琉球新報公開日時 2024年10月07日 05:00
更新日時 2024年10月07日 11:36
ニライ・カナイぬ会の松島泰勝共同代表(左端)と登壇者=9月28日、那覇市の県立博物館・美術館講座室
この記事を書いた人藤村 謙吾
【那覇】研究を目的に持ち出された琉球人遺骨の返還を求める「ニライ・カナイぬ会」などが9月28日、琉球民族遺骨問題を考える対話シンポジウム「わったー琉球先住民族や、くたんでぃてーをぅらんどー!なまからるやる!!」を那覇市の県立博物館・美術館講座室で開催した。同会共同代表の松島泰勝龍谷大学教授、亀谷正子さん、仲村涼子さんらが登壇した。
昭和初期に墓から持ち出された遺骨を保管している京都大学を提訴した、遺骨返還請求訴訟の判決後の現状や、2024年6月に公表された米国人類学会による琉球民族遺骨問題に関する報告書について語った。
松島さんは23年9月の大阪高裁判決を、「判決文に国家機関が琉球民族を先住民族と認め、日本帝国の植民地支配を認めた、画期的な文言が記された」と振り返った。
米国人類学会の総括報告書に、研究者らは「遺骨が敬意を持ち扱われているかどうかを心配している子孫に対し責任がある」と記されていることを紹介した。その上で「京大研究者による遺骨取得は『倫理的取得』とは言えない」と指摘した。厨子甕(ずしがめ)を所蔵する国立民族学博物館の問題にも触れ、「(遺骨など)『流出文化財』の返還運動は、琉球人の自己決定権に基づく精神的脱植民地化を実質化するための運動であり、琉球の政治経済的脱植民地化、脱軍事基地化の土台となる」と結んだ。
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(藤村謙吾)