NHK-BSの放送番組『にっぽん縦断 こころ旅』が北陸をへやってきた。
俳優の火野正平さんが全国各地を自転車で巡る旅番組だ。
放送開始からすでに10年、やがて1000回に達する放映を重ねているそうだから
堂々たる長寿番組、そして人気番組と言えるだろう。
旅番組というと、番組制作者からの情報提供が一般的だが、
『こころ旅』は違う。あくまでも視聴者目線なのだ。
あらかじめ視聴者から寄せられた手紙に記された思い出の場所を訪ねるというもの。
子供の頃の思い出、家族との思い出、友人との思い出など
エピソードに添えられてリクエストされる場所は
ほとんどが無名、地元の人でさえ気づかないところだったりもする。
言わば、手紙を寄せた人だけの「こころの風景」を訪ねる旅なのだが、
誰にでも、ひとつやふたつそんな場所があって
その疑似体験、共感といったものがこの『こころ旅』の人気の秘密なのだと思う。
あらためて北陸での『こころ旅』のこと。
先週は福井県敦賀市を皮切りに
勝山市、あわら市と巡り、最終日は坂井市三国町だった。
三国といえば私も頻繁に訪れる撮影場所。
どんなルートを走るのか興味津々で放映を待っていた。
まず出発地点は九頭竜川河畔の汐見公園。
火野正平さんが立つ背景に芝桜が見えていた。
つい先月のこと、その芝桜を当ブログでも紹介したので
汐見公園の芝桜 2021.04.19
その前後間近な日が旅の始まりだったようだ。
旅は東京在住の視聴者のリクエストで
母との思い出の地、旧丸岡藩砲台跡を訪ねるというもの。
日本海に沿った国道306号線を走るのだが
奇岩景勝地・東尋坊通過するカーブとアップアップダウンを繰り返す道、
しかも雨の中、おそらくは海から吹きつける風も冷たかったと思う。
私よりも年上の火野正平さんに「お疲れさま」
そして、「ようこそ、北陸へ」と言いたい。
さて、私の「こころの風景」というわけでもないが
以前、三国で記憶に刻まれた風景を。
2016.10.30 17:19 Sony α99 Distagon F2/24㎜ (f/13,1/60sec,ISO800)
九頭竜川河口に開けた三国港から外海に向けて伸びる突堤。
設計者であるオランダ人技師に因んで「エッセル突堤」と呼ばれている。
完成から140年あまり。
おそらくは三国に住む人たちの誇りの風景、
そして、ゆえあって三国を離れた人にとっての
「こころの風景」になっているに違いない、と思った。