「企業は人なり」という言葉がある。
どんなに科学が先進的になろうとも、たとえば「AI」が究極のレベルに到達したとしても最終的な成果はそれを運用する「人間」に左右される。
したがって、人材の育成はあらゆる業界で大切な要素になっているはず。
で、一般的に「上司は部下を育てる」ものとされているが、先日の日経新聞に「部下が上司を育てる」という逆説的な語句が目に入った。
ほう、これは面白い!(笑)
著者は元「ソニー・ミュージックエンタテイメント社長」の丸山茂雄氏。
学生時代に教師と喧嘩して「内申書」を書いてくれないというので、妥協せずに独自に「入学資格試験」を受けて合格したという方であり、お父さんはあの「丸山ワクチン」で有名な医学博士。
で、同社の幹部だった頃に業界紙の取材で「どう部下を育てているか」と聞かれて「上司は部下を育てられない。部下が上司を育てる」と答えたと文中にある。
エンタメ業界の特有の事情もあるのだろうが、一般的にもそういう面があるのも否めない。
たとえば、中学校から大学までの「先生と生徒」の関係では、難しい質問をしてくる生徒に先生が育てられることもきっとあるに違いない。
また、上下の関係ではないがプロ野球の世界でも好投手と好打者は相互依存というか相乗効果の関係にある。
たとえば、当時の話だが好投手ダルヴィッシュ(現在MLB)などを擁していたパリーグの方がはるかに(打撃力が)セリーグを上回っていたが、これも原因としては投手力の違いが指摘されていた。
で、37年間の宮仕えをしたわが身を振り返ってみると、部下を育てるというよりも「働く背中をみて参考になれば取り入れてくれ」という感じだったかなあ。
部下といっても個性も相性もそれぞれだし、それに肝心の当人だってさしたる取り柄もないし・・(笑)。
その一方、部下だった立場から見て「こういう上司になりたいなあ」というような理想的な上司にも残念ながら巡り合わなかった。
もともと、べったりくっつくのが嫌いな性質(たち)だったしねえ。
社会生活を営む上で「上司と部下の関係」は永遠のテーマのように思えるが、次のような言葉がネットにあった。
厚生労働省が発表した「平成28年雇用動向調査結果の概況」によると、転職者が前職を辞めた理由の割合は「給料が少ない」「労働条件が悪い」に続き、「人間関係が良くない」は3番目に多い理由となっており、その多くが上司との関係だ、とある。
そのうえで、次のような言葉があった。
「上司は完璧ではない。そして、部下である自分もまた完璧ではないはずだ。「上司とはこうあるべき」と理想を押し付けてしまうからこそ、相違が発生したときにギャップに対し怒りが湧くのだ。
大前提、上司は部下を育成し仕事でパフォーマンスを出せるようフォローすることが仕事である。
しかし、それが自分の理想どおり果たされないことを上司のせいにして仕事を辞める決断をする人の末路は悲惨である。なぜなら、どの会社に行っても自分と合わない完璧ではない上司というのは必ず存在するため、また同じ事を繰り返すからだ。
意見や価値観が異なる相手と信頼関係を構築し、マネジメントできる人間力を磨くことがこれからのビジネスパーソンに求められる最強のスキルではないだろうか。」
意表を突くタイトルから入って最後にはとうとう「ありきたりの結論」になってしまいまことに申し訳ない(笑)。