家族を扱った6つの短編集は、自分の家庭や隣の家庭を見ているように親近感があります。
エピソードや会話は「うんうん、ありえる」「その通り!」と共感し、
「やっぱ、そうなんだ~」と安心したりもします。
私は次の3つが好きでした。
「甘い生活?」
わかるわかる。ひとり暮らしが長ければ自分のリズムもあるでしょう…。
答えが出ないような新婚夫婦のやりとりも、
どんどん展開して収拾がつかないぞーと思ったけど、ナイスなところで終わりとなりました。
「夫とUFO」
夫がUFOを見たと信じて疑わない…
夫の変調を感じた妻は、夫がヘンな道にそれないように行動を起こします。
尾行したりする姿や行動はとても滑稽であるけれど、いっしょうけんめいさが伝わってきてジーンとしたりもします。
最後、夫を救出すべく向かった堤防での夫婦のやり取りは、ほっこりしますねぇ。
夫の、なんとなくのん気な感じも好感持てるし、妻のいっしょうけんめいさも大好きです!
(相手を非難したりケンカにならないのも素敵です)
「里帰り」
ホント!そうなのよ。
夫の実家、妻の実家への里帰り…
なかなか小説にはしずらい題材だと思うのですが、見事に表現されていると思いました。
なんだか面倒で、考えれば考えるほど億劫になることってありますが、
その時になれば「案ずるより産むが易し」で、案外そういう時のほうが良い方向に向いたりもします。
過ぎてしまえば、満足感・充足感があったりしてね。
どの短編も、ユーモアあり、哀しみや可笑しさもあり、読後感もよかったです。