「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

彷徨する「赤い旅人」たちの終着駅

2022年07月20日 | オーディオ談義

我が家のオーディオを象徴するスピーカー「AXIOM80」(英国:グッドマン社、以下「80」)。

欠点もいろいろあるユニットだが、いくら少々飽きっぽい自分でもこればかりは命朽ち果てるまで運命を共にしようと誓っている。

名スピーカーは数あれど なぜ?

以前のこと、「80」のある愛好家が次のようなことを仰っていた。


「ほんとうに性能のいいスピーカーに巡り会えて私たちは幸せものですよ。長年使ってもまったく飽きが来ず、汲めども汲めども尽きない泉のようなところがあります。

アンプをはじめとする周辺機器の能力をたちどころに明らかにするので常に新たな発見があります。このユニットを聴き慣れると、他所様(よそさま)のどんなシステムに接し
てもけっして驚くことがありませんし、大ポカ(無駄遣い)をしなくて済みますね~」。

あれやこれや、どんなに高価であろうと、そしてどんなに凝ったシステムであろうと、クラシックの弦楽器の迫真的な再現性はこの「80」の右に出るものはなく、「生で聴くヴァイオリンよりも魅力的だ」との評価はけっして伊達ではない。

何しろユニットのツクリが通常のスピーカーとはまったく違うので頷けるわけだが、
この「80」は製作時期によって仕様が異なっており、我が家では手元にある2ペアのうち「初期版」が1ペア、「復刻版」が1ペアとなっている。

どこが違うかといえば、たとえば「マグネット」の磁力、コーン紙の軽重など、音の本質に関わる箇所の違いが所有者の悲喜交々な感情を呼び起こす。

関連して、以前のことだが東京都在住の「A」さんという方からメールをいただいたことがある。(匿名ということで無断掲載お許しください。)

「初めてのお便り大変失礼申し上げます。ブログ拝見させて戴きました。東京〇〇市に住むAと申します。
 
私も80には大変興味を抱いて40年にもなろうかと思います。以前、都内の友人がデッカ箱を我が家に持参し、箱毎鳴らしたほうがAxiomらしいと薄厚の箱に搭載し試聴しました。 
 
結果はなるほどと普段箱を必要としない聴き方をしている私も驚きました。 このSPは箱で苦労されてる方が少なからずいると思いますがそれもオーディオの楽しみなのですね。 
 
私の楽しみ方は床の上にゴロッと置いて思いっきりボリュウムを上げ近い位置で聴いています。部屋が大きくないので低域の量感には不満はありません。リアルな中高域はなんとも素晴らしいです。
 
ただ、このユニットは酷使すると不具合が多く発生します。 
 
最近、スペアーパーツを自作し末永く楽しめるように環境を整えました。今朝もボイスコイル4個製作してみました。全て合格となりました。楽しみが益々増えてこの先安心ですね。 
 
お互いオーディオをおおいに楽しみたいものです。大変失礼致しました。」

以上のような文面だったが、添付されていた画像に驚いた。

        

何じゃ、これは~!(笑)

あの複雑で繊細極まりないユニットを限りなく分解されているのだ。しかもボイスコイルまで自作されるなんて!

すぐに返信メールを打った。

「ユニットの生命ともいうべきマグネットはどうされているんですか?」

その回答は、

「ここに来る80はコーンの破損やコイルタッチ、断線、異音、底打ちと様々な症状を
持った赤いマグネット達です。いろんな場所を歩き回って疲労しきった旅人なのでしょうか。かなり減磁していることでしょう。でもこの旅人達の再出発に再度息を吹き還らすことができればどんなにか嬉しいことでしょう。その赤い旅人だけを使います。ローサーも同じです。」

以上のとおりだが「赤い旅人」とは言い得て妙だと感心した。

            

確認の意味で我が家の復刻版の画像を掲載したが、ご覧のとおりマグネットの部分の個性的な「赤色」が「赤い旅人」と称される所以である。

他のイギリス系のユニットでもオークションなどでたまに「赤色マグネット」仕様を見ると思わずドキリとして「さぞやいい音がするだろう」と思わず舌なめずりしたくなるほど(笑)。

ちなみに、我が家で現用中のワーフェデール「スーパー12」「スーパー―10」「スーパー3」はすべて赤帯マグネットである。


ただし、80は繊細極まりないツクリのせいで壊れやすいことおびただしく、我が家でもこれまで修繕に出したこと度々で思いつくだけでも3回にはなる。

少しでも過大入力を与えると、ガサゴソとノイズが発生するし、鳴らし方(箱とかアンプに起因)が悪いとキャンキャンするような音になるなど、メチャ使いこなしが難しく、やむなく諦めて手放す人も多いと聞く。

そういう彷徨する「赤い旅人」たちの終着駅が、結局「A」さん宅になっているのだろう。

つくづく世間の広さを思い知りました!



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