前々回からの続きです。
唐突な話になるが「かなり内向的で、しつこい粘着質タイプ」であることを自認している。
そうでもないと「クラシック音楽&オーディオ」を楽しむ資格はないと思っているが、そういえばスカッとした健康的なスポーツマン・タイプにクラシック・ファンが居た験しがない(笑)。
とまあ、いささかの ”うしろめたさ” を感じ、そして弁解しながらアリア「マリエッタの歌」(歌劇「死の都市」)の絶唱に最適なシステムを求めて次から次に「スピーカー転がし」をやっているが、あまり ”はしゃぎ” 過ぎても顰蹙を買いそうだし、なるべく冷静にいこう(笑)。
3番目に聴いたシステムはこれ。
天下のタンノイといえども容赦することなく自分好みに仕立て上げた2ウェイシステムである。
もちろん、「オリジナルの方がずっといい」という方がいてもちっとも不思議ではない。「音楽と音」に関する感性は「人それぞれ」だし、自分の好みを人に押し付けるつもりは毛頭ない。
さあ、この大型システムで「マリエッタの歌」にじっと耳を澄ましてみた。
最初に気付いたのは、曲の合間にコントラバスの響きがドス~ンと奥深く、そして豊かに広がってきたこと。
何だ、こんな音が入っていたのか!
やはり大型スピーカーならではの「支え」がしっかりした再生音で「オーディオは最後は箱で決まり」の思いを一層深くした。
JBLの「175ドライバー」(900ヘルツ~)も、相性抜群の「71Aシングル」アンプで駆動しているせいか、クラシックにもまったく違和感がない。
歌手の足がしっかりと地(舞台)についていることを確認しながら、このスケール感豊かなアリアを聴いていると、知らず知らずのうちに至福の世界へと引きずり込まれていく。
ちょうど夕食まえのひと時だったのでウィスキーをちびりちびりやりながら、ウ~ン、参った、もういつ死んでもええなあ~(笑)。
「このシステムで決まりだね」と、思わず店仕舞いを考えたが、おっと、もうひとつの大切なシステムを忘れちゃいませんか。
グッドマンの「TRIAXIOM」である。
口径30cmの「同軸3ウェイ」ユニット・・。
ネットオークションでも10年に一度出るか出ないかというほどの希少なユニットである。
ちなみに、このユニットを数年前にオークションで手に入れたまでは良かったものの、片方のユニットから強い音が入った時に「ビビリ音」が出て困り果てた。
馴染の工房(長野)で修繕してもらったが、とても複雑な故障で結果的に高いものにつきました!(笑)
この「TRIAXIOM」は、先日(11月1日)の試聴会で仲間の「S」さんから「ずっと聴いていたい音です!」と絶賛されたのはまだ記憶に新しいが、そのときに「こんな小さい箱に容れておくのはもったいないですよ。いっそのことウェストミンスターに容れてはどうでしょうか」
随分迷ったが、とりあえず「AXIOM80」(オリジナル)が入っていた自作の箱(板厚1・5cm)から断腸の思いで(AXIOM80を)外して、その代わりに移した経緯がある。
そして、一聴するなり「これは・・」と、思わず息を呑んだ。
何という「気品のある音」なんだろう!
これは低音とか高音がどうとかの「周波数レンジ」を超越している・・、神々しいまでの音楽の佇まいに打ちのめされた。
これぞ「ブリティッシュ・サウンド」か・・、雰囲気に独特の翳りというか微妙な陰影があって思わず人生の「来し方」を考えさせてくれるような音。長いことクラシックを聴きこんできた人間だけに通じる世界かもしれない。
これは、人生の喜びや悲しみ、悔恨や虚しさを切々と歌い上げる「オペラ」に最適のサウンドではあるまいか・・、な~んちゃって(笑)。
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