赤羽じゅんこの三日坊主日記

絵本と童話の本棚
日々のあれこれと、読んだ本のことなど書いていきます。

『あした、また学校で』工藤純子

2019-11-10 07:45:33 | その他

工藤純子さんが新刊をだされました。

高学年から中学生、大人まで楽しめる話です。

小六の一将は、小二の弟、将人が大縄跳びの練習で先生からおこられたと聞きます。そのあと、友だちにも大縄跳びにくるなといわれ、学校を休むようになりました。

それをきっかけに、一将は、「学校がだれのものか」と考えるようになります。

いろんな視点、立場から物語は重層的にすすめられます。

子どもだけでなく、親もPTAの人も先生も登場します。

どの人もそれなりに事情があることがわかり、わたしならどう思うか?と考えられる作品になっています。でも、作者はけっして、答えをおしつけていません。そこがこの作品の魅力でしょう。

あなたも考えてみて?と問題提起をうながすようなつくりになっているのです。

さくっといきおいにまかせて、読み進められる作品が多い中、考えながら読むこういう作品は、新鮮でおもしろいと思いました。立場立場の事情からの思いや悩みを、すくいあげて書いています。

最後、将人の言葉に、救われました。

ああ、子育てってこんな感じだったなっと、自分があれこれ悩んでいたあのころを思いだしました。

やはり、子どもに救われていました。

子どもが学校に行っている間、なかなか学校のリアルは書きにくいものです。

作者の工藤純子さんは、覚悟をきめて書かれたのだと思いました。拍手を送りたいです。