昨日に引き続き外は春の陽気となりましたが、私は今日も自宅で引きこもって療養していました。とにかくこの喉の痛みをなんとかしないと、卒業式に出られなかったりしたら一大事です…。
今日も寝ながら、いろいろと音楽を聴いていました。昨日はペルゴレージの祥月命日でバロック音楽が中心だったのですが、今日は
モーツァルトを中心に聴いていました。
夕方頃になってクラリネットの音色が聴きたくなったので、《クラリネット五重奏曲イ長調》を聴いてみました。《クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581》はモーツァルトが1789年に作曲したクラリネットと弦楽四重奏のための室内楽曲で、クラリネット奏者であった友人アントン・シュタードラー(1753〜1812)のために作曲されたため『シュタードラー五重奏曲』の愛称で呼ばれることもあります。
この五重奏曲はシュタードラーのクラリネットにより初演された《クラリネット協奏曲 イ長調 K.622》と同様に、本来はシュタードラーが用いていた "Bass-klarinet"(現在のバセットクラリネット)のために作曲されたものです。現在一般に用いられる版は1802年に通常のクラリネット用に編曲されたものですが、残念ながら自筆譜はクラリネット協奏曲同様に現在は紛失してしまっています。
当時クラリネットという楽器はまだ目新しく、ようやくオーケストラの仲間入りをし始めた楽器でした。しかしモーツァルトは当時の楽器のもつ可能性を利用し尽くし、クラリネット音楽の発展に対して重要な模範を提示することに成功しました。
後にブラームスは、このクラリネット五重奏曲に大いに関心を示して、同じ編成による《クラリネット五重奏曲 ロ短調 作品115》を作曲しました。因みにこの作品の第4楽章は、モーツァルトの作品と同じく変奏曲形式になっています。
そんなわけで、今日はモーツァルトの《クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581》をお聞きいただきたいと思います。ザビーネ・マイヤーのクラリネット、アルミーダ・カルテットによる演奏で、モーツァルト晩年の室内楽の傑作をお楽しみください。