日本橋室町。
日本橋の北詰に位置し、江戸東京を通じてのメインストリート、
名だたる老舗が軒を連ねる一方で、一大ビジネス街でもある。
いわゆる中央通り(国道4号線)を挟んで建つのが日本橋三井タワーで、
一階部分に赤いテントが並ぶのが、老舗のひとつで高級果物の千疋屋総本店だ。
その奥に重要文化財の三井本館、三越百貨店本店など歴史的な建物が続き、
対照的に通りの手前にはYUITO、COREDO室町といった新しい複合ビルが建ち並ぶ。
メインストリートと紹介したが、この写真を見る限り車も人通りも多くない。
それもそのはず、これは出勤時の朝8時過ぎに撮ったもの、
ビジネス街とはいえ、さすがにこの時間帯は閑散としている。
出勤時と書いた通り、東京で仕事をする際、この付近に宿をとることが多い。
そのいちばんの理由が交通アクセスの良さである。
中央通りに沿って地下に降りると地下鉄銀座線、半蔵門線の三越前駅があり、
JR総武線快速の新日本橋駅へも接続している。
また、5分ほど歩けばJR神田駅で、中央線、山手線、京浜東北線と主要各線を利用することもできる。
さらに、地下鉄日比谷線の小伝馬町駅、JR秋葉原駅もじゅうぶん徒歩圏内で、
つまりはここを起点にすれば、拠点の事務所も含めて都内の仕事先へは、東西南北30分程度の移動で済む。
この利便性、通勤ラッシュに不慣れな地方人にはこの上ない魅力ということだ。
写真に話を戻す。
撮った本人が言うのもおこがましいが、どこか海外の街角のように洗練された美しさがある。
用途も所有者も竣工時期も異なる建物が並んでいるにもかかわらず、
建物が描くスカイラインと階高ラインがすっきりと通っていて、
車道や歩道が描くラインとともに同じ方向に収束するかのように見える。
都市のグランドデザインについては門外漢だが、
その整然とした様が都市の造形美として意図されたものであることは理解できる。
例えば、日本橋三井タワーにしてそう。
写真には入りきらないが、タワーの名が示すようにガラスを多用した近代的な高層ビルである。
容積率を上げること、すなわち建物の高層化は時代の要請であるが、
低層階のデザインにおいては、昔から続く街並みの踏襲にこだわったのだと思う。
昔から続く街並みと書いた。
おそらくは昭和4年(1929年)に竣工した三井本館を模範として、
その後の建物がこれに倣ったものだと思うが、
80年も昔の建築物が街並みの組成に今なお影響を与えていることは実に興味深い。
この日本橋室町界隈ではまだまだ再開発が続くという。
街の風景の何が残り、何がどう変っていくのか見続けていきたい、
静かな早朝の街角でそう思った次第である。
なんともここちよく、スタイリッシュな都会をイメージさせる曲。
日本にもこのように洗練されたポピュラーミュージックがあるのだと目からうろこ。
bonobos - Cruisin’ Cruisin’
ここ越前海岸は、房総半島、淡路島と並ぶ水仙三大群生地のひとつ。
この時期、越前海岸へ出かけることが年中行事となって10年ほど経つだろうか。
水仙の開花は気候の影響を受けることはなはだしく、
見ごろを迎える時期は早いときで年末、遅ければ3月に入ってからと、そのふり幅は大きい。
したがって、せっかく出かけたにもかかわらず、
見ごろを大きく外したことはまだしも、一本すら咲いていなかったという苦い経験もある。
それなら、今年の開花状況は...?!
標準とされる開花時期がいつかは知らないが、
毎年1月半ばに、地元の越前町などで「水仙まつり」が催されることを思うと、「平年並み」ということかもしれない。
残念な過去の経験を思うと、よく調べもせず出かけたわりには上々ということだろう。
ところで、スイセンの学名はナルキッソスという。
ナルシストの語源ともなっているが、その謂れとなったギリシア神話に登場する美青年の名前だ。
世にも美しい若者ナルキッソスを一目見た娘たちはみんなたちまち彼に恋焦がれ、
中でも森のニンフ(妖精)エコーは彼を深く愛してしまう。
ところが、ナルキッソスがエコーを冷たく無視することから、
彼女は実らぬ恋にやせ細り、ついには声だけの存在となってしまう。
このように人の愛情に見向きもしないナルキッソスは、やがて復讐の女神ネメシスの怒りにふれ、自分自身に恋焦がれる罰を与えられる。
ある日、泉に出かけたナルキッソスは、水面に映る自分自身に恋焦がれ、その場を離れることができなくなり、
ついにはやせ細って死んでしまう。
そのナルキッソスのように、北西の強い風に煽られながらも、海を覗き込むように群生する水仙。
ここにはなんとたくさんのナルシストがいることか。
土曜の朝、この記事を書いているときに、ラジオからふと流れてきたここちよい曲。
どこかなつかしくもあり、調べてみるとシルヴァという名のブラジルを代表するミュージシャンだという。
今やブラジルを代表するシルヴァ、さらにその音楽性は、80年代回帰の世界的潮流と歩を合わせるシンセ・ポップ・サウンドとある。
なるほどバブル期か。なつかしく感じるはずだ。
Silva - Ainda Lembro (Álbum Silva canta Marisa)
素人ながらも、それなりに写真と向き合っていると、
ある場所で、ある時間でしか撮れないシーンというものがいくつか浮かんでくる。
テーマなどという大げさなものでもないが、
そのひとつが冬至の琵琶湖夕暮れだ。
もう少し詳細に説明するなら、
ある場所とは湖北長浜市の水鳥ステーション付近で、ある時期とは冬至の頃、
そして、そのシーンとは竹生島めがけて落ちていく夕陽を指している。
琵琶湖でもこのあたりは湖幅が狭く、対岸の比良山系が迫っている。
したがって、正確には夕陽が落ちる場所は比良山系なのだが、
その日の気候、たとえば空気の澄み具合、雲の厚みや広がりによっては、
まるで竹生島が夕陽を受けとめているように見えるのだという。
前置きが長くなったが、今シーズンの首尾...。
比良山系に陽が隠れた瞬間だが、結果からいうと天気が良すぎて輪郭の整った夕陽とはなってくれなかった。
この時期にしてはめずらしく終日晴天の予報、
期待して出かけたものの、天気が良すぎたという皮肉な結果で、今シーズンを終えたという顛末だ。
悔し紛れにいうと、それがなかったとしても琵琶湖の夕景は格別。
楽しみは先にとっておくことにしよう。
偶然気づいたことだが今日(アメリカ現地時間で1月18日)はグレン・フライの命日だそうな。
学生の頃から親しんできたイーグルス、
とりわけ、グレン・フライが好きだったので、
まるで仲の良い友達に先立たれたような寂しさを感じたものだが、早いものであれから1年。
前回に引き続きではあるがイーグルス、
グレン・フライによる「いつわりの瞳」。
Eagles - Lyin' Eyes
「9」のつく日は空倶楽部の日
今年いちばんの寒波の中。
大荒れの日本海から吹きつける雪まじりの風は容赦なく、
顔や手など露出した肌は冷たさを通り越し、痛みすら感じるほどだ。
けれど、そんな天候だからこそ、行きたくなる場所もある。
片野海岸にぽつんと立つカフェ、うみぼうず。
そんな寒さの中でも、いったん店内に入れば、
香ばしいコーヒーの香りとなつかしい音楽が出迎えてくれて、
体だけでなく心まであたたまる。
春から秋にかけては穏やかな日本海を眺望できるとあって、いつ訪れても混みあっているが、
さすがにこの時期は、大荒れの海など見る人もなく閑散としている。
したがって、この空間をほとんどひとり占めにできて、
それがこの上ない魅力だといえる。
外は強風と高波が押し寄せる冬の海が広がっている。
それにもかかわらず、ここにいるといつの間にか冬を忘れて、
もう近くまで春が来ているのではと錯覚するような居心地の良さがある。
まるで、遠くからやってくる季節を覗うかのように
海に向けて置かれた望遠鏡。
寒さはいちだんと厳しく、おっくうな気持ちもまだまだ続くが、
すでに一月も半ば、逆に考えれば、冬を折り返したことにもなる。
この寒波をやり過ごしたらほんとうに春が来るのでは...
ここにいる間だけだったが、そんな気分にさせてくれた。
時は流れて/イーグルス
アルバム「ホテルカリフォルニア」に収められているドン・ヘンリーのバラード。
40年以上も経っていることが信じられないほど色褪せない、
自分の中でのとっておきの名曲。
the eagles - wasted time
この冬、最大級の寒波が襲来。
金沢でも暴風雪が予想されるということで、
報道映像で見る新潟並みの積雪を覚悟したが、
今のところ、警報は「強風」のみ。
幸いにも、雪は路面ところどころをうっすらと覆うだけにとどまっている。
しかし、その天候もいつ急変するやも知れず、
いずれにしても、この週末は不要不急の外出は控えたほうがいいようだ。
そんなことで、今日はのんびりと写真の整理。
余呉の雪空はどんなだろう...と想像しつつ、昨年末の冬景色を。
折にふれての選曲。
静かな湖面の上に広がる大きな空を眺めていて、
ふと浮かんだエミルー・ハリスの「トゥゲザー・アゲイン」
Emmylou Harris - Together Again
空倶楽部、1月9日のお題は「元旦の空」。
2017年元旦の天気、予報では曇りとのことだったが、
初日の出こそ見ることはできなかったものの、
時折り、陽もさす穏やかな空が広がった。
北陸に住む者としては上々、
それならばと「大きな空」を求めて 、大乗寺山丘陵公園へ向かった。
ここは、金沢市の南部に広がる丘陵地を整備した公園で金沢市街から日本海まで一望でき、
言ってみれば、金沢でいちばん空が大きな場所だ。
カップル、親子、犬を連れた人など、ふだんの休日なら賑わう公園も、
天気に恵まれたにもかかわらず、元日ということもあってか人出は疎ら。
いつもより寂しげな公園に傾きはじめた陽が雲の間から覗いた一瞬、
家路についた人とその先に広がる街が明るく照らされた。
アメリカ・ウェストコーストで1960年代の後半から70年代初頭にかけて活動したグループ「クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング(CSN&Y)」。
グループと表現したが...
異なる4人それぞれの個性を他のメンバーが演奏とハーモニーでサポートする音楽スタイルは、
当時は使われなかったが「ユニット」という呼称がむしろ腑に落ちる。
彼らの中でも特に、よりユニットらしくお互いをリスペクトしたのが、デヴィッド・クロスビーとグラハム・ナッシュではなかったかと思う。
CSN&Yが活動を休止した後、二人が残した秀作アルバム「Wind on the water」から、クロスビーによる名曲「Homeward Through The Haze」
Crosby and Nash - Homeward Through the Haze
「9」のつく日は空倶楽部の日
余呉は海抜120m。
北陸と似た気候で、冬の北西の風が日本海を吹き抜けることで充分な湿気をまとったすれば
この海抜は大雪を降らすにはじゅうぶん。
しかも四方を山に囲まれた地形は豪雪地帯の条件を備えている。
青空の下でも、そんな厳しい冬を予感させる余呉の朝。
周囲6Kmあまりの小さな湖ながら、眺める方向が少し違うだけで様々な表情を見せてくれる。
以前から、余呉の静寂にピンクフロイドのエコーズを重ねて聴いてみたいと思っていた。
一方で、フルバージョンでは20分を超える大作。
躊躇していたところ、ボーカル部分をメインに短縮したものを見つけた。
ピンクフロイドにしてみれば、「なんてことをしてくれた!」なんだろうが、
彼らの音楽の入門編としてはそれもあるかなと思った次第。
Pink Floyd Echoes (shortened version)
存分に楽しみたい方は、こちらのフルバージョンをどうぞ。
※コメント欄は閉じています。
2017-002
早朝、霧が立ち込める余呉。
雪こそ降っていないが、湖北はすでに冬本番といったところ。
Queenの名曲をジャズ・シンガーのケイコ・リーがカヴァー。
Queenの「We will Rock You」が体を揺さぶるのであれば、
ケイコー・リーのそれは静けさの中で心の奥底を揺さぶる。
We Will Rock You-Keiko Lee
2017-001
あけましておめでとうございます。
いつもコメントを寄せてくださる方、読者登録をしていただいている方はもちろん、
お立ち寄りいただいたすべての方に感謝申し上げます。
ありがとうございます。
どうか今年もよろしくお願い申し上げます。
2017年元旦、朝7時、白山比咩(しらやまひめ)神社。
加賀一の宮、金沢中心部から車で約1時間の距離とあって、多くの参拝者が訪れる。
したがって、三が日は一様に混雑し、周辺道路は大渋滞となるが、
経験上、元日ならこの時間帯が、駐車場へのアクセス、参拝待ち時間を合わせて、最も円滑だと思っている。
この冬の北陸、昭和38年の未曾有の大雪以来の豪雪と予想する向きもあるそうだが、
今のところは暖冬傾向、それでもこの山あいの地は積雪こそないものの寒さはことのほか厳しい。
それで境内にはたき火が焚かれ、そのまわりには暖をとる人だかりができる。
個人的にだが、これも初詣の一風景だと思っていて、また年が明けたと実感する瞬間でもある。
さて、初詣恒例といえばおみくじ。
毎年、ここで引くことに決めているが、今年も末吉、3年連続の運気低迷となる。
ところがである。
落胆ぎみながら、運勢の総評を読んでみたところ、
「今までふさがっていた運がようやく開けて、これからだんだんに幸福に向かう兆しがある」なのだそうだ。
白山比咩神社の神々もここへきてようやく手心を加えてくれる気になったようだ。まずはめでたし。
それでも油断大敵と、いつも通り、このご神託は常に手元に置いて戒めとすることにしよう。
元旦、金沢大乗寺山丘陵公園からの夕景。
曇りとの予報だったが、時折、陽もさして、冬の北陸としては穏やかな気候。
初日の出こそ、見ることはできなかったが、上々の年明けだと思う。
ジョージ・ハリスンがどんな宗教観からこの曲を作ったかは知らないが、
学生だった頃、ちょうど今頃の冬の日にさかんにこの曲を聴いていたこと、
ただただ、神をたたえる内容だったことを記憶している。
George Harrison-My Sweet Lord