新型コロナウィルスに伴う緊急事態宣言が発令されてから10日経ちました。皆様、如何お過ごしでしょうか。私は相変わらず、自宅での引き籠もりライフを絶賛満喫中です。
それにしても、自宅に居ることが苦にならない私でも、さすがに10日も自宅にいると暇を持て余してきてしまいます。何しろ日常の買い物以外何処へも出かけないので、ブログのネタにも困ってくるのです。
何かネタになりそうなものが無いかと自宅内をゴソゴソしていたら、かつて上野の東京国立博物館でもらって来たチラシが出てきました。これは法隆寺の百済観音と金堂壁画とが展示される特別展を案内したものです。
現在、法隆寺の百済観音堂に安置されている百済観音像は来歴や制作年代が不明の仏像ですが、そのスラリとした容姿や口元にたたえた微笑みから法隆寺の中でも大変人気の仏様です。以前は収蔵庫に収められていましたが、新しく百済観音堂が完成してからはそちらに安置され、観賞対象の彫刻作品としてだけでは無く信仰の対象としてお祀りもされています。
法隆寺金堂壁画は昭和24年1月に発生した火災によって、取り外されていた一部を除いてオリジナルのものは焼け焦げてしまいました。これがきっかけとなって翌年に文化財保護法が制定されたのですが、同時に前田青邨を始めとした一流の日本画家たちが招集されて焼損してしまった壁画の修復作業も開始されました。明治・大正期の焼損前に桜井香雲や鈴木空如といった画家たちによって描かれた模写やガラス乾板写真を参考にしながら全12面の金堂壁画が再興され、飛鳥時代の美を現在に伝えています。
本来なら今頃、百済観音像と金堂内安置の毘沙門天・吉祥天女立像(いずれも国宝)が23年ぶりに東京へお出ましになり、全12面分の壁画模写も鑑賞出来るはずでした。しかし、今般の新型コロナウィルス騒動の影響によって、敢えなく休止となってしまったのです。会期が5月10日までなので、恐らく再開されることなく終了してしまうのでしょう。
一体いつになったらこうした展覧会に気兼ねなく行けるようになるのか分かりませんが、今はただ自身が罹患してしまわないように、ひたすら気をつけるのみです。