実に、久しぶりに(このブログで)オペラ「魔笛」の登場となった。
きっかけは「日経新聞・日曜版」(7月24日付け)のこの記事。
だいたい日経新聞の記事は社名どおり経済面が主だけれど、ほかの芸術的な記事などにもいつもセンスの良さを感じる。
この記事も、選曲の良さ、サバリッシュという指揮者の選択もGOODだが、ただし、解説記事がお粗末で自分の方がよほど上手く書けそう~(笑)。
何しろこの「魔笛」は生涯にわたって600曲以上も作曲した多作家のモーツァルトにとって、35歳で亡くなるその年(1791年)に作曲されており、いわば彼の音楽の「集大成」ともいえるオペラである。
クラシック界でも最高峰に位置する曲目として、メルヘン的な雰囲気の向こう側には、澄み切った青空のような透明感を通じて人間の営みの「はかなさ、虚しさ」がそこはかとなく投影されている。
したがって、子供でも楽しめるオペラなんてとんでもない!(笑)
文豪ゲーテ、楽聖ベートーヴェンなど一流どころの「お墨付き」を得ているが、日本でもあの「五味康佑」さんの好きな曲目「ベスト20」のうち堂々と第1位を占めている。
言い換えると、この曲を好きにならないと永遠にモーツァルトは縁遠い存在のままになると断言してもいいくらいの名曲。
実を言うとこのブログを16年前に始めた動機そのものが、「魔笛」の素晴らしさを広く世に伝え、最終的には「魔笛」に魅せられた愛好者ばかりが集まった全国的な「魔笛倶楽部」を創ろうというのがそもそもの発端だった。
しかし、ブログを開始して3か月も経たないうちに「魔笛」に関する材料が種切れとなり、仕方がないのでオーディオや読書などの話題を振りまかざるを得なくなって、いつの間にかブログの性格が変質してしまったというのが偽らざるところ。
今や(自分のブログの)メインになっているのは「オーディオ」だが、たしかに面白くてたまらない趣味には違いないが、この分野には「先達」がそれこそ”ごまん”といるのを承知している。
で、所詮は「井の中の蛙」に過ぎないし、それに人によって「好み」や「環境」があまりに違うので広く共感を呼ぶ話題としてはちょっと無理があるように思っている。
たとえば、自分がどんなに「いいシステムだ、いい音」だと力説しても、「僕はラジカセやヘッドフォンで聴く方が好きです、箱庭の世界のような雰囲気が好きなんです」と言われればそれまでの話(笑)。
その点、あらゆる民族の共通の言語ともいうべき音符の世界は共感できる幅が大きい。
「死ぬということはモーツァルトを聴けなくなることだ」と述懐した物理学者の「アインシュタイン」をはじめとして、老いも若きも、貧富の差もなく、秀才も鈍才も関係なく、都会と田舎の差もなく、そして人種を問わず万人が同列に楽しめる趣味なんて、この世に音楽を除いてほかにあるんだろうか。
さて、そこでいよいよ本題のサバリッシュ指揮の「魔笛」に移ろう。
以下、続く。
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