赤羽じゅんこの三日坊主日記

絵本と童話の本棚
日々のあれこれと、読んだ本のことなど書いていきます。

『アドリブ』佐藤まどかさん、新刊

2019-11-05 09:18:30 | その他

連休、気持ちがいい晴れがつづき、気持ちよかったです。どこにいっても混んでいたかな。

さて、イタリア在住の作家、佐藤まどかさんが、新刊をだされました。

フルーティストをめざす、少年の話です。イタリア在住の日本人という設定。

著者がまさにそうですよね。イタリアに住みながら、児童文学を書かれて活躍されています。

主人公の少年ユージは母といっしょにいった無料コンサートで、国立音楽院の生徒のフルートの澄んだ音に魅せられて、自分も志したいと思います。

そこから少年のフルートとの格闘が始まりました。

自分の才能があるのか、経済的余裕がないのにいいのか、アジア人という差別、いろんなものとたたかいながらも、フルートの腕をみがいていきます。

どこか、文学の創作とも似ていると思いました。才能があるのか、これが限界か、書いているための膨大な時間、ほかのことについやしたほうがいいのではないか、だれでも一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。何度もいやになりながらも、自分のフルートを嫌いになれないユージに共感して応援してくなります。ユージは限界を感じたり、めげたりしながらも、いろんな人に励まされて、やり続けて、そして・・・・・・。

行間からフルートの澄んだ音が聞こえてくるような気がしました。

いろいろすてきな場面があるのですが、わたしが好きなのは、後半バッハの解釈で悩む場面の

昼と夜のあいだ、音と無音のあいだ、行と行のあいだ、大人と子どものあいだ・・・・・・。そんな「あいだ」が好きだ。どっちでもないし、どっちでもある「非絶対的」なもの。

なんて、こんなところです。わたしも「あいだ」が好きだなって思います。白、黒、はっきりってにがてなんですよね。

そこがよわさかとも感じて悩むこともありますが。

とにかくフルートの演奏を聴きたくなる作品です。

ネットでみたら、作者、佐藤まどかさんのトークとプロの奏者のフルートの演奏のイベントがあるような。

わたしも行ってみようかなと思いました。