9月26日のWhat'sNewによりますと、Curiosityが着陸してから約4ケ月間で得た情報のレポートが「the Sept. 27 edition of the journal Science」で報告されています。
その中で、一番のビッグニュースは、水分の発見ですね!
主な舞台は、"Jake Matijevic."と"Rocknest"です。
Sol43に"Jake Matijevic."をMAHLIとAPXSの調査対象に決めてます。
Sol56で"Rocknest"に最接近して、Sol61で初めてサンプルを掬ったのでした。
下図は、Sol59-60でNavCamで撮影されたものです。
今回の発表の主な点は、以下の通りです。
・地表のきめ細かな土粒子に約2%の水分子が含まれていることが分かりました。
この土粒子は、火星のほとんどの表面を覆っているので、火星全体に水があるといっても良い発見です。
(今後の有人探査に勇気を与えるものとなりましたね。でも、荷造りはまだしないでといっている人がいます。
http://news.discovery.com/space/mars-water-discovery-human-mission-resource-curiosity-130926.htm)
・地球での鉱物を識別するための標準的な実験法を用いて、初めて他の惑星で包括的な鉱物学的分析を完了しました。
土壌中の結晶と非結晶の両方の組成に関する知見は、惑星の火山の歴史への手がかりを提供するでしょう。
*分析に使用した機器:「CheMin」
・サッカーボール大の火成岩"Jake Matijevic." の鉱物組成分析によって、火星の地殻と内深部の進化についての情報が得られました。
火成岩は、地殻の下で溶融物質が冷却されることによって形成します。
岩石の化学組成は、それらが結晶化した際の熱、圧力および化学的条件を推論するために使用することができます。
今までに調査した火星の火成岩は、それほど地球の火成岩と似ていなかった。
今まで調査した火星の火成岩が地球の火成岩とも "Jake Matijevic."とも大きく違うということは、驚きであるとのことです。
・砂とダストの組成と風の流れによる形成過程の分析が報告されています。
・"Rocknest"と呼ばれる吹き溜りからサンプルを掬い取って、5つの分析器で調査しました。
"Rocknest"は、複雑な歴史を持っており、その地域で発生した砂の細粒を含んでいます。
それは、風に吹かれた火星のダストのサンプルが地域的あるいはグローバルに分散した砂粒子と同様に、細かい粒子です。
*分析に使用した機器:「ChemCam」「APXS」「MAHLI」「SAM」「CheMin」
・ChemCamの分析によって、"Rocknest"の土微粒子と風に運ばれたダストの組成が同じであることが分かりました。
Curiosityは、139回レーザーで分析を実施したそうです。
・"Rocknest"のサンプルの組成を決定するためにCheMinが使用されました。
CheMinは、10の異なる鉱物を識別するのみでなく、結晶構造も解析できます。
その結果、予想外なことに結晶性鉱物より非晶質成分のものが多くを占めていることがわかりました。
・また、サンプルは、SAMに取り込まれてSMS(sample manipulation system)で焼かれて、そこから放出されたガス中の化学物質と放射性同位体の分析が行われました。
この時に水分が確認されました。その水分子は、非晶質に結合していることが分かりました。
更に、この水の水素同位体比は、最近の大気との相互作用によるものであることを示しています。
(遠い昔に閉じ込められた化石ではなく、今も循環している水、生きている水なんです。)
また、この加熱装置による分析で塩素酸塩、過塩素酸塩のような酸素と塩素を含む化合物も発見しました。
これは、2008年にPhoenixが遥か北極圏で発見したものです。
過塩素酸塩のような化合物が火星に広く分布していると考えられます。
*懐かしいですね!Phoenixの活躍は・・・
Phoenixが過塩素酸塩を発見したことは、当ブログ2009年7月4日の「 いよいよ正式な論文が出ました!」で紹介してます。
この時もScienceに掲載されたのでした。 実際に分析を実施したのは、約1年前でした。
*New Curiosity Research Papers - From Sept. 27, Science Magazine Issue
- Summary by John Grotzinger, Mars Science Laboratory project scientist:
Analysis of Surface Materials by the Curiosity Mars Rover (PDF, 667 KB) - The Petrochemistry of Jake_M: A Martian Mugearite (PDF, 1.21 MB)
- Curiosity at Gale Crater, Mars: Characterization and Analysis of the Rocknest Sand Shadow (PDF, 1.37 MB)
- X-ray Diffraction Results from Mars Science Laboratory: Mineralogy of Rocknest at Gale Crater (PDF, 631 KB)
- Soil Diversity and Hydration as Observed by ChemCam at Gale Crater, Mars (PDF, 5.12 MB)
- Volatile, Isotope, and Organic Analysis of Martian Fines with the Mars Curiosity Rover (PDF, 775 KB)
上記のGrotzingerさんのサマリーと5つのレポートは、着陸から4ケ月間の調査結果となります。
4ケ月というとSol120頃で、12月7日です。実質"Rocknest"の調査を終えたのは、Sol100(11月16日)ですが・・・
Curiosityによる2012年12月7日までの調査結果が2013年4月3日にレポートとして纏められて提出された訳ですが、出版の受理が8月15日で実際の出版が9月27日ですか~
結構掛かるものですね!拙速では困りますから、こんなもんなんでしょうかね。
そして、未だにCuriosityが取得したデーターの分析が継続されているとの事です。
もっと、火星のことが分かることを期待してます。