✰ 「音響・音楽心理学」(2021年3月31日刊)
「音楽は好きだけど、大がかりなシステムで聴くのは億劫だ」という若者が増えているように思う。
マンションや間借りなどの住宅事情もあるのだろうが、魅力あふれるオーディオを楽しむ層が減少していくのはやはり寂しい。
一介の「市井の徒」がそんなご大層なことを心配しても何の役にも立たないけれど、いずれ自宅のSPユニットや真空管などがオークション市場に出回ることになるだろうから、そのときに少しでも活気を帯びていて欲しいので満更無関係でもないだろう(笑)。
さて、このほど「音響・音楽心理学」に目を通していたら、今どきの「大学生」(平均年齢20歳)182名に対するアンケート調査の結果が記載されていた(P156頁)。
「音楽を毎日聴く」「ときどき聴く」を合わせて83%に上るほど、音楽の人気は高い。
その一方、「利用するオーディオ機器」の割合となるといささか寂しい結果が明らかとなった。
割合の多い順に羅列すると次のとおり。
「コンポ:34%」「カーステレオ:19%」「携帯電話15%」「パソコン:14%」「ウォークマン:11%」「iPod:5%」「その他:2%」と、いった具合。
興味深いのは「カー・・」「携帯・・」「パソコン」で48%とほぼ半分を占めていること。
これらの層をいかに「コンポ」へ引きずり込むかが今後の課題だろう。
たとえば性能が良くてコスパに優れた「コンポ」をいかに普及させるか。
となると、低価格でも設計次第で比較的簡単にいい音が出せる真空管アンプの出番でしょうよ、いや我田引水じゃなくて~(笑)。
ただし、若者たちから「なぜそんなにシステムに拘るんですか?」と、問われる可能性が高い。
そこで「システム次第で音楽から受ける感動はまるっきり違ってきますよ、それにデジタル社会に潤いをもたらす音楽の役割は増えることはあっても減ることはないんだから」と答えるとしよう。
ま、結局は要らん世話ですけどね(笑)。
✰ 「日々翻訳ざんげ~エンタメ翻訳この40年~」
たいへん興味深く読ませてもらったが、31頁に次のような叙述があったのでご紹介しよう。
「”は”と”が”の問題というのは日本語表現の永遠のテーマのように思うが、その使い分けについては私は次の二つの定義を一番のよりどころにしている。
ひとつは国語学者、大野普先生の有名な定義、未知の主語には”が”つき、既知の主語には”は”がつくというやつ。
<昔々、あるところにお爺さんとお婆さんが住んでいました。お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました>
という説明を初めて知ったときには軽く感動した。最初のお爺さんとお婆さんはまだ未知の存在だから”が”で、二番目のお爺さんとお婆さんは既に分かっている既知の主語だから”は”になるというわけだ。何とも明快である。
もうひとつは作家の井上ひさし氏の”は”はやさしく提示し、”が”は鋭く提示するというものだ。大作家の感性が光るこれも明解な定義である。
”は”と”が”の使い分けに迷ったときには、この二つの定義を思い出せばだいたい解決できるはずである。
ついでにもうひとつ言っておくと、”は”と”が”の使い分けに迷うのはたいてい言いたいことがハッキリしていないときである。
ということだった。
自分のケースで言わせてもらうと、たかがブログにしろ15年もやっていると、これまで「は」と「が」の使い分けについては「何となく」というカンに頼ってきたものの、こうして明解に指針を提示していただくと非常に分かりやすいし、頭の訓練にもなる。
これだから、ブログは(が)止められない(笑)。
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