前回からの続きです。
今回の試聴会の焦点は中国製のDAコンバーターである。仮に「G」としておこう。予備のプリアンプを外してラックに組み込んだ。
「エルガー プラス」と同一条件にするために、電源については「200Vを100Vに降圧した」電源タップに接続し、そして電源ケーブルには「ドミナス」(PAD)を使用した。
余談だが「デジタル機器」は電源次第でガラッと音が変わる。
小窓の表示が「44.1KHz」になっているので、「この機器はアップサンプリングできないんですか?」とYさんにお訊ねすると、
「これはパソコンやCDトラポに応じて自動的に対応するシステムになっています。したがって機器自体でアップサンプリングできないようですよ」「成る程」。
というわけで、我が家の「エルガー プラス」とは「44.1KHz」という同一条件下でのテストとなった。
接続の方はCDトラポと「エルガー プラス」とは「バランスケーブル」(1本)で、「G」とは「RCAデジタルケーブル」(1本)で接続し、プリアンプの入力セレクターのスイッチで瞬時に切り替えができるようにしている。
はじめに「エルガー プラス」から試聴。
試聴盤はシステムの音の傾向が比較的わかりやすい「ジャズ・ボーカル」から。
ジャズ評論家「寺島靖国」さんの推奨盤シリーズ「For Jazz Vocal Fans Only」の「Left Alone」(第1トラック)。
まず、Yさんが1年8か月振りに戻ってきたCDトランスポート「ヴェルディ・ラ・スカラ」に対して驚きの声を上げられた。
「これまでのCECのCDトラポに比べて音が激変しましたよ。」
「やはり純正の組み合わせとなると隙を見せないようですね」と自分。
曲はそのままにしてプリアンプのスイッチを切り換えて「G」へ。
「あれっ、(歌手の)声が少し若返りました!」と、お客様のどなたかから声が上がった。要は「フレッシュ」という感じなのだろう。
いわば年増の妖艶さを優先するのか、それとも若さが持つ健康的な美肌を優先するか、これは人生の重大な岐路に立たされますね(笑)。
自分では音の瑞々しさ、鮮明度、周波数レンジのいずれをとってみても総合的には互角だと感じた。
お値段からしたら「G」の大健闘を称えるべきだろうし、一方では製作年代が20年以上違うことからして「エルガー プラス」の古さを感じさせない表現力に敬意を表したいほどで両者に乾杯~。
今後、万一「エルガー プラス」が故障して修理不能となったらこの「G」を即買いだと秘かに決めた。
2時間ほどこのスピーカーで聴いてもらってから、今度は低音域だけ(100ヘルツ以下)「ウェストミンスター」に切り替えた。
となると、コントラバスとオルガンの出番となって「ゲリー・カー」の「祈り」から「オー・ホーリー・ナイト」を。
オルガンの地を這ってくるような重低音ばかりは大きな箱の独壇場でしょうよ(笑)。
いずれにしても皆さん大喜びのご様子だった。
そして後日のこと、初対面だった訪問者の方から次のようなメール(要旨)をいただいた。
ご自宅ではJBLの3ウェイ大型マルチシステムを自作の真空管アンプ3台で鳴らされている豪の方である。
「DACでの音の変化大変面白かったです、勉強になりました、マニアの試聴は大変良い勉強になります、いつか又試聴させて下さい。」
はい、これに懲りずにいつでもどうぞ~(笑)。
最後に、心残りは「G」の「ハイ・サンプリング」の音を聴けなかったことで、この対応としてCECのCDトラポが176.4KHzの信号を出せるので、Yさんとご相談の上次回はこの組み合わせで再度試聴してみることにした。
あっさり「dCS」の後塵を拝した形の「CEC」が名誉挽回なるか、これは見ものです~。
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