折にふれて

季節の話題、写真など…。
音楽とともに、折にふれてあれこれ。

春よ、来い

2025-01-02 | 折にふれて

謹んで初春のご挨拶を申し上げます。

    

能登の地震から一年。

さらに追い打ちをかけるように9月の豪雨災害。

例年通り、初詣など正月の行事に向かったものの

なんとなく気が重いのは私だけではないようだ。

また今年の冬は例年に増してきびしく

積雪こそないものの11月の終わりから悪天候が続いている。

そんなこともあって今年の年賀状には少しでも早い春の訪れを願って

二年前に訪れた長野県小川村の春景色をコラージュして知人に届けた。

そのおすそ分けとして当ブログにも掲載した次第だが

明るい春、そして今年一年の希望につながっていただけたなら幸いだ。

 

春よ、来い -和楽器ver.-ーJapanese traditional musical instruments ensemble "MAHORA"

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冬を楽しむ

2024-12-03 | 折にふれて

11月の終わりから冷たい雨の日が続いたが、一転、昨日は青空が広がった。

それがずいぶんと久しぶりに思える晴れ間だったので

犬の散歩でいつも天候を気にしている家内に聞いてみたところ

十日ほどは雨の日が続いていたという。

彼女にとっても、飼い犬にとっても貴重な青空だったのだろう。

けれども、その青空もほんの束の間。今日からはまた雨の日が続くという。

週間予報なのでずっと先のことまではわからないが、

この週末には悪天候どころか、さらに冷え込んで平野部でも雪が降るのだとか。

暦の上では冬に入ったばかり。あと三か月ほどはこの天気を覚悟しなければならない。

雨の季節というと梅雨のうっとおしさを思い浮かべたりもするが、

災害を引き起こさない限りにおいてだが、

冬の厳しさに比べれば、梅雨の長雨などは取るに足らないことでしかなく

梅雨にはむしろ雨の日を楽しむ余裕さえ感じたりもしている。

一方で、これからの冬の寒さやうっとおしさ、除雪のつらさを思い、

今年も「ヤレヤレ...」という気分が高まっていたのだが...

それがある話を聞いてから心持ちが変わり始めている。

話とは北欧における冬の暮らしのことで、

一日の大半が夜となる冬に「灯り」を楽しむ文化があるのだという。

様々な照明器具が考案され、屋内外に装飾される。

照明器具だけでなく、灯りの強弱や色合いなどでも

暗がりを演出することで長い冬を楽しく過ごそうとするのだそうだ。

なるほどである。一年の1/4ほどの時間を厭世気分で過ごすなどもったいないこと。

そしてこの話を聞いて思いついたのが自分の部屋の模様替え。

北欧の人に倣って照明器具はもちろんのこと、カーテンや足元の敷物も変える。

寒さをしのいだり明るさを補ったりするだけでなく、冬には冬のしつらえがあると思い始めたのだ。

いや、「むしろ冬を楽しむには...」と

ひとりほくそ笑んだりもしている。

 

さらに。「冬を楽しむ」という発想から思いついたことをご紹介。

まずは金沢の冬を代表する風景を「お蔵」の中から探し出してみた。

冬の風物詩ともなっている兼六園の雪吊り。

そもそもは積もった雪の重みから枝折れを守るためのものだが

そのライトアップは北陸のきびしい冬、そして、夜を楽しむ粋な企画だ。

 

もうひとつ。冬の楽しみとして、以前心にとめた

スティングのビデオクリップを思い出した。

 
Sting - Fields Of Gold (Live From Lake House, Wiltshire, England, 1993)

イギリス郊外の家屋で収録されたようだが

裸の木立など外の様子からは寒々とした冬の情景が伝わってくる。

一方でその室内では部屋の奥深くまで暖かみのある陽が射し込み、

その中で繰り広げられるライブ演奏。

ミュージシャンたちの穏やかな表情と落ち着いた演奏に

部屋の温もりと上質な時間の流れを感じた次第である。

 

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フェーン現象の怪

2023-08-06 | 折にふれて

連日猛暑の北陸。

こう暑くてはカメラを持って出かける気にもならず

「お蔵」から多少とも涼を感じる写真を引っ張り出してみた。


  橋立港(石川県加賀市) 2016.07.31 Sony α99  F2.8G/70-200㎜ 

 

北陸というと夏はなんとなく涼しげに思われがちだが本当のところは暑い。

各地で軒並み体温を超える暑さとなっていることに加えて

石川県の小松市、そして当ブログでもおなじみの三国港(福井県坂井市)で

39℃超える最高気温を記録している。

その原因となっているのがフェーン現象。

日本列島に南からの湿った風が吹き込み、

その風が列島中央部の山岳地帯を駆け降りるとき高温となって

北陸など日本海側の地域の気温が上昇するというものだ。

しかし、そもそも風が山を越えることでどうして気温が上昇するのだろう?

そのメカニズムを調べてみた。

『チコちゃん』流に表現するなら、「湿った空気と乾いた空気の温度変化に差があるから」ということなのだが

まずは気象庁のホームページから拝借した模式図をご覧いただきたい。

図の右、太平洋側から25℃の湿った風が2000mの山を越え

図の左、日本海側に33℃の乾いた風となって吹き込む様子を表している。

空気は標高が上がると冷やされ、逆に標高が下がれば温められる。

ところが、空気が含む水分量によってその温度変化は異なってくる。

湿った空気の温度変化は標高100mごとに0.6℃だが乾いた空気は1℃である。

したがって、25℃の湿った空気は2000mの山頂付近では13℃に冷やされるが

それが駆け降りることで33℃に温められる。

この条件での気温差は8℃。自然のヒートポンプともいえるメカニズム。これがフェーン現象だ。

 

さて、台風6号が九州南部に近づいている。

この位置に台風が来ると北陸には強い南風が吹くそうだ。

そのせいか、この先一週間は体温並みの気温が続くという。やれやれだ。

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一瞬の夏 By空倶楽部

2023-07-29 | 折にふれて

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで

 

2014年8月 新潟県鯨波海岸を走るトワイライトエクスプレス。


 2014.08.30  18:34  Sony α99  Vario-Sonnar  24-70㎜/f2.8 (35mm  f/2.8,1/250sec,ISO12800)    

 

来春、北陸新幹線が敦賀まで延伸される。

それによって金沢から敦賀までの所要時間は30分短縮されて46分。

また、敦賀を経由した大阪までの所要時間も同様に30分短縮され2時間となる。

一方で鉄道輸送の高速化と引き換えに失われるものもある。

「サンダーバード」や「しらさぎ」など在来特急が北陸の鉄路から消えるのだ。

それと同じことが今から8年前にも起こっている。

北陸新幹線の開業とともに廃止されたいくつかの特別急行のことで、

その一つが大阪と札幌を結ぶトワイライトエクスプレスだった。

年のせいか滅びゆくものに共感し、廃止までの一年間、トワイライトエクスプレスを各地で追いかけた。

その中で最も印象に残っているのがここ夕暮れの鯨波だったわけで、

この場所こそがトワイライトと名づけられた列車を撮るに相応しい場所に違いないと

トワイライトエクスプレスの最後の夏を待ち構えたのだ。

 

 

実はこの写真を引っ張り出してきたのには訳がある。

その日、日没時間を過ぎてやって来たトワイライトエクスプレス。

徐々にあたりが暗くなるなる中でカメラのISO感度はすでに12800。

当時、常用していたカメラでは限界の感度で、残された写真はノイズがざらつくひどいものだった。

ところがである。最近になって、現像ソフトとして使用しているlightroomにAIによるノイズリダクションが搭載された。

それを試したところ、記憶の風景は鮮明に蘇った。

そして、トワイライトエクスプレスとともに通り過ぎた一瞬の夏を

なつかしく思い出し、この稿に残そうと思ったのである。

 

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置き去りにできなかった空 By空俱楽部

2022-12-29 | 折にふれて

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


「置き去りにできなかった」と奇妙なタイトルをつけたが、

つまりは蔵出しの写真のこと。

いったんはパソコンに納めたものの、季節感など機会を逃した写真を

これまでも体よく、というか言い訳がましく掲載している。

その常套句が「置き去りにできなかった」なのである。

今回は9月に上京した際、帰路の機中で撮ったものだ。

遠くに富士山が見えているが、おそらくは松本市から北アルプスにかけての上空だと思う。

     2022.09.11  17:29  Sony α7S2   FE24-70㎜/f2.8 GM2 (24㎜  f/5.0,1/2000sec,ISO160)    

 

このところの北陸は雪や雨の日が多く、

何日も太陽を見ないことも多い。

せめて、今年最後の「空倶楽部」くらいはと、

「蔵」の中からおひさまの写真を引っ張り出した次第だ。

 

さて、もうひとつ。

「置き去り」という言葉を使った理由があって

それはこの曲のことを書き留めておきたかったからだ。

 
Late for the Sky   Jackson Browne     

来年の3月にジャクソン・ブラウンが来日する。

そのコンサートに行くことを決めてから

彼のアルバムを聴きまくっている。

ジャクソン・ブラウンとの出会いは高校生の時だったからやがて50年になる。

以来、もっともよく聴いた曲が『レイト・フォー・ザ・スカイ』だった。

男女のこころのすれ違いを歌ったものだが

関係を修復できないまま恋人が去って行った朝の空。

その空がタイトルであり、エンディングの一節となる Late for the sky  である。

その言葉を個人的には「あの空に置き去りにされたまま」と解釈していて、

それはまた、いまだに高校時代の青臭さを思い出させてくれる言葉なのである。

 

 

Late for the sky   By Jackson Browne


The words had all been spoken

And somehow the feeling still wasn’t right

And still continued on through the night tracing our steps from the beginning until they vanished into the air

Trying to understand how our lives had led us there

すべて語りつくしたはずなのに、どう正せばよかったのか、今になってもわからない。

それで僕たちは、 ふたりの足どりがその始まりから、風の中に消えさってしまうまでを、

一晩中たどろうとした。

ふたりの人生がどうしてこんな風になってしまったのかを確かめたくて。

 

Looking hard into your eyes

There was nobody I’d ever known

Such an empty surprise to feel so alone

君の瞳の中をじっと覗き込んでみるけれども

もうそこには僕が知っている人は誰もいない

孤独の感情に空しい驚きすら感じてしまうんだ。

 

Now for me some words come easy

But I know that they don’t mean that much compared with the things

That are said when lovers touch never knew what I loved in you

I don’t know what you loved in me

May be the picture of somebody you were hoping I might be

簡単に言葉を口にすることはできるけど、

愛し合っていた頃に比べると、その言葉は何の意味も持たないことを知っているんだ。

僕が君の中の何を愛したのか、そして君が僕の何を愛したのか、もう知ることはないだろう。

たぶん君は、誰か理想の人を僕に映していたのだと思う。

 

Awake again I can’t pretend

And I know I’m alone

And close to the end of the feeling we’ve known

How long have I been sleeping

How long have I been drifting along through the night

How long have I been dreaming

I could make it right

If I closed my eyes and tried with all my might to be the one you need

また目が覚める。もう自分の心を偽ることはできない。

僕はもうひとりぼっち。

そして、ふたりが共有した感情もすでに終わろうとしている。

どれだけ眠っていたのだろう。

どれだけ孤独な夜を彷徨っていたのだろう。

長い間、夢を見ていただけなのだろうか。

目を閉じて、そして、君が必要とする男になろうと努力すれば、やり直せたのかもしれない。

 

How long have I been running for the morning flight

Through the whispered promises and the changing light of the bed where we both lie

Late for the sky

どれだけ走り続けたなら、あの朝のフライトに間に合っていたのだろう。

ベッドで身をよせながら、朝までささやき合った約束。

あの時の空に僕は置き去りにされたまま。

 

 

 

 

 

 

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Happy holidays

2022-12-24 | 折にふれて

今朝の金沢は雨。

クリスマス寒波も峠を越してくれたよう。

ご心配いただいた皆様にこころより感謝申し上げます。

    KITTE(東京都中央区丸の内)2018.12.15 9:56am   RICOH  GR DIGITAL3 (f1.9 1/50sec  ISO64)

 

ふだん交流いただいているブロガーさんの今朝の記事を眺めていたらクリスマス気分満載。

それで、ついうらやましくなって、「お蔵」からクリスマスらしい写真を引っ張り出してみた。

 

ついでにこの懐かしいビデオクリップも。


 
Live Aid 1985 - Do They Know It's Christmas (Film Camera Source)

1985年。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』のラストシーンもこのライブエイドでの

クイーンのパフォーマンスを再現したもの。

当時、全世界に送られた映像を食いつくように見入ったことを

つい昨日のことのように思い出していた。

 

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朝顔の句の話

2022-08-13 | 折にふれて

JR松任駅前の特設広場で朝顔の展示を楽しんできた。

 

松任(現白山市)は朝顔の栽培が盛んなところで

この時期開催される「あさがおまつり」には市内の愛好家はもちろん

園児、学童たちが丹精込めて育てた朝顔が多数出展されている。

というのも、松任は俳人の加賀千代女が生まれ育ったところで

彼女の代表的な句、

 朝顔やつるべ取られてもらひ水

にちなんで朝顔への愛着が強いのだ。

松任駅に隣接する『千代女の里俳句館』 では

春夏秋冬や花鳥風月など、折々の千代女の句に親しむことができるが、

それだけではない。

市民句会やこども句会の紹介、写真五七五の展示などは心温まるものだし、

また、小泉八雲が俳句を世界に紹介したコーナーなどは

芸術的文学的にも興味深く、

私のような俳句素人でも存分に楽しむことができる。

 

あらためて、「朝顔の句」のこと。

同志社女子大学の教員コラムに興味深い記事があった。

朝顔やつるべ取られてもらひ水

と紹介したが、コラムを書かれた吉海直人教授によると、

朝顔につるべ取られてもらひ水

とする句が一般に流布されていて、

「朝顔や」で親しんでいる人は金沢出身(*)の人が多いとのことである。

 *正確には旧松任市を含む石川県加賀地方

たった一文字の違いだが、俳句を鑑賞するという点では大きく異なる。

まず、「朝顔に」の句だが

「朝、起きて井戸に水を汲みに行くと、朝顔のつるが釣瓶(つるべ)に巻きついていた。

それを外すのが忍びなくて、わざわざ近所で水をもらった」と、断然わかりやすい。

一方で、「朝顔や」の句は「や」という切れ字によって

現実の世界からこころの世界へと次元を転換している。

つまりは朝顔の美しさに感動したことに重きを置いているのだ。

コラムを読みながら、以前、俳人の長谷川櫂さんの著書『俳句の誕生』で

切れ字のダイナミズムに大いに納得したことを思い出してもいた。

しかし、それなら「朝顔や」の句からは、千代女のやさしさは失われてしまっているのか。

吉海教授は、同じく石川県が生んだ哲学者、鈴木大拙の言葉を引用してその答えを導いている。

「彼女がいかに深く、いかに徹底して、この世のものならぬ花の美しさに打たれたかは、

彼女が手桶から蔓をはずそうとしなかった事実によってうなずかれる」(『禅』所収)

 

それでは、私はどちらの句を支持するのか。

 

「朝顔や」の句からは情景の広がりや読み手のこころなど俳句の醍醐味が伝わってくる。

一方で、「朝顔に」の句の方は「ただごと」である。

説明や報告に終わっている、と言ってしまえばそれまでだ。

けれども、こちらの表現には千代女の「ひととなり」が

よりはっきりと映しこまれているように思える。

つまりは、嫋やかな女性のこころを、

それも三百年という時空を超えて鮮明に映す

「朝顔に」の句に惹かれるのである。


 
 Carole King - (You Make Me Feel Like A) Natural Woman (from Welcome To My Living Room)

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波紋の情景 By空倶楽部

2022-06-19 | 折にふれて

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


 

夕暮れの塩屋港。

       塩屋港(石川県加賀市) 2022.06.12 18:59    Sony α7R3  FE2.8 24-70 GM2 (24㎜ ,f/8,1/100sec,ISO100) 

 

いつも夕方なら、鏡のような水面が空を映すのだが、

その日は風のせいで、小さな波が次々と押し寄せていた。

「残念!」と、最初は思ったのだが、眺めているうちに

揺らいだ水面が映す濃い空の色も悪くはない、と思えてきた。

それで、しばらくはこの風景にカメラを向けていたのだが、

そのうちにふと、波紋(Ripple)という言葉を覚えたこの曲の一節が心に浮かんだ。


 Take a Pebble      Emerson Lake & Palmer

 

1970年代の始め。イギリスを中心としたロック・シーンにプログレシヴと呼ばれるジャンルが台頭した。

ロックの根底だったブルースに加え、ジャズやクラシックの要素が盛り込まれるなど、

心の揺さぶりだけではなく、実験的ながらも芸術性を追求した斬新な音楽を

ロックマニアたちは一様に歓迎した。

その中でも注目されたグループのひとつがエマーソン・レイク&パーマーで、

Take a Pebble(邦題:石をとれ)はデビューアルバムに収められた大作だ。

キーボード奏者、キース・エマーソンによる縦横無尽なピアノ演奏が聴きどころだが、

美しい旋律とグレック・レイクの情感豊かなボーカルも強い印象として心に残っていた。

前置きが長くなったが、その歌詞の一節。

 

Just take a pebble and cast it to the sea

Then watch the ripples that unfold into me

My face spills so gently into your eyes

Disturbing the waters of our lives


小石をひろい、海に投げ込んでみる

そのあとで、自分の内面に広がっていく波紋を見つめた

僕の顔が徐々に君の瞳を満たし

二人の人生の流れがかき乱されていく

 

平易な単語、短い文章で綴られてはいるものの難解。

恋の始まりを歌ったものか、それとも、恋の終焉を歌ったのか。

自身の心に広がる感情の波紋が人生の流れをもかき乱していく。

そんな心模様を、海に投じた小さな石の波紋に重ね合わせたのだろう。

今さら、詮索することなど無意味と思いつつも

静かな波紋の光景を眺めながら

この一節に思いを馳せた次第だ。

 

追記

能登半島で発生した地震についてご心配をおかけしました。

金沢は震度3でしたので、目立った被害はありませんでした。

ご心配いただきありがとうございました。

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トップガン マーヴェリック  封切

2022-05-30 | 折にふれて

トム・クルーズ主演の「トップガン マーヴェリック」がようやく封切された。

コロナ禍で公開が2年間延期された上にウクライナ情勢に北朝鮮問題。

戦闘シーンが多いだけに、タイミングの悪さを思わないでもなかったが、

それはそれとして、前作から実に36年、「理屈抜きに楽しもう」と

同窓会にでも出かけるような気分で劇場へと向かった次第だ。

 

30年前にトップガン(航空戦訓練学校)の教官を辞した

ピート・”マーヴェリック”・ミッチェル大佐(トム・クルーズ)は

昇進を拒みつつも、テストパイロットとして海軍に残っていた。

折しも、核脅威を増す某国の核軍事施設を破壊する作戦が持ち上がり、

トップガン出身のエリートパイロットたちが招集される。

そして、彼らの教官として実戦経験のあるミッチェルに復職命令が下るのだが...。

攻撃対象は複雑な地形と鉄壁の防空システムに守られた難攻不落の軍事施設。

ミッチェルは全員を必ず生還させると決意し、パイロットたちに厳しい訓練を課す。

 

戦闘機のドッグファイトなど特撮シーンのパワーアップは迫力満点。

文字通り、手に汗握るシーンの連続だった。

また、前作との関連も見どころで、

かつてのライバルで今は後ろ盾となったアイスマン(バル・キルマー)との友情、

訓練中に事故死した盟友グースの息子ルースターとの確執など

オールドファンへのサービスも忘れていない。

とにかく、掛け値なしの娯楽大作、ぜひ劇場の大画面で楽しんでいただきたい。

 

さて、トップガンといえば。

今回もオープニングを飾ったのはこの曲だった。


    (Top Gun 2) Kenny Loggins - Danger Zone (Top Gun Maverick Music Video)

 

さらにもう一曲。前作からのチョイス。

 
    Righteous Brothers - You've Lost That Lovin' Feelin' (Top Gun 1986)

ライチャス・ブラザーズの「ふられた気持ち」。

エンディングとして流れたオールディーズの名曲に

「お見事!」と聴き入ったことを覚えている。

 

 

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大河ドラマ「黄金の日日」 その2

2022-03-31 | 折にふれて

「黄金の日日」の話が続く。

 

大河ドラマの見どころはなんといっても豪華俳優陣。

主人公、呂宋助左衛門を演じたのは市川染五郎、今の二代目松本白鸚だ。

この当時はまだ30代、初々しさが残っていたからだろうか、

周りを名だたる俳優陣が固めていた。

例えば、堺の会合衆(長老たち)として登場したのが

丹波哲郎(今井宗久)、鶴田浩二(千宗易)始め、

宇野重吉、志村喬、津川雅彦など、いずれも貫禄十分の俳優たち。

また、助左を取り巻く女優たちも豪華だった。

助左が慕う女性(今井美緒)を演じたのが栗原小巻。

さらに花を添えたのがデビュー間もない若手の女優たち。

竹下景子、夏目雅子、名取裕子たちの、まだあどけなさが残る表情が微笑ましかった。

一方でベテラン舞台女優、李礼仙の演技は目を引いた。

原作にはない遊女役を妖艶に、またある時は不気味にも演じる彼女は

ストーリーテラーとしての役回りながら強烈な存在感を放っていた。

残念ながら、放映中の11月に訃報のテロップが流れた。ご冥福を祈りたい。

さて、配役のハイライトともいえるのは織田信長と豊臣秀吉だった。

それぞれに高橋幸治と緒形拳が起用されたが、

大河ドラマファンにはうれしい第三作「太閤記」(1965年)配役の再演だ。

奇しくも、私が大河ドラマを見始めたのが「太閤記」。

それ以来、豊臣秀吉は立志伝中の人というイメージが刷り込まれていた。

ところが、最近の秀吉像は晩年の狂気じみた所業など、

誇大妄想の為政者として描かれることが多くなった。

そのイメージを最初に作ったのが「黄金の日日」の秀吉ではなかっただろうか。

軽妙で人なつっこさあふれる木下藤吉郎がやがては無慈悲な独裁者へと変貌する。

徐々に変わる人格を緒形拳が好演した。

そして、秀吉はじめ権力者と対峙するのが堺のリーダーとなった呂宋助左衛門だったが、

本当のところでは、実在の人物ながら、出自も来歴もはっきりとはしていない。

城山三郎は、豪商と伝えられるだけの人物像を

権力に対抗する自由経済都市・堺の象徴として描いたのだと思う。

 

あらためて、第一話のオープニング。


 黄金の日日 1話 オープニング

 

炎上する堺の映像とともにポルトガル宣教師ガスパル・ビレラの書簡が紹介される。

そして最終回、炎上しても尚、受け継がれる堺の心が描かれる。

見終えた清々しさとともに、堺の心がこのオープニングに集約されていたのか、と思ったりもした。

「黄金の日日」がフィクションと承知の上でのことだが、

今、堺という町への興味が募っている。

このドラマに描かれた当時の町の気質がどこかに残っているかもしれない、と思ったからだ。

暖かくなったら、「堺」を探しに出かけようと思う。

原作本を読みながら、のんびりと。

 

 

 

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