「9」のつく日は空倶楽部の日。
その日の金沢は、この時期にしては珍しく、
朝から雲ひとつない空が広がった。
季節が逆戻りしたような暖かい日だったが、
それでも、公園の芝生一面を覆う落葉は晩秋ならではのもの。
そんな陽気の中、残りわずかな秋を楽しむ散歩を始めたのだが、
その途中、ふと、ある光景が気になって足を止めた。
青空を突き上げるような高木の、
枝先の葉はすっかり落ちているのに、
対照的に、枝元には紅く染まった葉がふんだんに残っている。
規則的とも思える光景に、ふと立ち止って、そのわけを考えてみたのだが、
おそらくは、揺れ幅が大きい枝先から、葉が落ちていったのではないだろうか、と思い当った。
だが、そんな詮索はともかく、その光景は秋と冬がせめぎ合っていると見えなくもない。
枝元の紅葉は晩秋の名残り。
そこへ、枝先を伝うように冬が忍び寄っている。
「冬が空から降りてきている」
そんな光景に思えたのだった。
なんとなくの選曲は元祖ブルーアイド・ソウルの名曲。
Righteous Brothers - Unchained Melody
映画「ゴースト ニューヨークの幻」の主題歌としての
リバイバルヒットが記憶に新しいと思っていたが、
それも、すでに28年前のことらしい。
自分にとって、「アンチェインド・メロディ」をオールディーズの名曲として、
心に刻んだのは高校3年生の時だった。
受験勉強の真っ最中に、よく息抜きで聴いたものだが、
あらためて調べてみると、最初にリリースされたのが1955年。
なんと、私が生まれる前だった。
これはもうスタンダード、名曲の由縁である。