クラシック専門放送「クラシカジャパン」(CS放送)の6月号「メールマガジン」を見ていたら、次の記事が目に留まった。
「2013年に生誕200年を迎えるリヒャルト・ワーグナー。5月に引き続き、ワーグナー作品のみを上演するバイロイト音楽祭の伝説の名演から、奇才ハリー・クプファーのバイロイトデビューとなったプロダクションで、バイロイト史上に残る『さまよえるオランダ人』演出家ゲッツ・フリードリヒが衝撃的なバイロイトデビューを果たし、先日亡くなられたコリン・デイヴィスの指揮、世界的な人気振付家ジョン・ノイマイヤーによる愛と官能のヴェーヌスベルクの世界が必見の『タンホイザー』をお届け!」
エ~ッ、「コリン・デイヴィス」が亡くなったって!
急いでネット情報を漁ったところ、去る4月14日に85歳で亡くなっていたことが判明。まったく知らなかった。
一世を風靡したフルトヴェングラーやカラヤンなどと比べて比較的地味な存在だったが、個人的には非常に思い出の深い指揮者だった。
まず、オペラ「魔笛」。35歳のときに、はからずもクルマで片道1時間半もかかる地域に転勤し、2年間その行き帰りに繰り返し繰り返し耳にタコができるほど聴いたものだった。
おかげで、すっかり魔笛に惚れ込んでしまって、とうとう今日に至るまでいろんな指揮者の魔笛の収集癖がついてしまった。
彼の魔笛は評論家の間ではそれほど名演とされていないようだが、自分にとっては初めて聴いた魔笛なので、「刷り込み現象」も働いたようで、現在でもひとつの基準となっているほどでいまだに忘れられない。
彼の指揮ぶりを一言でいえば、「オーソドックスでいっさい奇を衒ったところがなく、音楽の骨組みがしっかりしていて安心して聴ける演奏」といえるだろう。
また、代表的な曲として知られるのが「ヴァイオリン協奏曲5番」(モーツァルト)。名ヴァイオリニスト「グリュミオー」のエレガントで美の限りを尽くした演奏と相俟って、1961年の録音だが現在でもまったく色褪せることがない。
「名盤鑑定百科」(モーツァルト:吉井亜彦編)でも、二重丸として折り紙つき。
2007年4月29日、NHKーBSハイで放映されたデイヴィス指揮の「魔笛」をDVD3枚に分けて録画したが、「夜の女王」が滅んで、大団円となったフィナーレで子供たちが舞台上に沢山登場していたのが今でも鮮明に記憶に残っている。デイヴィスも随分歳をとったことだし、次代を担う子供たちに明るい希望を託したのだなあと、当時思ったことだった。
合掌。