アーティストにとって、その作品は、生まれた(形になった)瞬間、その作者から離れた別の物体となって、時には、誰かの手によって、作者の意図しない全く別のところへ連れていかれることがある。それは、良い結果の時もあるが、悪い結果の時もある。
僕も、過去に写真展を大阪と名古屋でさせていただいた時、ズラッと並んだ自分の作品を見て、自分の分身が並んでいるように見え、それが自分に迫ってくるような、そんな錯角を感じたことがある。
昨年末からネット上のいろいろなところで、あのYMOとそのメンバーの関わった作品の数々が再発売されることが話題となり、特に
このCDについては発売の「是非」そのものが、いろいろ議論されていた。僕の見たところでは、ほとんど「非」の意見が多かったように思う。このCDの他にも、あまり僕もお目にかかれていない作品の再発売もあり(中には、既に購入したものもある)、それ自体は良いことに思うんだけれども、どうしても、このCDだけは、僕も「いかがなものか?」と思っていた。
そんな中で、先週、その中味の作品の作者である、あの3人が、このようなHPを立ち上げた。
http://www.ymo.org/
正直、ここまでやるとは思っていなかったので、見た時はビックリだった。
(フォントも「極太or見出しゴシック」!!←つい、職業柄…^^;)
しかし、ここまでやるほど今回の問題は深刻なのだろうとも思った。
CDが売れないと言われ、また音楽の発売がネット配信の切り替わると言われている昨今。現在、版権を持っている
SMEが買い取ってからの減価償却を、なんとか今のうちにしておきたいような意図を僕は感じる。また、悪評高き「CCCD」が、あんな形で終焉を迎えたSMEの悪あがきのようにも思え、アーティストの作品に込めた意図を無視し、ワンマン人間のように現在あるレコード会社主導の販売制度を乱用し、商業主義優先でコトが進んでいるように思う。そう思うと、YMOがそのワンマンさの犠牲者になったように思えてファンとしては心が痛い。