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先住民やジョン・レノンと触れる、カナダで泊まりたいホテル7選

2025-02-03 | 先住民族関連

東のニューファンドランドから西のブリティッシュ・コロンビアまで

ナショナルジオグラフィック 2025.02.02

(写真)ニューファンドランド島の沖にある29部屋のフォーゴアイランド・インからは北大西洋の大自然が見える。変化を生き延びてきた島のコミュニティを文化的、経済的に支えている。(PHOTOGRAPH BY BILL KENNEDY, ALAMY)

 カナダの旅行中にどこで寝るかで重要なのは、ベッドの大きさや枕の柔らかさといった話ばかりではない。ニューファンドランドからブリティッシュ・コロンビアまで、今回紹介する7つの宿泊施設には、そこでしか見られない文化、できない体験がある。

フォーゴアイランド・イン
(ニューファンドランド)

おすすめポイント:地域とのつながり

 先見の明のあるカナダの起業家であるジータ・コブ氏が、ニューファンドランド島北東部沖のフォーゴ島にこの驚きの建築物を建てたのは2013年。地元の小さな漁業コミュニティを文化的、経済的に支援していくためだった。

 女性の協同組合によって縫われた、物語が描かれたキルトが壁を飾っている。併設されたレストランで提供されるタイセイヨウダラは、持続可能な管理の下、地元で水揚げされ、島の水産会社で加工されている。(参考記事:「いつかは行きたい最果ての地 ――ニューファンドランド」

 エグゼクティブ・シェフのティム・チャールズ氏は、どの海鮮料理にしても、その評判が島で暮らすほぼ全員の生活に直接、影響することを理解している。その影響について、宿泊客にしっかりと伝えることが宿の重要な役割なのだ。チャールズ氏は言う。「それが第一の使命です」(参考記事:「住民総がかりで観光客をもてなす:フォーゴアイランド・イン」

豆知識:宿は地元の人を紹介してくれる。たいていは地元を愛する年長者で、島での日々の生活がわかるツアーに宿泊客を連れ出してくれる。

ワンダー・ザ・リゾート
(オンタリオ)

おすすめポイント:ウオーターセラピー

 トロントから2時間ほど東に向かった位置にあるプリンスエドワード郡は料理人やワイン醸造家が集まるエリアだ。そこにあるウェスト湖の岸に、10部屋の北欧テイストのロッジがある。

「多くの人が、林間学校や家族とのキャンプといった思い出を持っています」。家族や友人とリラックスして過ごすことを心に描きながらこの場所を作った、オーナーのシャノン・ハンター氏はこう語る。「キャンプファイヤーのはぜる音。針葉樹の匂い。木々を抜ける風の音。ろうそくの灯りで遊んだボードゲーム。そうした記憶の断片を織り込んで、特別な場所を作りました」(参考記事:「太古の森に包まれる ──オンタリオ」

 2025年1月、新たに約930平方メートルの広さのスパ施設がオープンした。大浴場やサウナ、スチームサウナ、湖畔の昼寝テントなどがある。記憶にある「キャンプ体験」が、さらに贅沢なものになるのは間違いない。

豆知識:近隣のピクトンやウェリントンといった町に出れば、自家製アイスクリームやクラフトサイダー、受賞歴のあるワインの数々を楽しめる。

クラフース・ウィルダネス・リゾート
(ブリティッシュ・コロンビア)

ギャラリー:歴史や風土を体験できるカナダの宿泊施設 写真4点(写真クリックでギャラリーページへ)

先住民が運営するクラフース・ウィルダネス・リゾートの針葉樹でできたロッジはオフグリッドで、デソレーション・サウンドの眺めが楽しめる。(PHOTOGRAPH BY DESTINATION CANADA)

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おすすめポイント:先住民の文化

 バンクーバーの約150キロメートル北にあるデソレーション・サウンドに、料理やアクティビティの料金が宿泊料に含まれるオールインクルーシブなエコリゾートがある。ここには、水上飛行機か船でしかアクセスできない。(参考記事:「先住民の文化を学びに行こう カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州」

 野生動物の専門家が、船での探検や、クジラやクマを安全に観察できる塔へのツアーに連れ出してくれる。夜には先住民とともに、針葉樹の皮やスイートグラスの葉を編んだり、薬草を焚く儀式をしたりといった、カナダ建国以前からあった伝統的アクティビティに参加できる。

豆知識:このリゾート施設はすべて先住民によって運営されている。滞在料金は、土地と人々の暮らしを守り、維持していくために使われている。

チェルシー・ホテル
(トロント)

おすすめポイント:家族旅行

 町の中心部にあるこのホテルには、約40メートルのウォータースライダーや昔ながらのアーケードゲーム機があり、2匹のうさぎも飼育されていて、子どもが夢中になれる要素がたくさんある。「こんな設備のあるホテルはチェルシーくらいでしょう」と、プールの監視員を務めるバレリー・モンティナット=デスコム氏は話す。卓球や映画、図画工作、ビンゴなどが楽しめる幼児から10代までのための「家族で楽しむエリア」もある。(参考記事:「多文化を楽しむ トロント、カナダ」

 宿泊者はホテルの外でも、リトル・カナダやオンタリオ科学センター、リプリー水族館など、20を超える家族連れ向け施設で割引を受けられる。ただルームキーを見せればいい。

豆知識:チェルシー・ホテルは「ギャップを埋めよう」プログラムによって、障害者でも快適に宿泊できる。多目的トイレの場所を知らせる設備や点字メニュー、送迎サービスなどを用意している。

フェアモント・ザ・クイーン・エリザベス
(モントリオール)

おすすめポイント:有名人ゆかりの地

 モントリオールの人気ショッピング街であるサン=カトリーヌ通りやノートルダム大聖堂のようなケベックの文化的名所からほど近いこの場所は、1969年にスイートルームのベッドで、ジョン・レノンとヨーコ・オノが「平和を我等に(Give Peace a Chance)」を書いたホテルだ。

「ベルスタッフのひとりは、このベッドでの逸話をお客様にお話ししたり、ときにはギターでビートルズの曲を弾いたりすることを、とても誇りに思っています」。マーケティング・ディレクターのミシェル・グーゾ氏はこう話す。(参考記事:「フリーランナー、モントリオール」

 象徴的なこの場所を訪れる有名人も多い。カナダ首相を務めたジャスティン・トルドー氏も、選挙の勝利をここで宣言してきた。

豆知識:フェアモント・ザ・クイーン・エリザベスは、自閉症の人向けの訓練学校「ジャイアント・ステップス」と協働している。自閉症の人の採用を進めるとともに、全スタッフが自閉症のスタッフや宿泊客を歓迎するように取り組んでいる。

グレイシャー・ビュー・ロッジ
(アルバータ)

おすすめポイント:大自然の驚異

 この宿は、カナディアン・ロッキー山脈にあるふたつの国立公園の間で、地域最大のコロンビア氷原からほど近い、人里離れた場所にある。床から天井まであるロビーの窓からは、コロンビア氷原から流れ出る6つの氷河のひとつ、アサバスカ氷河の美しい姿が見える。(参考記事:「カウボーイの祭典 ──アルバータ」

 宿泊客はアイス・エクスプローラーという荒れ地も走行可能な乗り物に乗って、気候変動によって後退する氷河の周辺環境の変化を観察し、学ぶことができる。「ずっと心に残る体験になるでしょう」とアイス・エクスプローラーの運行を管理するジェイコブ・ウィルソン氏は言い、こう続ける。「初めて氷河の上を進んだ経験は誰も忘れないものです」

豆知識:近くには、雄大なサンワプタ渓谷の約280メートル上空に架かるガラスの歩道、「コロンビア・アイスフィールド・スカイウォーク」がある。

ミューア、オートグラフ・コレクション
(ハリファックス)

おすすめポイント:港の眺め

 ノバスコシア州のハリファックス港にある新しいこのホテルは、町の造船の伝統を、まさにその素材の面からも讃えている。建物の正面に使われたマンツメタルや屋外歩道に敷かれているバラストなどが、かつてこの町に人や物を運んできた船とのつながりを表しているのだ。(参考記事:「知られざる入植者たちの歴史 ──ノバスコシアとニューブランズウィック」

 屋上のテラスに向かえば、宿泊客専用の隠れ家酒場「BKS」で、夕暮れ時のカクテル一杯を楽しみながら行き交う人々を眺められる。夜、落ち着きたいときには、ベッドサイドのQRコードを読み込もう。ちょうど窓の外で鳴っているような海の波の音など、厳選されたハリファックスの音源が流れる。

 目の前にはクイーンズマーク地区があり、約4キロメートルの遊歩道が続く。再開発されたこの地区は、海辺の公共空間が以前の2倍以上に広がっている。

豆知識:近くの21番埠頭に「カナダ移民博物館」があり、世界中からカナダを目指した、世代を超えた人々の物語が語られている。カナダ人の43%がノバスコシアを通っていったという推計もあり、そこにはナチスドイツから逃げてきた孤児、最近ではウクライナ戦争による難民も含まれている。

文=Heather Greenwood Davis/訳=米田想森郎

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/25/013100055/?rss

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