毎月11日は「鉄写同好会」の日。
詳しくは発起人てくっぺさんのブログ「高橋さんの写真記念館」をご覧ください。
北陸自動車道 上り線 杉津(すいづ)パーキングエリア(福井県敦賀市)。
ここに2枚の絵が飾られている。

地元の小学校と中学校の生徒が描いたもので
一枚は海を見渡す高台を走る列車、
そしてもう一枚は木々の中、あたかも山中を駆け抜ける蒸気機関車。
かつて、この地に旧北陸線の杉津駅があり、その付近を走る列車を描いたものだ。
北陸トンネルの開通とともに、旧北陸線が廃線となったのが昭和37年。
もう50年以上も前のことだから、当然ながら生徒たちは旧北陸線のことは知らない。
おそらくは祖父母が話す風景の記憶や、
わずかに残された写真をもとに描いたものだろう。
この絵から想像される風景、旧北陸線の乗客たちが目にした風景を探してみた。

その景色は旧北陸線随一の車窓と云われ、鉄道唱歌にも歌われている。
♪ 海のながめのたぐいなき
杉津を出でてトンネルに
入ればあやしやいつのまのに
日はくれはてて暗(やみ)なるぞ
また、大正天皇が北陸に行幸の際、
その景色に見とれたお姿に発車を遅らせたという逸話もあるのだとか。
遠く開けた敦賀湾を望む景色、おそらくは当時のまま。
それならば、この絶景もひとつの鉄道遺産と云えるのではないだろうか。
ついでながら、旧北陸線は現在県道207号線として当時の姿を留めている。
急こう配の山岳地帯、難所と云われた痕跡が数々のトンネル群やスイッチバック跡として残されているのだ。

左)旧北陸線最長の山中トンネル 福井方面側の入口
右)山中トンネルのスイッチバック跡。左側のトンネルは列車通過待ちのための待機場所として使用された。

左)第二観音寺隧道の石積み入り口。鉄道黎明期を偲ばせる。
右)旧大桐駅跡。右側の道路が旧北陸線でここから千分の25という急こう配を登る。
地図で振り返ってみた。
②の杉津パーキングエリア(上り)が杉津駅のあった場所で、
そこから、207号線、すなわち旧北陸線は山あいに弧を描くように走り、現在のJR今庄駅に至る。

ふたたび、杉津パーキングエリアから、以前撮った夕景。

真っ赤に染まる海と空。
そこに、濛々と煙を上げながら急こう配を登り切った列車がやってくる。
ここはまさに絶好の鉄道写真ポイント。
しかしながら、今となっては想像の中の話でしかないのだが。
なんとなくの選曲は、
イーグルスの「懐かしき55年」
♪ そう、時間はあっという間に過ぎていく。
だから俺はあの懐かしい55年型に大急ぎで乗り込んだ。
ゆっくり走りだすと驚いたことに「生きている」って実感したものさ。
Eagles - 'Ol' 55'
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