連日同じ書き出しで恐縮ですが、今日も厳しい猛暑日となりました。以前グティエレス国連事務総長が『地球沸騰化』などと不穏なことを言っていましたが、それも冗談では済まされないようです…。
ところで、今日8月21日は『噴水の日』なのだそうです。これは1877年8月21日、東京都の上野公園で開催した第1回内国勧業博覧会において、日本ではじめて西洋式噴水が設置されたことに由来します。
実際に落成したのは9月8日でしたが、博覧会開催にちなんで8月21日が「噴水の日」となっています。そして、現在の上野公園の噴水は
こんな感じです。
そんなことを調べていたら、レスピーギの《ローマの噴水》が聴きたくなりました。ということで、今日は『耳から涼しく』シリーズをいってみようと思います。
《ローマの噴水》は、
イタリアの作曲家オットリーノ・レスピーギ(1879〜1936)が1916年に作曲した交響詩です。後に作曲された《ローマの松》(1924年)、《ローマの祭り》(1928年)と共に『ローマ三部作』と呼ばれています。
サンタ・チェチーリア音楽院作曲科の教授に就任したレスピーギは、1913年に出身地のボローニャからローマに移り住み、ここで受けた刺激を元に「ローマ三部作」を作曲しました。その第1作である『ローマの噴水』は、1916年に作曲された。
スコアの冒頭の序文には、次のような説明があります。
「ローマの四つの噴水で、その特徴が周囲の風物と最もよく調和している時刻、あるいは眺める人にとってその美しさが、最も印象深く出る時刻に注目して受けた感情と幻想に、表現を与えようとした。」
序文にもあるように、この曲には4つの時間と噴水が登場します。
1、夜明けのジュリアの谷の噴水
ボルゲーゼ荘からパリオリの丘までの間に位置する「ジュリアの谷」の噴水と夜明けの光景が表現されているのですが、実は具体的にどこの噴水かはっきりしていません。牧歌的な光景にたたずむ夜明けの噴水が描かれ、朝ぼらけの中を家畜が通過していく様子が描写されます。
2、朝のトリトーネの噴水
海神トリトーネが法螺貝を吹くかたちで作られたこの噴水は、イタリアバロック期の大彫刻家ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(1598〜1680)によって作られました。勇ましく吹き鳴らされるホルンは、神々や女神たちが法螺貝を吹き鳴らす様を示しています。
3、真昼のトレヴィの噴水
後ろ向きでコインを投げ入れれば再び戻ってこられるという伝説で有名な、ローマの一大観光スポットです。中央に立つネプチューンの新たな勝利を告げる凱旋式に導かれて始まり、クライマックスではパイプオルガンの強奏と弦楽やハープの水のうねりの中で、金管楽器群が華やかなファンファーレを吹き鳴らします。
4、黄昏のメディチ荘の噴水
『夕暮れのメディチ荘の噴水』と表記される場合もあるこの終曲は、輝かしい夕焼けが沈んでいく様子とともに、よりメランコリーに沈んだようなメディチ荘の噴水の雰囲気を描いています。そして、最後は夕べの教会の鐘の音とともに、宵闇に吸い込まれるように静かに終わっていきます。
そんなわけで、今日はレスピーギの交響詩《ローマの噴水》をお聴きいただきたいと思います。ユライ・ヴァルチュハ指揮によるフランクフルト放送交響楽団のライブで、キラキラと涼しげに輝く噴水の様子をお楽しみください。