台風5号は、今日の午前に岩手県に上陸しました。その台風に暖気が引っぱり上げられたせいなのか、今日は関東から西日本にかけて強烈な猛暑となりました。
ところで、今日8月12日は『君が代記念日』です。1893年のこの日に文部省が訓令『小学校儀式唱歌用歌詞並楽譜』を布告し、小学校の祝日大祭日の唱歌に《君が代》など8曲が定められたことを記念して制定されました。
国歌《君が代》については昨年にも書いたので、今年は省略します。そして、今回は君が代は君が代でも《君が代行進曲》なるものをご紹介しようと思います。
《君が代行進曲》は、
吉本光蔵(1863〜1907)によって作曲された行進曲です。文字通り《君が代》をマーチに入れこんで作曲した行進曲であり、自衛隊制定の行進曲として現在も演奏されている作品です。
この曲の作曲者である吉本光蔵は、明治11年、初めて一般から公募された海軍軍楽生に応募し、16歳で海軍に入隊しました。そして、
《君が代》に西洋式の和声と伴奏を付けた
フランツ・エッケルト(1852〜1916)らに師事した吉本は抜群の成績を修め、明治32年には海軍軍楽隊からは初めての留学生としてベルリンの王立高等音楽院で音楽全般および教育制度を学びました。
しかし、日露の風雲急を告げてきたことから明治35年に急遽帰国し、日露戦争の際は第2艦隊旗艦「出雲」乗組軍楽隊長として出征しました。その後は日比谷公園音楽堂における海軍の最初の指揮者として活躍しましたが、明治40年6月11日に43歳という若さで現職のまま物故しました。
《君が代行進曲》は《君が代》の旋律の格調を損なうことなく行進曲の定旋律に使っており、《軍艦行進曲》などとともに日本の行進曲の名作として謳われています。《君が代行進曲》は現在でも自衛隊の閲覧式や各種儀礼で演奏されていて、我々も生演奏で聴くことができます。
そんなわけで、『君が代記念日』の今日はその《君が代行進曲》をお聴きいただきたいと思います。航空音楽隊による演奏で、軽妙な行進曲を身にまとった一味違った《君が代》の姿をお楽しみください。