★ 坂口安吾と言えば「堕落論」がまず浮かぶ。しかし、この方、「不連続殺人事件」(角川文庫)といったミステリー小説も書かれている。どんなものか、興味本位で発注し、同時に「肝臓先生」(角川文庫クラシックス)も購入した。
★ まずは「肝臓先生」から表題作を読むことにした。この作品を原作にした「カンゾー先生」(1998年)という映画を以前観た覚えがある。カンゾー先生こと赤城風雨を柄本明さんが演じられていた。麻生久美子さんの若々しさが印象的だった。
★ さて、「肝臓先生」は紀行文風の書き出しで始まる。作家が訪れた伊豆の温泉町。そこで聞いた町医者(赤城風雨)のことを聞き書きした体になっている。時は、戦火が激しくなる昭和10年代。赤城医師はどの患者にも「肝臓炎」の診断を下すことで有名だった。「肝臓先生」というあだ名の由来である。
★ 実際、彼の患者には肝臓を患う者が多く、他の権威ある医師も肝炎の増加を認めているから、先のスペイン風邪の後遺症や栄養状態などが関与しているのかも知れない。それはともかく、「風ニモマケズ、雨ニモマケズ」、病人があると聞けば駆け付ける「足の医者」を自負する彼の人柄は多くの「信者」を生んだという。彼は町医者道を全うした人だった。
★ 軍部と対立したエピソードや、戦後すぐ「料理飲食店禁止令」などというものがあったことなど新たな発見もあった。
★ 肝臓先生は劇的な最期を迎えるが、自らの信念に基づいて生きた人の輝きを感じた。
★ 録画しておいた、NHK「100分de名著」、ハイデガーの「存在と時間」第2回を観た。常に襲い来る不安から身を護るため「世人」として生きている現存在(人間)。不安から解放され、「安らぎ」は如何にして得られるのか。肝臓先生のような生き方は一つの解決策なのかも知れないと感じた。
★ まずは「肝臓先生」から表題作を読むことにした。この作品を原作にした「カンゾー先生」(1998年)という映画を以前観た覚えがある。カンゾー先生こと赤城風雨を柄本明さんが演じられていた。麻生久美子さんの若々しさが印象的だった。
★ さて、「肝臓先生」は紀行文風の書き出しで始まる。作家が訪れた伊豆の温泉町。そこで聞いた町医者(赤城風雨)のことを聞き書きした体になっている。時は、戦火が激しくなる昭和10年代。赤城医師はどの患者にも「肝臓炎」の診断を下すことで有名だった。「肝臓先生」というあだ名の由来である。
★ 実際、彼の患者には肝臓を患う者が多く、他の権威ある医師も肝炎の増加を認めているから、先のスペイン風邪の後遺症や栄養状態などが関与しているのかも知れない。それはともかく、「風ニモマケズ、雨ニモマケズ」、病人があると聞けば駆け付ける「足の医者」を自負する彼の人柄は多くの「信者」を生んだという。彼は町医者道を全うした人だった。
★ 軍部と対立したエピソードや、戦後すぐ「料理飲食店禁止令」などというものがあったことなど新たな発見もあった。
★ 肝臓先生は劇的な最期を迎えるが、自らの信念に基づいて生きた人の輝きを感じた。
★ 録画しておいた、NHK「100分de名著」、ハイデガーの「存在と時間」第2回を観た。常に襲い来る不安から身を護るため「世人」として生きている現存在(人間)。不安から解放され、「安らぎ」は如何にして得られるのか。肝臓先生のような生き方は一つの解決策なのかも知れないと感じた。