
またまた東野さんです。
文庫本といえども、次々本を買うのはキビシイ。でも買う~!
「手紙」
強盗殺人を犯した兄とその弟、またその周りの人々について書かれた物語です。
確かに…
現実にも、大変な数の犯罪者の家族の人達がいた(いる)はずです。
特に、兄弟なんて血のつながりはあるものの、その犯罪に対してどれだけの罪があるのでしょう。
しかし、家族というだけで負わなければならない差別…。
被害者家族ともしかしたら同じくらい苦しんでいるのではないかと思い、
重い気持ちになります。
前半、兄が罪を犯してしまう流れや、
弟が突然犯罪者の家族として生活が一変するあたりは、
とても説得力がありよく書かれていますが、
突然その弟が、存在感のあるカリスマボーカリストとしてバンドのメンバーになっていくところだけ
どうしても違和感があり、私の中で物語が中断してしまいました。
ザンネン…。
でも、そのあとの人間のつながり…家族のつながり…
などはとてもよく書かれていたと思います。
弟がさまざまな差別を受け、
支えられながらもまた大きな挫折をしたり…。
そして勤めている会社社長からの決定的なひとこと。
「差別はね、当然なんだよ」
それはわかる気がします。
私たちは差別をする動物です。
私は差別をしたことがない、と思っている人たちでも、
きっと差別をする気持ちは持っていると思うのです。
(マザーテレサのような人でない限り)
だから私たちは、差別をする気持ちはどこかにあるということを認識しながら理性的に行動をしていくしかないのかなー、と。
そう思っていてもなかなか出来ないのが人間ですけれど…。
だから自己嫌悪に陥ったり、後悔したりするのですけれどね。