共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

いい曲だな

2011年06月20日 18時34分50秒 | 日記
大人の生徒さんの一人が今取り組んでいる、バッハのヴァイオリンソナタ ト長調BWV1019の楽譜です。16分音符がいっぱいですが、まだバッハが若い頃に作られた溌剌とした曲です。

普通バロック時代のソナタというと、いわゆる緩(遅めのテンポの楽章)・急(早めのテンポの楽章)・緩・急というテンポ設定の4つの楽章でできています(専門的にはこの4楽章式のかたちを「教会ソナタ」とも言います)が、6曲あるバッハのヴァイオリンソナタの中でこの曲だけは急・緩・急・緩・急の5楽章という、非常に変則的な構成でできている曲です。

しかももっと変わっているのが、ヴァイオリンソナタだっつってるのに第3楽章は何故かクラヴィーア(鍵盤楽器、バッハの時代にはチェンバロ…ハープシコードともいう楽器)ソロになっていて、ヴァイオリンはそのクラヴィーアソロの間ず~っとお休みなんです。

因みにこの曲の第3・4・5楽章にはそれぞれ『異稿(別バージョン)』が存在しています。第3楽章には別バージョンのクラヴィーアソロと、ヴァイオリンがメロディーをとる牧歌風のカンタービレの2種類、第4楽章には半音階で下降していく不安げな間奏曲、第5楽章に至っては、長調で始まった曲なのに何故か短調で書かれたアレグロ(早めの曲)…と、若いバッハの推敲の跡が見られる珍しい曲です。

バッハのヴァイオリン作品というと、どうしても一連の《無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ》という金字塔が圧倒的に有名ですが、私は個人的に(一部偽作だと言われようが)この伴奏付きヴァイオリンソナタも大好きです。もっと有名になってもいいのにな~…って思っております。

ところで余談ですが、この楽譜には何と『チェンバロ伴奏カラオケCD』がついているのです。中身は模範演奏とそれに基づく同じテンポのカラオケ、これだけならありそうなものですが、このCDには尚且つボーナストラックがあり、それぞれの楽章毎に「極端に遅い伴奏」「非常に遅い伴奏」「やや遅い伴奏」「やや速い伴奏」という複数のバージョンの伴奏が入っていて、結構便利です。勿論これでコンサートをしたら興冷めですが、発表会くらいだったら有りだと思います。

バッハの他にもヘンデルやヴェラチーニやコレッリのソナタがあり、ヴィオラ用にもシューベルトの《アルぺジオーネソナタ》のカラオケCD付きもあります。最近は大きなヤマハ等に行くと置いてあります。『リコーダージェーピー有限会社』からでていますので、興味のある方は是非チェックしてみて下さい。
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