工藤純子さんが新刊をだされました。
高学年から中学生、大人まで楽しめる話です。
小六の一将は、小二の弟、将人が大縄跳びの練習で先生からおこられたと聞きます。そのあと、友だちにも大縄跳びにくるなといわれ、学校を休むようになりました。
それをきっかけに、一将は、「学校がだれのものか」と考えるようになります。
いろんな視点、立場から物語は重層的にすすめられます。
子どもだけでなく、親もPTAの人も先生も登場します。
どの人もそれなりに事情があることがわかり、わたしならどう思うか?と考えられる作品になっています。でも、作者はけっして、答えをおしつけていません。そこがこの作品の魅力でしょう。
あなたも考えてみて?と問題提起をうながすようなつくりになっているのです。
さくっといきおいにまかせて、読み進められる作品が多い中、考えながら読むこういう作品は、新鮮でおもしろいと思いました。立場立場の事情からの思いや悩みを、すくいあげて書いています。
最後、将人の言葉に、救われました。
ああ、子育てってこんな感じだったなっと、自分があれこれ悩んでいたあのころを思いだしました。
やはり、子どもに救われていました。
子どもが学校に行っている間、なかなか学校のリアルは書きにくいものです。
作者の工藤純子さんは、覚悟をきめて書かれたのだと思いました。拍手を送りたいです。