「9」のつく日は空倶楽部の日。
瀬戸内の夜明け。
江の浜漁港(高松市庵治)2022.11.06 06:13am Sony α7R3 FE24-70mm F2.8 GM2 (f/5.6,1/80sec,ISO160)
兄妹三家族で出かけた4泊5日の旅。
丹後、広島、四国と車で巡る中で、もっとも眺めてみたかったのが瀬戸内の景色だった。
とは言え、どの場所のどんな風景といった具体的なものではない。
頭の中に広がる「瀬戸内」を旅の途中で見つけてみたい、と勝手に思い込んでいたのだ。
瀬戸内へは何度か足を運んでいる。けれどもそれは写真を撮り始める前の話。
その折々に眺めた風景が記憶の束となってしまい込まれ
それが繋ぎ合わされて瀬戸内にイメージとなっている。
また、ひょっとするとそこには
『瀬戸の花嫁』の情景も加わっているのかもしれない、と思ったりもしていた。
ともかく、夢の世界を探すようなもの。今になってみると子供じみた所業だったと思う。
とどのつまり...。
鞆の浦、尾道、しまなみ海道、鳴門海峡などそれぞれにすばらしい景色に出会うことはできた。
だが、どれもが自分が思い描く「瀬戸内」とはどこか違っていた。
記憶が作り出した勝手な「瀬戸内」は見つからなかったのだ。
さて、旅を終えて写真の整理をしていた時、ふと一枚の写真に目が止まった。
旅の最後の朝。散歩の途中のこと。
捨て写真になるだろう、くらいの感覚でなにげなく撮った写真だ。
遠く島影が浮かぶ穏やかな海が広がっている。
近場では、何か養殖の生簀だろうか、小舟に乗った漁師たちがその合間を
忙しそうに行き来していた。
そこへ大型フェリーが意外なほど海岸近くを当たり前のように横切っていく。
それだけのもので地元の人にすれば日常的な景色でしかない。
けれども、こんな日常こそが探そうとした景色だったのかもしれないな、と
そのとき思えてきたのだ。