共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

《四季》の先には嵐が…

2015年04月20日 20時30分35秒 | 音楽
今日は午後から降りだした雨が時間を追う毎に強さを増して、天気予報通りの春の嵐となりました。こうしている今も、雨戸に打ち付ける雨風の音が勢いを増しています。

今日は本来なら小田原の教室の日なのですが、生徒が全員都合が悪くなってしまって自動的に休講になってしまいました。そういった意味ではこの嵐の中を出かけずに済んだので、不謹慎なようですが結果的には良かったと言ってもいいのかも知れません。

さて、嵐と聞いて思い出すのがヴィヴァルディです(…唐突じゃね?)。

彼の創作活動のピークと言っても過言ではない作品に『和声と創意の試み Op.8』があります。全12曲から成るヴァイオリン協奏曲集のタイトルなのですが、たとえこのタイトルを御存知無くても、この曲集の第1曲から第4曲までがかの有名な《四季》の《春》《夏》《秋》《冬》ですので、それを聞くと「あぁ!」と仰る方も多いかと思います。しかし、逆に言うとそこから先の8曲は、冒頭部にド~ンと鎮座ましましている《四季》があまりにも有名過ぎて、残念ながらなかなか演奏される機会に恵まれません。

そんな中で比較的取り上げられやすいのが、《冬》の次の第5曲《海の嵐》です。文字通り、荒れ狂う海の嵐の様子を、駆け巡るオケとソロヴァイオリンの音形で描いた作品で、《四季》同様かなりの高度な演奏技術を要求される隠れた名曲です。なかなか取り上げられる頻度が多くないのですが、もっと演奏されてもいい作品の一つだと思っています。

因みにヴィヴァルディにはもう一曲《海の嵐》と題されたフルート協奏曲があり、悔しいかなこちらの作品の方が若干有名になってしまっていることも、この曲がいまひとつ日陰に甘んじてしまっている要因になっているかも知れません。ですが、弦楽器奏者としては、《海の嵐》と言えば何てったってこの曲です。

ということで、ジュリオ・カルミニョーラによる演奏の動画を転載しました。この隠れた名品にもっと光が当たることを願って止みません。

Vivaldi Violin Concerto La tempesta di mare in E flat Op 8 5 Giuliano Carmignola VBO
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