歳で、知里さんが亡くなられたのも19歳。知里さんはいろんなものを抱えそれを命をかけて残していった方なので、知れば知るほど彼女の強さに惹かれましたし、同時に「自分よりもずっと大人だな」という印象も受けました。

ただ、実際に北海道へ行き「知里幸惠 銀のしずく記念館」で勉強させていただくと、そこには家族との可愛らしい手紙のやりとりだったり、19歳らしい一面も見えてきて。最初は遠い存在に思えたけれど、次第に自分に近い部分も見つけられて、親近感を持って演じることができました。

──演じる上で、菅原浩志監督からはどのような指示がありましたか?

吉田 菅原監督はリアルさを追求される方でした。作品内で私はムックリというアイヌ民族の楽器を演奏しているんですけど、一般的に映像作品では音は別に録って差し替えることが多いと思うんです。でも監督は「絶対に吉田さんの音で、現場で録ったものしか使わない」とおっしゃって。なので私はムックリの音を鳴らすところから練習を始めて撮影に臨みました。

あと、着物を着るシーンや袴をたたむシーンなど、日常的な動作は練習してほしいと言われたので、私も毎日家で動画を撮って練習しました。アイヌ文化を知らない私にとってはとても苦労しましたが、だからこそリアリティのある作品になったと思っています。

──撮影も北海道で行なったんですよね。

吉田 はい、夏と冬に北海道へ行って撮影しました。夏は1カ月間滞在して、とても過ごしやすかったです。私は時代物の作品に挑戦するのが今作が初めてだったので、どのように気持ちを切り替えればいいんだろうと最初は悩みました。でも実際に北海道に行ってみて、その景色に助けられました。普段自分が見ている景色ではないからこそ、作品の世界観に入り込みやすかったなと思います。

──冬場の撮影はいかがでしたか? 夏と比べて、きっと厳しい環境だったと思うのですが。

吉田 そうですね、とにかく寒かったです。私は袴の下に現代の温かいインナーを着て撮影をしましたが、当時の方はどのようにこの寒さをしのいでいたんだろう? と思いました。また、当時使われていたものと同じ藁のブーツを履くシーンもあって。藁なのに水や雪が中にまったく入ってこなくて、アイヌの方の生活の知恵というか技術の高さに驚きました。

「地元の方に認めていただけたのはとてもうれしかった」

──『カムイのうた』は昨年11月より北海道で先行上映され、今年1月から全国上映が開始。吉田さんのもとにも感想や反響が届いているかと思います。

吉田 北海道先行上映の初日に、舞台挨拶に回らせていただきました。北海道はこの作品の舞台ですし、アイヌの血筋の方も多く観に来てくださったので、私は「果たして認めてもらえるのだろうか」と不安でした。でもいざ上映後に登壇すると、皆さん涙を流してくださったり、挨拶の言葉にも真剣に耳を傾けてくださって。地元の方に認めていただけたのはとてもうれしかったです。東京での上映が始まってからは、私の友達も映画を観てくれました。

最近はアニメなどでアイヌ文化が広まりつつありますけど、実際にアイヌの方々が受けていたことについて、私の世代は知らない子が多いんです。その友達が「こんな歴史があったなんてびっくりした。映画を通して知れてよかった」と言ってくれたのもうれしかったですね。

──吉田さん自身もこの作品を通してアイヌ文化や歴史に触れ、考えたことも多いと思います。

吉田 今作で共演した加藤雅也さんが、舞台挨拶で「この映画は当時の和人を悪く言っているわけでもないし、もちろんアイヌの方々を悪く言っているわけでもない。どちらにも正論があり、それがぶつかってしまっているだけなんだ」とおっしゃっていて、その通りだなと私も思いました。

当時の和人がアイヌの方々にしたことは許されることではないけれど、どちらも同じ人間なんだから、お互いに知ろうと努力したり歩み寄る気持ちを持っていればまた歴史は違っていたのかな、って。怖がらず、知ろうとすることが大切なんだとこの映画を通して私は感じました。

──改めて、『カムイのうた』はどんな作品になってほしいですか?

吉田 まず私は、日本でこういうことがあったと知ってショックであり驚きました。きっと知らない方も多いと思うので、知っていただきたいという思いが大きいです。またこの作品がアイヌ民族の方にとって意味のあるものになればうれしいです。大ヒットしてほしいというよりは、長く広く、じっくり知っていただき愛してもらえる映画になったらいいなと思います。

左藤 豊

https://news.yahoo.co.jp/articles/213b619a3099f0bd34f24338619ccaabbde17c32


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映画「ゴールデンカムイ」に登場する北海道の地図提供は「福井」 SNSでも話題の謎を調べてみた

2024-02-26 | アイヌ民族関連

福井新聞2/25(日) 11:25配信

映画「ゴールデンカムイ」に登場する北海道の地図(ⓒ野田サトル/集英社ⓒ2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会)

 明治末期の北海道を舞台に、アイヌ民族から奪われた金塊を巡るバトルアクションで大ヒット上映中の映画「ゴールデンカムイ」。作品の冒頭、北海道の地図がスクリーンいっぱいに映し出され物語の壮大さを演出しているが、映画のエンドロールにはなぜか「地図資料提供 福井県文書館」と流れる。「北海道の地図なのになぜ福井が!?」とSNSでも話題になっており、調べてみると福井のある“発信力”のすごさが分かった。

■白羽の矢

 ゴールデンカムイは、累計発行部数2700万部突破の大人気コミックの実写化。劇中に登場する地図は、映画公式ホームページに掲載されている予告動画でも確認できる。

 全国に1点しかない貴重な地図が福井にあって、それが使われたのだろうか―。期待を膨らませて県文書館に聞くと「特別な地図ではないですよ」とあっけない答えが返ってきた。

 地図は1895(明治28)年に北海道函館市の書店から発行され市販された「実測 北海道全図」。ではなぜ、同館所蔵の地図に白羽の矢が立ったのか…。

 県文書館の田川雄一さんが「当館がインターネットで公開している資料を、(映画のスタッフが)見つけたと聞いています」と教えてくれた。制作会社に問い合わせると「ネットで見つけた地図の中から、監督のイメージに最も近かったのがこの地図だった。映画で使用するため、所蔵する福井県文書館に申請した」とのことだった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/7a267ec1d852efd90edeb320949df53c706530a0


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早大で「台湾出兵・牡丹社事件150年」国際シンポジウムを開催 3月16~17日に

2024-02-26 | 先住民族関連

THE NEWS LENS 2/25(日) 9:11

国際シンポジウム「台湾出兵・牡丹社事件150年 交錯する日台の視座」

台湾近海で遭難した宮古島島民の船が台湾東南海岸に漂着し、生存者54人が台湾先住民(原住民)によって殺害された牡丹社事件が後の台湾出兵につながったことを考える国際シンポジウム「台湾出兵・牡丹社事件150年 交錯する日台の視座」が3月16、17の両日、早稲田大学で開催される。

テーマである「牡丹社事件」は、日清修好条規が結ばれた1871(明治4)年に発生。

当時の琉球王国・首里王府に年貢を納めた帰りの宮古、八重山船計4隻のうち、宮古船1隻(乗組員69人)が台湾近海で遭難し、台湾東南海岸に漂着。

この際に生存者54人が台湾の原住民(台湾では「先住民」はすでに滅亡した意を含むため使用されない)パイワン族によって殺害された事件で、日本では「琉球漂流民殺害事件」「琉球漁民殺害事件」「宮古島民台湾遭難(遭害)事件」「台湾事件」などと呼ばれている。

これに対して誕生間もない明治政府は清朝に強く抗議したが、原住民を「化外の民」(国家統治の及ばない民衆)だとする清朝の回答を根拠に1874(明治7)年、台湾出兵を行った。

2024年はこの牡丹社事件の結果である台湾出兵から150年の節目にあたるため、早大台湾研究所と台湾出兵・牡丹社事件研究会がシンポジウムを主催。台湾出兵・牡丹社事件に対する一層の理解と関心を広げるため、台湾から有識者をゲストに招き、研究者、ジャーナリストらが歴史学や人類学、メディアなど多角的視点で議論する。

3月16日は午前9時半から午後5時まで、同17日は午前9時半から11時半まで、早稲田大学8号館307教室で。17日午後は「東京における台湾出兵史跡めぐり」を開催を企画している。

参加には下記リンクから事前の申し込みが必要

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeKgiydbqXwOcBQDjoAKGUgMS3t5lxKFHESHeoIY1pGFyksOw/viewform?usp=sf_link

【台湾出兵・牡丹社事件150年 交錯する日台の視座】

開催日:3月16日 (土曜日) 9 : 30 –17:00

3月17日 (日曜日)  9:30 – 11:30、午後は史跡めぐりの予定です。

場所:早稲田大学8号館307教室 (3F) 

(地図:https://www.waseda.jp/top/access/waseda-campus)

3月16日

午前

基調講演1:陳耀昌(作家『フォルモサの涙』著者)「台湾出兵と牡丹社事件は150年の台湾史にいかなる影響を与えたか」

コメンテーター:下村作次郎(天理大学)、野嶋剛(大東文化大学)

午後

基調講演2:胡川安(中央大学〈台湾〉)「英エディンバラ大学から牡丹社・パイワン族兵士の頭骨が返還された歴史的意義」

コメンテーター:宮岡真央子(福岡大学)

セッション1「琉球・宮古島の視点から」:

仲宗根玄治(医療法人とよみ会理事長、琉球民遭害事件受難者御子孫)と

平野久美子(『牡丹社事件 マブイの行方 日本と台湾それぞれの和解』著者)による対談

「琉球・宮古島の視点と語り継がれる歴史」

3月17日

午前

セッション2「人物からみた台湾出兵=歴史の目撃者の証言と記録」:

羽根次郎(明治大学)「ルジャンドルの“Boutan”叙述が問いかけること―エスニックな台湾出兵理解への困惑」

後藤新(武蔵野大学)「台湾出兵における大久保利通と大隈重信」

春山明哲(早稲田大学台湾研究所)「エドワード・ハウスと『征台紀事』―アメリカからの視線―」

野嶋剛(大東文化大学)「日本初の海外従軍記者・岸田吟香と草創期日本メディアの視線」

コメンテーター:松永正義(一橋大学)

午後

エクスカーション「東京における台湾出兵史跡めぐり」(計画中)

https://news.yahoo.co.jp/articles/d1a68e00d01af835fecba9f2df436d697e9f88b9


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ピエール=アレクシィ・デュマさん、皆川明さんらが出演。映画『フィシスの波文』がまもなく公開。

2024-02-26 | アイヌ民族関連

プレミウム2024/02/25 16:20

人と自然と文様の連関を映し出すドキュメンタリー。

『唐長』十一代目(唐紙屋長右衛門)の千田堅吉さん、芸術人類学者の鶴岡真弓さん、〈エルメス〉アーティスティック・ディレクターのピエール=アレクシィ・デュマさん、〈ミナ ペルホネン〉デザイナーの皆川明さん――2024年春、さまざまな人と場所を巡り、文様にかたどられたフィシス(あるがままの自然)を辿るドキュメンタリー映画『フィシスの波文』が公開される。

映画の起点となるのは、今年で創業400年を迎え、和紙に文様を手摺りする唐紙を継承してきた京都の工房『唐長』。植物文、雲や星を表す天象文、渦巻や波文などが刻まれた江戸時代の板木に泥絵具や雲母を載せ、和紙に文様を写していくさまは瞠目に値する。『唐長』当主の千田さんは「主役はあくまでも文様。思い入れを入れてはいけない仕事」と、日々作業を繰り返していた。

この映画を企画・製作したプロデューサーの河合早苗さんは次のように語っている。

「唐長に伝わる650枚の文様の多くは吉祥文様であり、日本人の自然観、宗教観と深く結びついている。森の精気を含んだ板木、万年の記憶を砕いた岩絵の具、水と太陽によって白く晒された和紙。自然の記憶と手との対話から、文様は和紙へと反転され唐紙となる。板木と和紙のあわいでは、内と外、過去と未来を行き来する絶え間ない循環が起こり、写し取られた手仕事による不揃いは、美しいゆらぎの全体を生み出す。そして唐紙は永遠の時間を獲得するのである」

「日本人は文明社会を生きながら、一方で記憶の古層と未だに深く結びついでいるように思える。唐長の唐紙が400年間途絶えることなく、今も人々の暮らしに息づいている理由がそこにあるのかもしれない」

カメラはあるがままの自然のかたち、動き、リズム、色合いといった自然の様からイタリアの岩壁に描かれた線刻、古代ローマの聖堂を飾るモザイクなどを丁寧に映し出していく。

芸術人類学者の鶴岡真弓さんは、京都の祭礼にインドやケルトなどユーラシア文明に共通する文様が用いられてきたこと、北と南の文明の出会いによって生まれた動物文様の陣羽織を豊臣秀吉が身につけていたことなどに触れて「人々に生命力を与えるのが文様の根源的な使命」という。

写真:京都の祇園祭。京都市東山区の八坂神社の祭礼で、7月1日(吉符入)から31日(疫神社夏越祭)まで、1か月にわたって多彩な祭事が行われる。山鉾巡行に飾られた、美しい刺繍や舶来織物などが見られることから「動く美術館」とも呼ばれ、国際都市京都の歴史がうかがえる。提灯に描かれた三つ巴は、1万キロ離れたケルト文様とも似ている。本編では芸術人類学者の鶴岡真弓さんが詳しく解説。

写真:〈ミナ ペルホネン〉デザイナーの皆川明さん。ハンドドローイングを主とする手作業の図案によるテキスタイルデザインを中心に衣服をはじめ、家具や器、店舗や宿の空間ディレクションなど、日常に寄り添うデザイン活動を行っている。映画の中では、皆川さんが絵を描く場面も。

アイヌ猟師の門別徳司さん。父の影響でアイヌ文化に触れ、造園の仕事に携わりながら、仲間とともに狩猟や解体について学び始める。2012年に銃猟免許を取得。平取アイヌ文化保存会に入会し、古式舞踊や生活儀礼部長として儀式儀礼に積極的に取り組み、アイヌとしての狩猟文化、感謝、祈りを次世代へつなげていくための活動をしている。

唐紙に注目する〈エルメス〉のアーティスティック・ディレクター、ピエール=アレクシィ・デュマさんは「工芸によって形を変える行為は、混沌の中に宇宙を見出すこと」と語り、〈ミナ ペルホネン〉デザイナーの皆川明さん、美術家の戸村浩さんは、自らの創作における文様ついて真摯に語った。終盤、密やかに行われるアイヌの儀式や山の神への祈りの映像は、人と自然と文様との関係性をより鮮明に浮きあがらせ、静かな余韻を残す。

『幸福は日々の中に。』『島の色 静かな声』などの作品で注目を集めてきた監督の茂木綾子さんは「唐長の唐紙文様はとてもシンプルで洗練され、大変心落ち着くものです。また、世界中の様々な暮らしの中にある文様は、ずっとそこにありながら、実はとても不思議な存在に感じられます。きっと遠い昔から、人が自然を神々として捉え、その美と力に近づこうと文様の原型が生まれたのではないでしょうか。私も同様に、自然の完璧な美に常に感動し、太古から続く自然を愛する人々の営みに対する共感とともに、この作品を制作しました」とコメントを寄せている。

『フィシスの波文』は2024年4月6日(土)より、シアターイメージフォーラムほか、全国の上映館にて順次公開。

Information『フィシスの波文』

2023年/85分/日本

監督・撮影・編集:茂木綾子
出演:千田堅吉(唐長十一代目 唐紙屋長右衛門)、千田郁子(唐長) 鶴岡真弓(芸術人類学者)
ピエール=アレクシィ・デュマ(エルメス アーティスティック・ディレクター)、戸村 浩(美術家)、皆川 明(ミナ ペルホネン デザイナー)、門別徳司(アイヌ猟師)、貝澤貢男(アイヌ伝統工芸師)ほか
サウンド:ウエヤマトモコ
音楽:フレッド・フリス
タイトル考案:中沢新一(人類学者)
宣伝美術:須山悠里
プロデューサー:河合早苗

公式サイトはこちら

text : Yu Miyakoshi

https://news.goo.ne.jp/article/andpremium/trend/andpremium-112401.html#google_vignette


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