「9」のつく日は空倶楽部の日。
※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで
夕暮れの塩屋港。
塩屋港(石川県加賀市) 2022.06.12 18:59 Sony α7R3 FE2.8 24-70 GM2 (24㎜ ,f/8,1/100sec,ISO100)
いつも夕方なら、鏡のような水面が空を映すのだが、
その日は風のせいで、小さな波が次々と押し寄せていた。
「残念!」と、最初は思ったのだが、眺めているうちに
揺らいだ水面が映す濃い空の色も悪くはない、と思えてきた。
それで、しばらくはこの風景にカメラを向けていたのだが、
そのうちにふと、波紋(Ripple)という言葉を覚えたこの曲の一節が心に浮かんだ。
Take a Pebble Emerson Lake & Palmer
1970年代の始め。イギリスを中心としたロック・シーンにプログレシヴと呼ばれるジャンルが台頭した。
ロックの根底だったブルースに加え、ジャズやクラシックの要素が盛り込まれるなど、
心の揺さぶりだけではなく、実験的ながらも芸術性を追求した斬新な音楽を
ロックマニアたちは一様に歓迎した。
その中でも注目されたグループのひとつがエマーソン・レイク&パーマーで、
Take a Pebble(邦題:石をとれ)はデビューアルバムに収められた大作だ。
キーボード奏者、キース・エマーソンによる縦横無尽なピアノ演奏が聴きどころだが、
美しい旋律とグレック・レイクの情感豊かなボーカルも強い印象として心に残っていた。
前置きが長くなったが、その歌詞の一節。
Just take a pebble and cast it to the sea
Then watch the ripples that unfold into me
My face spills so gently into your eyes
Disturbing the waters of our lives
小石をひろい、海に投げ込んでみる
そのあとで、自分の内面に広がっていく波紋を見つめた
僕の顔が徐々に君の瞳を満たし
二人の人生の流れがかき乱されていく
平易な単語、短い文章で綴られてはいるものの難解。
恋の始まりを歌ったものか、それとも、恋の終焉を歌ったのか。
自身の心に広がる感情の波紋が人生の流れをもかき乱していく。
そんな心模様を、海に投じた小さな石の波紋に重ね合わせたのだろう。
今さら、詮索することなど無意味と思いつつも
静かな波紋の光景を眺めながら
この一節に思いを馳せた次第だ。
追記
能登半島で発生した地震についてご心配をおかけしました。
金沢は震度3でしたので、目立った被害はありませんでした。
ご心配いただきありがとうございました。