共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

原曲が知りたいベートーヴェン《メヌエット ト長調》〜イェネ・ヤンドーによる『6つのメヌエット』

2024年08月13日 17時17分17秒 | 音楽
毎回同じことばかり書いていますが、今日も神奈川県は猛暑日となりました。こう暑いと食欲もわかず、素麺を茹でることすら億劫になっています…。

ところで、今あざみ野の大人の生徒さんの一人がベートーヴェンの《メヌエット ト長調》を手がけています。



この曲はヴァイオリンピースとしてあまりにも有名なので、今更何かを解説するようなこともないのですが、この曲が元々オーケストラのための作品だったことはあまり知られていないようです。

《メヌエットト長調》は『6つのメヌエットWoO.10』の中の一曲で、ベートーヴェンが1795年に作曲し、翌年出版された作品です。現在では残念ながらピアノ編曲版の楽譜しか現存していませんが元はオーケストラ曲であったようで、実際に舞踏会で踊るために書かれたようです。

『6つのメヌエット』は

1:ハ長調
2:ト長調
3:変ホ長調
4:変ロ長調
5:ニ長調
6:ハ長調

の6曲からなっていて、テンポ指定はありませんが、一拍がメトロノームでいうところのAllegrettoくらいがちょうどいい感じです。そして、この中でも第2番のト長調が飛び抜けて有名になり、単独で『ト調のメヌエット』として知られています。

ピアノで演奏されることの多いこの作品ですが、ヴァイオリンで演奏してみると、いかにも弦楽器的なメロディであることが分かります。特に



出だしのメロディで、ヴァイオリンの付点のリズムのド#とピアノのラ#は本来ト長調の和音とはぶつかってしまう不協和音なのですが、これらの音を付点音符で入れるによって浅いスクワットをするかのような弾みを生み出し、それがこの音楽の推進力にもなっているのです。

ピアノで演奏する際には、この付点音符のリズムの弾みのつけ方がポイントになってきます。これが上手く弾まないと、大きく膨らんだスカートを身に着けた貴婦人たちが踊ることはできません。

これは他の5曲についても同じようなことが言えるので、実際にメヌエットを踊ってみると、より実感することができます。私は大学時代の授業で様々な古典舞踊のステップを習ったことがあるので、生徒さんにも簡単にメヌエットのステップを踏んでもらってから取り組んでもらっています。

そんなわけで、今日はベートーヴェンの『6つのメヌエットWoO.10』をお聴きいただきたいと思います。イェネ・ヤンドーのピアノで、壮大な交響曲とはまた違った愛らしいベートーヴェンをお楽しみください(第2番ト長調は1:52から始まります)。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今日は『君が代記念日』〜航... | トップ | 久々ランチでナポリタン@横浜あざみ野《... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。