火曜日の教室に来ている高校生の生徒に、盛期バロックの巨匠の一人であるハインリヒ・イグナツ・フランツ・ビーバーの《ロザリオの秘蹟によるソナタ》の中の《パッサカリア》を弾かせています。
《ロザリオのソナタ》はビーバーの代表作で、様々なスコルダトゥーラ(特殊調弦)を駆使して聖母マリアの生涯を描いた大作です。曲毎に違った調弦が指定されていて大変なのですが、第1曲の《受胎告知》と終曲の《パッサカリア》だけは一般的な調弦が設定されています。更に《パッサカリア》はヴァイオリン1本の無伴奏で演奏するよう指定されています。
《パッサカリア》という曲は一定のかたちの執拗低音(バッソ・オスティナート)というものがが何回も繰り返されて、それを中心として上に下に旋律を紡いでいきます。このビーバーの作品も、冒頭に奏される『ソ、ファ、ミ♭、レ…』というという音型を執拗低音として、メロディからハーモニーからベースラインに至るまで全てを一人で演奏しなければならないという、なかなかの難曲なのであります。
生徒もYou tubeの動画等を参考にしてあれこれ練習してくるのですが、どうしても一番上に書いてある音譜が前面に出がちになってしまいます。しかし、主旋律というものは必ずしも最高音にあるわけではなく、時には中音部や最低音が主旋律になることもあるわけで、そういう箇所を指摘して浮き立たせるよう工夫をさせてみるのですが、なかなか難しいようです。
私の学生時代とは違って参考音源や動画が手軽に入手出来る便利な世の中にはなりましたが、その分、子供達は一度入手してしまった情報にとらわれやすくなってしまっていることもまた事実だったりして、何とも複雑な心境ではあります。
なるべく自身で楽譜を読み込んで見つけていってほしいこともあるのですが、そういうことをきちんと生徒に伝えるべく改めて自分でさらってみると、単純明快ながらこの曲がいかにキチッと構築された大曲であるかということを再認識させられて驚嘆します。この曲が無ければ、後の大バッハの一連の無伴奏ヴァイオリンソナタ&パルティータは無かったと言われるような名作を折角手掛けているのですから、生徒共々私もまだまだ頑張らないと…。
因みに、動画サイトにあった中で私が『いいな』と思った音源を載せておきました。とってもいい曲なので、興味のある方は是非聴いてみて下さい。
ビーバー《パッサカリア》
《ロザリオのソナタ》はビーバーの代表作で、様々なスコルダトゥーラ(特殊調弦)を駆使して聖母マリアの生涯を描いた大作です。曲毎に違った調弦が指定されていて大変なのですが、第1曲の《受胎告知》と終曲の《パッサカリア》だけは一般的な調弦が設定されています。更に《パッサカリア》はヴァイオリン1本の無伴奏で演奏するよう指定されています。
《パッサカリア》という曲は一定のかたちの執拗低音(バッソ・オスティナート)というものがが何回も繰り返されて、それを中心として上に下に旋律を紡いでいきます。このビーバーの作品も、冒頭に奏される『ソ、ファ、ミ♭、レ…』というという音型を執拗低音として、メロディからハーモニーからベースラインに至るまで全てを一人で演奏しなければならないという、なかなかの難曲なのであります。
生徒もYou tubeの動画等を参考にしてあれこれ練習してくるのですが、どうしても一番上に書いてある音譜が前面に出がちになってしまいます。しかし、主旋律というものは必ずしも最高音にあるわけではなく、時には中音部や最低音が主旋律になることもあるわけで、そういう箇所を指摘して浮き立たせるよう工夫をさせてみるのですが、なかなか難しいようです。
私の学生時代とは違って参考音源や動画が手軽に入手出来る便利な世の中にはなりましたが、その分、子供達は一度入手してしまった情報にとらわれやすくなってしまっていることもまた事実だったりして、何とも複雑な心境ではあります。
なるべく自身で楽譜を読み込んで見つけていってほしいこともあるのですが、そういうことをきちんと生徒に伝えるべく改めて自分でさらってみると、単純明快ながらこの曲がいかにキチッと構築された大曲であるかということを再認識させられて驚嘆します。この曲が無ければ、後の大バッハの一連の無伴奏ヴァイオリンソナタ&パルティータは無かったと言われるような名作を折角手掛けているのですから、生徒共々私もまだまだ頑張らないと…。
因みに、動画サイトにあった中で私が『いいな』と思った音源を載せておきました。とってもいい曲なので、興味のある方は是非聴いてみて下さい。
ビーバー《パッサカリア》