「9」のつく日は空倶楽部の日。
空倶楽部の開催は年に35回(閏年なら36回)
これだけの機会となると、いつも万全のコンディションで臨めるとは限らない。
それで、参加するブロガーさんの中にはいざというときのために
「ココ」といった場所をお持ちの方も少なくない。
人によっては「空撮り基地」と表現しているが、
それは自宅のベランダだったり、近くの公園、時には散歩道だったりもする。
私にもそんな場所がいくつかあって、
そのひとつが白山市の徳光海岸だ。
Sony α7R3 FE2.8 16-35 GM (24㎜ ,f/8,1/80sec,ISO100)
普段は穏やかなことが多い北陸の海も
冬を迎えようとする頃から次第に荒れ始める。
したがって、この「空撮り基地」もそろそろ店じまい、
この日も「これが最後の夕陽になるかもしれないな」と、
海に向かって三脚を立てたのだが...。
天気が良すぎたらしく、
日没時間が近づいても空が焼ける気配がない。
しかも、水平線近くには厚い雲が集まり始めてもいる。
こんな日は夕陽が赤く輪郭を整えることはなく、
空もそのまま暗くなっていくことを経験的に知っている。
ところが...。
「やっぱり、だめか...。」と、雲台に手をかけようとした瞬間。
俯いた顔に強い光を感じ、その方向を見ると、
雲の合間から落陽が顔を覘かせ鋭い光を放っている。
一瞬の光、さらには明るさを取り戻した渚の景色に目を奪われ、
急いでファインダーに目を戻す。
その光が輝きを失うまで、夢中でシャッターを切り続け、そして、思ったのである。
一瞬の光を残して秋が通り過ぎていったのだ、と。