大きい画像は、下記にて
http://www.europlanet-eu.org/outreach/images/stories/ep/news/epsc2010/giurannafig1a.bmp
当ブログにて2月20日に下記のとおり書きましたが。
「Phobosの正体は、いまだ謎です。次の3通りの可能性が考えられていますが、真実は解るでしょうか?
①火星の重力に捕まった小惑星である。
②火星が形成された時に同時に形成された。
③火星に大きな隕石がぶつかって、飛び散った残骸が火星軌道上で形成された。」
その続編となります。
9月20日のMarsTodayによりますと③の可能性を示唆するデーターが集まってきたとの事です。
個別にESAの Mars ExpressとNASAの Mars Global Surveyorが熱赤外スペクトルで測定した結果、かなり似た結果を得たのと、Mars Express搭載のthe Mars Radio Science Experiment (MaRS)での測定でPhobosが高多孔性であることも確認されました。
これらの結果は、9月20日ローマで開催された欧州惑星科学会議にて Dr. Giuranna とDr. Rosenblatt によって発表されたとの事です。
詳しくは、下記にて
http://www.marstoday.com/news/viewpr.html?pid=31665
元ねたは、下記にて
http://www.europlanet-eu.org/outreach/index.php?option=com_content&task=view&id=304&Itemid=41
以前の可視近赤外での観測では炭素質コンドライトの存在を示唆する結果であったので、上記の①の可能性が有力視されていたが、今回の結果からは、コンドライト隕石であるということが難しいとのこと。
その代わりPhobosの表面にphyllosilicates(珪酸塩)鉱物を確認したとのことです。特にPhobosの最大のクレーターのStickneyの北東の地域に多いとのこと。
このことは、Phobosの生みの親のところで、液体の水の中で珪酸とミネラルの反応が起こっていたことが示唆されます。
または、Phobosでその反応が起きたとするとPhobosに液体の水の存在が可能であるための条件(熱源など)があったことになります。
もっと詳しく調査するためには、探査車での調査やサンプルを地球に持ち帰ってくることが必要となります。
火星表面の調査結果から言っても、火星とPhobosの地表面の組成はかなり似ているようです。
また、こうなると現在のPhobosとDeimosの軌道は、①の説をとると説明が難しいとも言い出してますね。
今回は、MaRSによって3%の精度でPhobosの重量が測定され、密度が1.86±0.02 g/cm3と計算されました。
結構、軽いです。コンドライト隕石が、2.2~3.8g/cm3くらいのようですので。
こうなると、来年のPhobos-Gruntがますます楽しみになってきました。
ぜひ、サンプルリターンに成功して欲しいものです。
ESAの Mars ExpressがPhobosに接近する様子の動画がまた出てますので、下記にて見てください。
http://didac.oma.be/phobos.php